IR(カジノ)に関する衆院選政党アンケート結果
東京都は、石原慎太郎元都知事の代からカジノ誘致を検討しています。小池百合子知事も、就任以来、都議会や記者会見で「IR(カジノ)のメリット、デメリットについての調査を進めていく」と繰り返しています。東京都は、申請期限(2022年4月28日)までに、IR(カジノ)の申請をしませんでした。しかし、法定の最大設置箇所数(3か所)から考えて追加の募集もありうる話で、東京都は、現在も「カジノのメリット、デメリットを検討するというスタンスに変わりはない。」としています。
そこで、カジノいらない!東京連絡会は、2024年10月27日投開票の衆院選(解散・総選挙)に当たり、国会に議席を有する各政党に対し、今後IR(カジノ)の整備を進めることや東京にIR(カジノ)施設を整備することの是非についてアンケートを実施しました。その結果を公表します。
選挙の投票先選びのご参考にぜひご一読ください。
なお、各政党に賛否を求めた質問は次の2つです。いずれの問いも結論だけでなく、その理由も尋ねています。
Q.1. そもそも、IR整備法に基づき、IR(カジノ)の整備を進めることについて
Q.2. 大阪のIR(カジノ)整備計画を進めることについて
Q.3. 東京にIR(カジノ)施設を整備することについて
2024年10月21日
カジノいらない!東京連絡会
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IR(カジノ)に関する衆院選政党アンケート結果
◆自由民主党
Q.1. そもそも、IR整備法に基づき、IR(カジノ)の整備を進めることについて
Q.2. 大阪のIR(カジノ)整備計画を進めることについて
Q.3. 東京にIR(カジノ)施設を整備することについて
いずれも選択肢は無回答
※注1 回答には以下の記述がありました。
党の「総合政策集J-ファイル」において、記載しておりますのでご確認いただけましたら幸いです。
※注2 当連絡会で確認したところ、上記の回答は、「総合政策集J-ファイル」の次の記載を指すものと思われます。
547 IR の推進 「IR(統合型リゾート)整備法」に基づき、 様々な懸念に万全の対策を講じて、日本に何度 も来ていただける安心で魅力的な IR を創り上 げます。
◆立憲民主党
Q.1. そもそも、IR整備法に基づき、IR(カジノ)の整備を進めることについて
反対
理由: IR推進法・整備法は廃止すべきです。
Q.2. 大阪のIR(カジノ)整備計画を進めることについて
反対
理由: 賭博性が高く、治安の悪化が懸念されるカジノ事業は中止すべきです。
Q.3. 東京にIR(カジノ)施設を整備することについて
反対
理由: 賭博性が高く、治安の悪化が懸念される。カジノ事業を進めるべきではありません。
◆日本維新の会
Q.1. そもそも、IR整備法に基づき、IR(カジノ)の整備を進めることについて
賛成
理由: 観光客誘致の切り札であり、日本経済の起爆剤となりうる。カジノ誘致を契機に、パチンコ・パチスロや競馬・競輪・競艇・宝くじ等によるギャンブル等依存症対策についても、効果的な対策の研究と専門人材の育成を強化し、ギャンブル等依存症対策を社会的な取り組みとして強力に推進するための予算を確保することができ、これまで取り組みの不十分であった国内のギャンブル依存症対策も前進する。
Q.2. 大阪のIR(カジノ)整備計画を進めることについて
賛成
理由: 大阪のIRは夢洲という独立した人工島に立地するため、日常生活との隔離が容易であり、来場者は非日常空間を存分に楽しめるとともに、ギャンブル依存症対策としての入場規制や広告規制なども実施しやすい。また、関西で成長型IRを実現することで観光分野の基幹産業化を図り、地域福祉の充実に充てる財源が生まれることはもちろんのこと、東京一極集中を解消し、東京での大規模災害などの発生時に日本経済が麻痺しないよう第二のエンジンを作ることにつながる。
Q.3. 東京にIR(カジノ)施設を整備することについて
反対
理由: 国際観光拠点として大きな集客力を持つIRを首都である東京に整備することは、東京一極集中をさらに強め、地域経済の疲弊を加速させるため。
◆公明党
回答期限までに回答をいただけませんでした。
◆日本共産党
Q.1. そもそも、IR整備法に基づき、IR(カジノ)の整備を進めることについて
反対
