読書記録

日々の読書の記録

お勉強2256

2018年07月23日 | 本と雑誌
「洞察力」があらゆる問題を解決する ゲイリー・クライン 117~350 読了118

 2005年、マーティン・セリグマンという心理学者が「ポジティブ心理学」というブームを作った。このブームは「職業におけるバランス感覚が失われている」と結論付けたにすぎなかった。なぜならば、ポジティブ心理学は、私たちの属する組織や社会の在り方について、本来あるべき正しい状態について科学的に検証・実証を試みた、つまり、裏を返せばすでに組織や社会が間違った状態を構成しているという前提に立った学問だからである。それは、働く人たちの心のマイナスをゼロの状態にするだけだった。 P14

 私の研究の場合、心理学実験室で行われるものと違い実際の現場で、『見えない問題を見抜く力』がどのようにして発揮されるのかを調査することで、何か有益な情報を得られないだろうか」と考え、事例を収集し始めた。 P19

 彼の「見えない問題を見抜く力」は、パターンを見抜くように働いたのである。これは、一見無関係に思えるようなアイディアを組み合わせるような機会に遭遇したり、何か不自然な物に注意を払うのとは違う現象である。 P33

「見えない問題を見抜く力」は、これまでの事例に登場したような特別な人にだけ備わっているのではない。人はだれでもその力を兼ね備えている。しかし、そうした「見えない問題を見抜く力」というのは非常に些細なもので、私たちはその力に気を配るようなことはしない。 P33

 1926年に出版された彼(グレーアム・ウォーラス)の著作『思考の技術(The Art of Thought)』は、いまでも最も一般的な解説だと考えられている。そこには「『見えない問題を見抜く力』がどのように働くのか?」についての試行モデルが記されている。 P35

 消防士たちは、自分たちが過去に学んだパターンに、遭遇している状況をどのように適合させるかを認識することで、迅速な意思決定をしていたのである。彼らの意思決定におけるパターンは、早く、そして自動的なものであった。それは、彼らがうまくいくための選択肢を迅速に認識するために、直観力をどのように利用しているのかを示している。0

思索することにイライラしてしまう人もいる。そのようなj人たちは、概念上の遊びのような施策を精神的未熟さの表れだとみなす。自ら心を閉ざし、グループの誰かが急に話を脱線するとあきれ果ててしまう。彼らは具体的に物事を考える人たちで、想像力を働かせるのではなく、事実に集中したいだけなのである。
 遊び心がある推論のスタイルとは、アイディアを思いめぐらせたり、仮のシナリオを創造することを好むものである。 P173

 以上、「誤った考えに固執する」「経験不足」「消極的な姿勢」「具体的な考えに捉われた推論、この4重苦が「見えない問題を見抜く力」を抑圧している。 P173

 私たちがミスと不確実性を減らすための行動は、「見えない問題を見抜く力」の障害になる。したがって、組織は2つの均衡を取らなくてはならない。
 しかし、組織は何かを発見することよりも、ミスや深くjひつ性を減らすことばかりに偏ってしまうのである。こうして組織は「よ敷く可能性のわな」と「完璧主義の罠」にはまってしまうのである。P200

ミスや不確実性を減らすための方法
・より厳しい基準を設定する
・管理を強める
・すべての情報源を文書化する
・想定していることをつかむ
・そういった想定に対して、不確実性の値を概算する
・検討する回数を増やす
・一層厳しい方法で結論を立証する
・チェックリストや手続き方法に頼る
・より忠実に、予定日に間に合うようにする  P204

 仮にCIAがあまりにもリスク回避型の組織に甘んじるならば、税金を投じるだけの価値はない。同様に、どのような組織においても主要な仕事は、良い商品と結果を出すことであり、ミスを避けることではないのだ。 P207

 ガーデン・パスとは、心理学用語で、庭の中で草木や花に見とれて道を誤ることで、私たちは筋道が通って話が進むように思われるようなシナリオを準備し、被験者に罠を仕掛けたのである。 P209

