今日はビジネス界の社交の場でのマナーを学んだ。
アニーは心あらずといった感じで、エルロイに時々叱られた。
昼食を摂った後、すぐキャンディの部屋を訪れた。
キャンディは目を覚ましていた。メイドが体を拭いた後、ネグリジェに着替えさせている所だった。
胸元にレースの装飾が控えめにある水色のネグリジェだった。
その間、アニーは温かいスープをもらいに自ら厨房へ行った。
それを持ち運んだ後、キャンディに飲ませた。
「厨房でね、ジョーっていう見習いの男の子がキャンディのことを心配していたわよ」
キャンディは苦笑いした。
何か言いたげな目で見つめるアニーに気付き、「どうかしたの?」とキャンディは尋ねた。
意を決してアニーは口を開いた。
「うん、あのね。この間アルバートさんとパティが一緒にいる所を見たわ。キャンディも見たんじゃないかと思って…」
キャンディはしばらく黙っていたが、昔から感が鋭いアニーには隠し通せないと思った。
「ええ。見たわ。休日出勤から帰って、客間の近くを通った時ドアが開いていたの。
アルバートさんとパティは何か話していて、「愛しています。これからもずっと」と言うパティの声がして、アルバートさんはパティを抱きしめたの」
キャンディは下を向きながら言った。
「ええっ?パティがアルバートさんに告白!? それで、アルバートさんが抱きしめたってことは…やっぱり、そういうことなのね!」
アニーは驚くと同時に、疑惑は本当だったと思った。
アニーの表情は険しくなり、そして興奮ぎみに続けて言った。
「アルバートさんはキャンディに甘すぎるくらい優しかったじゃない。だから、てっきり愛しているんだと思っていたわ。
このミントグリーンのお部屋を作って、キャンディにここで暮らすように言われたわね。
ポニーの家の子どもたちやシスターたちを、この家に招待してくれたこともあった。私も本当に嬉しかったわ。
それに……そうそう、馬を2頭も買い戻してくれたわね。キャンディの友達のシーザーとクレオパトラだったかしら?
もう、やり過ぎなくらい。」
「養女だから…じゃない?」
キャンディは力なくそう呟いた。
続く