理由: そもそも賭博は刑法で違法とされているものです。たしかに競馬や競輪など、特例的例外的にみとめられている賭けごとはありますが、これはあくまで公設、公営を大前提とする、公益を目的としたものだからです。この点、カジノは民間事業者が利潤追求を第一の目的として賭博場を開設するもので、文字通り刑法で禁じるギャンブルそのものです。カジノは地域の消費を奪うことになり地域経済にもマイナスです。かりにカジノの利益の一部が自治体や地元に還元されるとしても、その利益の裏には賭博によって財産を失い、その結果、生活も家族も破たんする人びとの存在と一体のものです。カジノを誘致することは、いまでも世界的に突出している日本のギャンブル依存症をさらに拡大することになり、地域だけでなく日本社会全体の前途にもかかわる重大な問題をはらんでいます。
Q.2. 大阪のIR(カジノ)整備計画を進めることについて
反対
理由: 維新の会などはカジノの誘致が大阪経済の起爆剤になるかのように宣伝していますが、まったく逆です。そもそも上記1の回答のように、賭博は地域振興に逆行します。しかも、カジノを開設するのは人口埋立地の舞洲ですが、ここはメタンガスによる爆発、自然災害にたいする脆弱な状態、交通事情の悪さなどいくつもの問題が指摘され、2025年に開催される万博への来場客の安全が懸念されています。カジノの誘致は全国どこであれ反対ですが、地盤沈下の問題もふくめて、とりわけ大阪・夢洲でのカジノ開設には厳しく批判と反対をつづけていきます。
Q.3. 東京にIR(カジノ)施設を整備することについて
反対
理由: 反対の理由は、1での回答につきますが、とりわけ首都東京に一大賭博施設を誘致することは、経済的社会的にみても、日本全国に決定的な悪影響を与えます。東京都は1,000万人以上の人口をかかえ、東京と横浜市など4つの政令指定都市を合わせた東京都市圏では、世界最大の3,700万人が居住しています。くわえて、東京は日本全国からのアクセスの利便性が高く、カジノ開設は東京や首都圏という地域的な問題に限定されないことになります。東京へのカジノ誘致は、カジノの有害性を東京や首都圏だけでなく、日本全国に拡大することになります。
◆国民民主党
Q.1. そもそも、IR整備法に基づき、IR(カジノ)の整備を進めることについて
その他
理由: IR事業は不要不急の事業であり、疑義が呈されているのであれば行政には誠実に回答する義務があると考えます。
Q.2. 大阪のIR(カジノ)整備計画を進めることについて
その他
理由: 法律に則って民間事業者が行うことは止められませんが、自治体がPR等を税金を使って推進することに公共の利益が存在しません。大阪府・大阪市が事業を進めるべきではないと考えます。
Q.3. 東京にIR(カジノ)施設を整備することについて
その他
理由: IR事業は不要不急の事業であり、慎重に検討する必要があると考えます。
◆れいわ新選組
Q.1. そもそも、IR整備法に基づき、IR(カジノ)の整備を進めることについて
反対
理由: カジノ資本は、儲けるためには周辺地域住民を食い物にしていくしかない。そのため、お金が吸い取られ、健全な街の発展が阻害されるばかりでなく、ギャンブル依存症や、マカオで深刻化しているように、周辺でのスリが増えるなど、街並みが殺伐化することは必至です。「カジノはオワコン」と言われている中、周回遅れで日本は参入。もっとまともな産業政策を国や自治体は行うべきだ。
Q.2. 大阪のIR(カジノ)整備計画を進めることについて
反対
理由: カジノ施設などを整備・運営する事業会社である大阪IR株式会社が違約金なしで撤退できる「解除権」を放棄したことは非常に遺憾だ。もともと夢洲はごみ捨て場だったこともあり、地盤も不安定。ガス漏れなどの問題もある。
Q.3. 東京にIR(カジノ)施設を整備することについて
反対
理由: 横浜カジノ計画がとん挫し、和歌山もとん挫。残ったのは大阪だけという状態になっているが、このような迷惑施設の建設が誘致された結果、ババを引くのは地域住民の皆さんだ。
◆社会民主党
Q.1. そもそも、IR整備法に基づき、IR(カジノ)の整備を進めることについて
反対
理由: カジノはギャンブル依存症者が増える恐れがあります。ギャンブル依存症となることで、多重債務に陥ることや、家族の生活が困窮したり、離婚や自殺する恐れもあります。政治が市民を不幸にさせる政策をしてはなりません。カジノの整備をやめるべきです。
Q.2. 大阪のIR(カジノ)整備計画を進めることについて
反対
理由: 大阪でIRの建設地とされている夢洲は、大阪関西万博の開催地でもあり、公金を投入して土壌対策やインフラ整備などを行なっています。ギャンブル依存症を生み出すカジノに私たちの税金が使われています。大阪を政府や日本維新の会の実験場にさせてはなりません。
