三文役者あなあきい伝〈PART1〉 (ちくま文庫)殿山 泰司筑摩書房このアイテムの詳細を見る |
三文役者あなあきい伝〈PART2〉 (ちくま文庫)殿山 泰司筑摩書房このアイテムの詳細を見る |
著本書は、 殿山泰司という個性的な俳優の自伝である。 殿山泰司は大正7年、銀座に料理屋の長男として生まれたが役者になり、 二百本以上の映画に出演し、 平成元年に亡くなっている。 それなりに年齢を重ねている方であれば、名前を聞けば特徴ある彼の顔が思い浮かぶ方も多いと思う。
この冬、 特に思い当たる理由がないのだが、作品も見た事がないのにある映画監督(名前は伏しておく)に興味を持ち、 その監督の事が書かれている本を何冊か集めて読んだ。「マイ・ブーム」というやつである。 そして新しく入手すると、 読んでいる本を途中でも止めて優先して読んでいる。この本はそうした本の内の1冊であって、 殿山泰司に興味があって入手した訳ではない。殿山泰司はその監督を“○○旦那(○○は監督の姓)”と呼び慕っていたのだそうだ。 実際、 この監督の代表作といわれる作品を含め、何本かの作品に出演している。
当初は目当ての部分だけ読もうとしたのだが、 貧乏性故、 冒頭部分から読み始めたところ、独特の文体でなんともいえない雰囲気で味があり、 目的の部分はもちろん、 他の部分も一気に読んでしまった。 こういう誤算は嬉しい。 役者、 女、家族、 ジャズ、 戦争、 そして○○師匠。
「イヒヒヒヒ」と「シッシッシッ」が妙に頭に残る。