Yuumi Sounds and Stories

シンギング・リン®️セラピスト「藍ゆうみ」のブログ。日々の覚え書き、童話も時々書いています💝

お話妖精ルーモと風さん日本㉛

2020-04-18 14:54:36 | 童話 ルーモと風さんのお話
8月31日(水)晦日月の夜 日本

それからどれくらい時間がたったのかわかりません。
時間というものもあってないようなものです。

二人はゆらゆらと揺れながらゆっくりと暗い宇宙空間を下へ下へと降りていきました。

ルーモの旅は不思議な結末を迎えようとしています。ルーモは長い年月お話妖精として生きてきました。このまま永遠に妖精として、のんびりと過ごすこともできました。

風さんはイングランドの龍と春風の息子として生まれ、世界中を見て回り長い年月生きてきました。もう少しで大人になったら、風のままでいるか、龍になるかを選ぶことができました。そして、風さんは妖精のルーモのことが心から気に入ってプロポーズをしました。普通なら、二人は結ばれていたかもしれません。それが、今二人には思いもしなかった未来が始まります。

二人はうすうす気づいていました。

ルーモの願い・・・「人間になりたい」にテラが応えたのです。

テラの声は、ハワイ島のマグマの中で聞こえたきりです。今は、何にも聞こえない広い広い宇宙空間の中で二人は漂っています。とても寂しいようですが、逆に大いなる愛に囲まれて元気と勇気がみるみる湧いてきています。二人は互いの存在に心から感謝しました。そして、ゆっくりと下がりながら二人の意識は薄らいで、重い衣を一枚一枚まとっていくようにも感じました。

風さんは思いました。

「君が人間になりたいって願った。
君はこれから人間に生まれるんだ。
そして、それをぼくも応援する。
ぼくは君の中で君をいつも見ているし、いつだって助けるからね。
それが君に恋したぼくの願いだから……。

テラが共振共鳴したもの。
それは愛なんだ。

世界中を回って、
たくさんの自然を感じて、
たくさんのお話を聞いて、
たくさんの友に出会って、
きみの中に芽生えた愛なんだ

そんなきみを見てぼくにも芽生えた…愛」

ルーモは眠っていました。
風さんはルーモをきつくしっかりと、そして優しく包み込みました。

その瞬間、辺りが真っ暗になり二人の意識がそこで終わりました。


2016年8月31日水曜日、午前7時辰の刻・・・

日本の長野県に天竜川という川があります。その近くにある一軒の家に男の子が生まれました。きりっと愛らしい澄んだ瞳の男の子はうまれてすぐにとても嬉しそうに笑いました。お父さん、お母さんは迷わずその子に’ひかり‘という名前をつけました。

そうです。
ルーモと風さんは一つの魂になり、この子になったのです。

これまでの記憶は何一つありません。
ただこの男の子は、お話が大好きで、優しくて、お菓子が好きで、風のように走り回り、時には龍のように勇敢で、音楽や踊りや動物を愛する元気な子に成長することに間違いないでしょう。そして、大きくなったら世界中を旅して、懐かしい感じの誰かさんと出会いお話を聞くこともあるかもしれません。

このお話を最後まで読んだあなたのすぐそばにも’お話妖精ルーモ’が微笑んでいることを信じてください。人間になりたい’お話妖精’は、あなたのわくわくする「愛の物語」をいつでも待っています。