Q.3. 東京にIR(カジノ)施設を整備することについて
反対
理由: 東京のIR(カジノ)誘致先として挙げられているお台場などの臨海部は、東京湾など豊かな水辺環境で魅力ある貴重な地域です。東京都民や観光客にとって安らぎある地域に、ギャンブル依存症を生み出すカジノを整備することは到底許されません。東京でもIR(カジノ)整備に反対です。
◆参政党
回答期限までに回答をいただけませんでした。
◆NHK党
回答期限までに回答をいただけませんでした。
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※ 各政党には、以下のアンケートとお願い文を送りました。
IR(カジノ)に関するアンケートのお願い
2024年10月9日
カジノいらない!東京連絡会
前略
1 IRカジノについて
「カジノいらない!東京連絡会」は、ギャンブル依存症の増加、治安の悪化、青少年への悪影響などへの懸念から、東京へのカジノ誘致に反対する市民団体です。
コロナ前(平成30年)に成立した特定複合観光施設区域整備法(IR整備法)は「国内外からの観光旅客の来訪及び滞在を促進する」ために、「カジノ事業の収益を活用」して「特定複合観光施設(IR)」区域を整備するとし、国内に3か所、IR(カジノ)施設を整備することを想定していました。
2 現在のIR(カジノ)計画
この法律に基づき、大阪府のIR(カジノ)整備計画が認定されましたが、その審査結果報告書では「地域住民への対面での説明の場を設けるといった能動的な理解促進のための取組の計画が乏しいように見受けられる。」とか、ギャンブル依存症対策について「若者以外も含めた実効性のある早期発見・早期介入のための取組の記載があまり見られず、今後の具体化が必要である。」などの厳しい指摘もあり、大阪では、今でも地域住民による反対運動が盛んに行われ、住民訴訟が係属しています。
また、九州・長崎のIR(カジノ)整備計画は「資金調達の確実性を裏付ける根拠が充分であるとは言い難いこと」「カジノの有害な影響の排除に関する措置の適切な実施を裏付ける根拠が充分であるとは言い難いこと」などを理由に「認定を行わない」こととされましたので、今後、大阪以外に、残り2箇所、IR(カジノ)が整備される可能性があります。
3 東京都のIR(カジノ)に関する動向
東京都では、2015年3月の「臨海副都心における公共空間の一体利用等調査」で、江東区青海地区北側に大規模な国際会議場・展示場(MICE施設)を整備するための「収益のエンジン」としてカジノの必要性が強調されています。また、2019年3月、東京都の委託により作成された調査報告書では、東京都の意向により、カジノを含むIRを誘致した場合には「五輪後の経済成長の起爆剤となる可能性」という記載が加えられました。また、2019年10月、官民連携チームは「稼ぐ東京」のために「IRを整備し、国内外から人を集める」ことを提案しています。
東京都は結局、定められた期間内にIR(カジノ)整備計画の認定申請をしなかったものの、現在でも「国の動向を注視」し、IR(カジノ)の「メリット、デメリットを総合的に検討する。」という姿勢を崩していません。
4 カジノ事業の収益を頼みとするIR整備法の見直しの要否
新型コロナウイルスの感染拡大により、海外では三密の環境で24時間営業のギャンブルを行うカジノ事業の収益は悪化し、また、オンライン会議の普及により、巨大ハコモノに頼る国際会議の在り方も変容を遂げました。
このような状況の中で、今後も、カジノ事業の収益を頼みとする観光政策を続けていくのか、大阪以外にもあと2つ、さらにIR(カジノ)区域を整備することを予定するのか、国会でも、IR整備法の見直しの要否について、充分に議論する必要があると考えます。
5 アンケートのお願い
そこで、有権者の参考のため、衆議院議員総選挙を前に、各政党におかれては、別紙のアンケートにお答え下さいますよう、お願いいたします。アンケートへのご回答は、インターネット上で公開させて頂きます。
ご多忙中に恐縮ですが、10月18日(金)までに、メールまたはFAXで、ご回答下さい。
草々
IR(カジノ)に関するアンケート
1 そもそも、IR整備法に基づき、IR(カジノ)の整備を進めることについて
( )賛成 ( )反対 ( )その他
理由
2 大阪のIR(カジノ)整備計画を進めることについて
( )賛成 ( )反対 ( )その他
理由
3 東京にIR(カジノ)施設を整備することについて
( )賛成 ( )反対 ( )その他
理由
※ 賛成、反対、その他の欄に○印をつけ、理由もご記入下さい。