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花衣やまとなでしこ日記~心理学者・華(はな)のこころのレポート~

心理学者であり、歌人である華のページです。ようこそ★

渋谷短大生遺体切断事件(1)

2007-01-07 23:03:02 | 心理学
年末から都内を震撼させたバラバラ殺人事件。
被害者は20歳の短大生。
加害者は21歳の次兄だそうだ。

「夢がない」となじられた。「一生懸命がんばっているのにだめだ」と
言われているように「感じた」加害者。

3年ぶりの会話・・・とされているが、とにかく、会話が少ないきょうだいだったのだろう。

福島章先生が既にコメントを今日発表している。
祖父・父も歯科医。兄も歯学部にいる。
妹も自分の夢に向かって都内の芸能事務所に在籍していたらしい。
加害者は、3浪だったそうだ。
この時期、いかに不安があったか。

また、3浪という長い浪人期間にいかなる不安に耐えていたのか。
そうでなくても、孤独になりやすい浪人時期。

「家族内での劣等感」の「爆発」、それでも、済まない怒りを
「バラバラ殺人」にしたという。

私の見解・・・現段階の報道内容でしか分からない。
①家族内での劣等感は募らせていったと考えられる。そして、孤立感・疎外感。
小学生時代・中学生時代・高校時代には、もうそういう感情を持ち始めていたかも知れない。

②家族の中だけではなく、社会の中からの自分の身の置き場がなくなる不安感。
彼に友達がいたら。
自分の心の悩みを話せる友達がいたらどうだっただろうか。

③浪人中の家族関係。
事件は、被害者である妹との会話が発端にはったように報道されている。
しかし、祖父・父・次兄とはどうだったのか。
食事は家族でとっていたのか。
話題に出てこない「母」の存在は?祖父がいるなら「祖母」は?
全く報道にのってこない。

④それでも歯科医になりたかったという彼の言葉
認めてもらいたいという欲求をずっと持っていたのではないか。
しかも、自分の一番身近なひとたち(家族)に。
受験シーズンまっただなかで、起こったこの事件は、
やはり現代は、「学歴社会」なのか、と感じさせる。
「歯科医」以外の道は、やはり考えられなかったのであろうか?
本当は、ほかにしたいことがあったのではないか?
興味があったことがあったのではないか?

⑤芸能事務所からみた妹(被害者)の印象
「笑顔が少ない」という第一印象だったそうだ。
また、家族で悩み事を抱えているということ。
次兄との関係、とは限定できない。家族全般に何か、ぎくしゃくしている
空気があったのではないか。
光と影・・・の「光」とされている妹の、芸能事務所の第一印象は、
「笑顔が少ない」
妹も、家族の中で寂しかったのではないか?
芸能事務所や舞台などは、だれかの脚光をあび、また、一緒につくりあげるひとたちが
いる。妹は妹で孤独だったのではないか。
ただ、妹は、動くことができていた。

⑥兄はなぜ妹を殺害したのか
兄を「ゆうくん」と呼んでいる妹。年子である。
また、彼は父の40歳過ぎの男子。年子の娘とは比較されたであろう。
長兄とはもちろん比較されるであろう。
きょうだい関係とは、時につらいものだ。
開業の歯科医ならば、期待が相当かかっていたことは想像しやすい。
「夢がないね」の一言が取りざたされているが、その前後の
兄の行動、妹の行動、きょうだいの会話に関心が向く。
長いこと会話をしていないきょうだいが、会話をすることには、
お互い相当な勇気が必要であるのではないか。
なぜ、妹を殺害したのか。
長兄ではなく、親でもなく、なぜ妹か?
母は?

⑦暴行から殺害・遺体の分解まで
木刀はなぜあったのだろう?
「死体は語る」の著者は、気の弱い人間ほど、
残忍な殺人をすると述べている。
バラバラにするのも、見付かりたくないということであり、
また、執拗な暴行にも、そういう心理のメカニズムをうかがうことが
できよう。
髪・胸・下腹を切り取っている。もちろん、関節で、身体も分解されているが。
髪・胸・下腹・・・女性の部分である。母性の部分である。
女性への劣等感を持っていたのかも知れない。
全く出てこない、母の情報。母への怒りか。
生別を分からないようにするため・・・という理由ではない、
もっと深い理由があるような気がする。

⑧妹はなぜ「サメ」か?
祖父に「サメが死んでくさいから」と次兄は言ったそうである。
この言葉には違和感がある。
普通、サメなんて家で買わない。
祖父は、この言葉をどうとらえたのか。どう感じたのか。

⑨ほかに問題行動はなかったか
生育歴上の可能性をあげるとキリがない。
浪人中で言えば、「ひきこもり状態」などは
どうだったのか、ということである。
予備校の合宿に出ていたようであるので、完全な引きこもりでは
なかったのかも知れないが・・・・。

・・・・・・・

思うことはたくさんある。
彼の気弱で孤立し、劣等感を強めていた姿が想像できる。
ただ、福島氏の言う「怒りがどんどん爆発し・・・」というコメントは
私としては、少し考えさせてもらいたいと思う。
エスカレートしすぎたことは確かである。

反省の言葉が出ない・・・という報道がなされている。
まだ当然であろう。
大きな事件をしたときには、大きな緊張感が伴う。
まだ、彼はその緊張感がほどけていっている段階なのだから。
家族の動向、コメントを聞きたいところである。

また、これに関しては、引き続き、考えていきたいと思っている。