青空のCafétime

唇にうたを。心に青空を。気まぐれに開店中♫

雨の土曜日

2022-07-16 09:33:13 | Poem
連休は雨らしい。

せっかくの連休でも特に予定は入れていない。
わたしは暑いよりは涼しい方が過ごしやすくて楽でいい。


雨。
雨が降る。

傘のなかできみに寄り添う
ふたりの肩が半分濡れて
もう半分は温かい

いつまで降るのかな
いつまで降るのだろうね

きみがいれば
きみがいてくれるから

空の下でふたりは寄り添う

今日も雨。


夏恋のマボロシ

2022-07-12 14:58:33 | Diary
中学2年生ぐらいから高校2年生ぐらいまでのあいだ、鬱陶しい梅雨が明けて一気に暑くなって、カーンと突き抜けた真っ青な空とミーンミーンという蝉の鳴き声がやって来ると、素敵な恋の予感に心が浮ついてワクワクしてソワソワしたものだ。 

恋は恋をする相手がいなければ成り立たない。 
それなのに、そのワクワクしてソワソワする夏恋の予感は、そんな相手などいないのに意味もなく勝手にココロが浮つき始める。 

ステキな恋をしたい、ステキな誰かに巡り合ってステキな恋をしたい。 
その誰かさんは自分の周りにいる友だちとか知り合いなんかじゃなくて、もっと抽象的な誰かだった。 

ここにはいない、どこか遠くにいる、あの真っ青な夏空の向こうにいるであろう、わたしのステキな恋の相手。 

その「ステキ」という点も、なにがどう素敵なのか言えない、具体性を欠いたとにかくステキ♡という無責任な素敵だったから始末に困る。 

ただふわふわしているだけのカタチなんて無い、まだまだお子さまだった頃のわたしのステキな夏恋は、自分でもどういうものなのかわかっていないから、どうしたらいいのか、なにをしたら見つかるのかぜんぜん見当もつかなかった。 

だからわたしはわたしのフワフワソワソワ夏恋がやって来てもとうとう何もしなかった。 

きっとその頃の自分は恋に恋していたのだ。 

そんなピュアな幻の夏恋を、夏の到来とともに、ふと思い出した。 



男の幸せは「われ欲す」、女の幸せは「彼欲す」ということである。
〜ニーチェ


弔辞

2022-07-09 11:12:58 | Diary
政治問題に関する記事は書かないと決めている。 

社会人になってから、ブログなどのSNSデビューをした頃からのマイ・ルールだ。 

しかしながら、治安レベルが高いはずの我が国で元首相が暗殺されるという前代未聞の事態に遭遇し、安倍元首相への弔意とともに、今ここで、わたしの思ったこと思っていることを書いてみよう、そう思っただけだ。ただそれだけである。 

政治の話題はそれぞれの人の信条や考え方の数だけの主張が存在する。SNS上で発せられ見かけるそれらの主張は、しばしば客観を欠いた主観視点で為されているから、それについてまともな議論をする余地もなく価値もない。 

その人たちは自分の正義をあたかもそれが世界にとっての正義のように押し付けているだけだ。 

正義が正しくないことは子どもでも知っている。今時のアニメには正義の味方なんて出てこない。こっち側にはこっち側の理由があってあっち側にはあっち側の主義主張があって、そして登場キャラたちはみんなその事実を承知している。 

テロの犯人は元海上自衛官だという。 
さぞかし見るからにテロリストっぽい人だろうと思っていたのに、ニュースで見るその犯人の男性は貧相で生気がなく、しかも動機がよくわからない。 

選挙間近であり、つい先日にニュースで久しぶりに、安倍さんが関わったとされる学園問題を耳にしたばかりのこの時期に、いったいなぜ? 

しかしそれは多分、わたしの勘ぐり過ぎなのだろう。 

それにわたしの限りあるプライベート時間は、正義を主張する人たちの不毛な政治論議に首を突っ込むよりも別のことに充てたい、と思っている。だから今後も政治絡みの話題は取り上げないつもりだ。 

あらためて、安倍晋三様へ。 
あなたのアベノミクスは具体的なものはアベのマスクしか思いつかないけれど、どうぞ安らかに。
謹んでご冥福をお祈りします。

Open

2022-07-07 07:43:43 | Novel
坂を登って行くと、やがて右手に白い建物が見えて来る。

丘を登り切った僕は、汗を拭いながら、遥か沖まで続いている海を眺める。

風が吹いた。潮の匂いがする風だ。

白い建物はどうやらカフェらしい。でも営業しているのを見たことがない。

しかし今日は駐車スペースに大きなグリーンの車があった。目を移すと「Open」と書かれたプレートが白いドアに下がっていた。

開いているのか?

自転車を隅の方に置き、カフェのドアを開けた。カランという音。明るい元気な声が僕を迎えた。

「いらっしゃいませ!」

白いシャツに薄いブルーの前掛けをしたその人。他にはスタッフはいないようだ。焙煎したコーヒ豆の香ばしい匂いが僕の鼻をくすぐる。

先客がいた。年配の男性が窓際の席にきちんとジャケットを着て座っている。

「どうぞお好きなお席へ」

せっかく海が見えるのだからと思い、眺めの良い窓際の席へ。水の入った透明なグラスがテーブルにコトンと置かれる。

「あの、今日は開いているんですね」
「はい。営業中ですよ」
「あ、そうですよね」

僕の間抜けな言葉にその人は微笑んでみせる。

「ご注文は何になさいますか」
「ええと、この、夏ブレンドをください」
「承知いたしました」
「あの」
「はい?」
「あの、このカフェはいつまでやっていますか?」

すると、こんな答えが返ってきた。

「わたしの中の夏が終わるまで、かな」