煩的ひとりごと

定期更新型ゲーム False IslandについてPL視点から呟きます。
煩悩が人より多いらしいです。

days after days

2007-05-13 01:35:09 | 偽島2期日記(PC視点)
「フォウトさんッッ!!」



叫びは海と空に吸い込まれ。

その響きを繰り返すものはなく。

たった今まで遺跡だったものの立てる悲鳴、煙が全てをかき消した。




―――今、僕は船の上にいる。

揺れる足元、多すぎる冒険者。熱い上に立ちづらい。

それは僕だけではないんだろう。

だが、そんなことは全く問題ではなかった。


目の前で黒煙を吐く島。

想像を遙かに超えた崩壊。

大地が泣いている、啼いている。

飲みこまれた人の嘆き、なのだろうか。



予定では遺跡内部での戦い後、外で落ち合う手はずだった。

遅れた二人のフォローは最も余裕のある男性3人組が。

しかし予想より早い崩落で狂ってしまう。

迫る外壁、舞う砂埃、崩れる床。

いつしか見えるのは自分の姿だけになっていた。

光る、魔法陣。

気がつくと海が見えていた。



島が遠ざかってゆく。

Triad Chainの皆さんとは散り散りになってしまった。

混乱の中、情報が錯綜する。

聞いた限りでは、僕以外6人はなんとか脱出した、或いは救出されたらしい。

真実ならば同じ船に乗っていることもありえる。いつか会うことはできるだろう。

しかし、比較的名の通った二人……フォウトさんとエニシダさんの姿を見た人は誰もいなかった。


エニシダさん。静かな余裕を見せる人。しかし過去を背負い、生きる人。僕に託された願いは……まだ重い。

フォウトさん。激しく静かな温かさを持つ人。自分にも人にも厳しい人。まだ、その理由を聞いていない。


二人と最後にかわした会話なんて、他愛もないものだ。あれで終わりなんてことは、決してない。

この船の後にもまだ2,3隻残っていたそうだから、それに乗っているのかもしれない。

それを、信じるんだ。


Triad Chain―――運命の鎖の加護を。



(日記はここから数頁白紙が続き)




(途中、1頁だけ破られた跡)




(そして、再び始まる)


あれからどれくたいたっただろう。

島を離れた船は、明らかに人が多すぎた。このままでは食糧の補給が困難になる。

そこで、冒険者による集会が行われた。

女性や子供・老人など弱い人々(主に遺跡外の人々)を船に残し、大陸に向かって貰う。

そして1人で生活ができる者…つまり冒険者達の多くが、順次離島に降りる。

幸い遺跡のあった島の周りには人がいるかすら判らない島が無数にあった。

見失わないよう航路を決め、目印と連絡の方法を定めると適度に船を下りてゆく……というものだ。


明らかに損な役回りだが大方の冒険者が不満も洩らさずに同意した。

……ふと、胸が熱くなった。

「弱き者の盾となれ そして世界を導け」

いつか聞いた歌の一節。未来(あす)への咆哮、という歌だっただろうか。

世界、と言うには大げさすぎるかもしれない。これしきは盾と言えないのかもしれない。

でも確かに、弱きを守る、冒険者のプライドを見た。

彼らとはまた会えるだろう。お互いの幸運を祈り、集会は解散となった。



そして僕は、この島へ。

海岸沿いの砂地、近くに丘、森がある。風を避ければ何とかしのげそうだ。

確かに行方しれずの二人の安否が気にかかる。

でも、きっと無事だ。

あの島に戻れば、必ず会える。

1度絡んだ鎖は、例え綻ぶともどこかで繋がっているのだから。

螺旋に広がり、合一する運命の鎖。それが、Triad Chainなのだ。



(そして、再び鎖は集い――――

新たな物語の幕が上がる)