 多くの組織は、「ブラック・スワン」という、まれに起こる機器を発見できる方法を探している。しかし、そうした危機は事前に発見できるのもではないという点を見逃している。
 多くの場合、まれに生じる危機の初期段階の兆候と、それを認知して反応する間の時間があるように思われる。 P211

 ディビッド・パーキンズは、彼の著作『アルキメデスの風呂』野中で、科学的研究方法からアイディアを生みだす効果が少しもなかったと断言している。ちなみにこの本は、有名なギリシャ人哲学者が風呂に浸かって理う時、オオ様の冠の筋の体積を図るための方法を思い付き、素っ裸で街の通りん飛び出して行って、「わかったぞ!」と叫んだという話である。 P238

 さて、ひらめきの瞬間では、例えば心理的トリック問題で、あっという間にそれを解いてしまう被験者もいれば、解けない被験者もいた。つまり、時間は結果に関係ないんである。時間をかければ、冷えkンsyがその問題を解けるようになるをけではない。 P238

 私がこの話を思い出したのは、私はジミーに何も教えていないという事実である。私がやったことは、彼が自分で何かを発見できるようにものごとをアレンジしてあげたことである。 P252

 記事の最後に、彼女は『教えるということは、教えるものが何を管えているのかではなく、学ぶ者たちが何を考えているのかということによて決まるのです」と語っていた。 P259

「逸脱した習慣化」とは、例外的な出来事が繰り返し起こることで慣れ親しんでしまい、それ以上の注意を払うことがなくなってしまうということである。 P326

 私たちの理解を一変させるということは、「世の中がどのように動いているのか」「世の中をどのように良くすることが出来るのか」ということについて、自分自身に語りかけているストーリーを予期しない形で転換するということである。 P334

 NDM学派の世界的な広がりは、カーネマンとトヴェルスキーを学祖とするヒューリスティック・バイアス学派に匹敵する規模である。 P343

 論理的、分析的、そして批判的思考は、欧米の教育界に置いて伝統的に重視されてきた。しかし、そういった思考法は、意思決定や創造性に常に貢献しうるものではないという。そのことは、彼の前著3冊「決断の法則――人はどのようにして意思決定するのか?」(佐藤洋一訳、トッパン)、'The Power of Intuition'(Currency Doubleday)、'Steetlights and Shadow'(MIT Press)に詳しく記されている。 P344

「絶対計算化」という異名をとるエアーズは、著書『その数学が戦略を決める』(山形浩生訳、文春文庫)で、医師に出移乗される専門家の直感は、統計や確立という絶対計算による判断に劣ると切り捨てる。スタイナーも、著書『アルゴリズムが世界を支配する』(永峯涼訳、KADOKAWA)で、人間の判断と意思決定は数学的に説明できるものであるという。 P345

 カーネマン理論をオート化、機械化したものがアルゴリズムであり、その究極の形態が人工知能ということになる。この研究が将来もたらす者は、多くの職業が機会にとって代わられ、人間が機械に監視され、統制される様な未来像ではないだろうか。皮肉なことに、アルゴリズムや人工知能の研究者たちも、そういう将来の可能性を懸念している。 P346

 クラインは、軍、企業、諜報機関、報道機関などの巨大組織が官僚主義化することで、従業員たちの『見えない問題を見抜く力」が抑制される危険性があることに警鐘を鳴らしている。組織がそのダイナミズムと創造性を失うことで、私たちの作業の効率清算性が低下するだけでなく、かえって新しい問題が生じることになるのである。 P349

お勉強2251

2018年07月13日 | 本と雑誌
勇午 下北半島編  イブニングKC 赤名修(著者) 1~275 読了107

勇午 上海編(文庫版)  講談社漫画文庫 赤名修(著者) 1~303 読了108

「洞察力」があらゆる問題を解決する ゲイリー・クライン 1~116