デザイン制作の極意~谷宜樹~

デザイン制作の極意を紹介していきます。

WEBサイトに活かしてみよう!「プロスペクト理論」と「アンカリング理論」

2022年04月26日 | 基礎知識

前回は、「行動経済学」についての概要を谷宜樹が解説しました。
人間の非合理的な行動をWEBデザインに活かすということの意味が分かっていただけたでしょうか。
今回は、行動経済学で定義されている法則をいくつかご紹介します。
それぞれどんなWEBデザインに活かせるか、谷宜樹と一緒に考えてみましょう。


■「プロスペクト理論」を学ぼう

行動経済学の中心となる法則に、「プロスペクト理論」というものがあります。
これは、与えられた情報ではなく、自分の状況や感情によって期待値を変えてしまうという考え方です。
例えば、次のような宝くじがあったとしましょう。

①100万円をもらえる確率が80%である
②200万円をもらえる確率が40%である

みなさんならどちらの宝くじを買いますか?
①はかなりの確率でお金を手に入れられます。
②は①の2倍の金額ですが、もらえる確率は半分です。
「プロスペクト理論」では、多くの人が「たくさん得をするよりもできるだけ損をしない」選択をすると定義されています。


■プロスペクト理論をWEBデザインに活かすと…

プロスペクト理論を活かしたWEBデザインでは、「○%」「○割」という確率や、「先着○人まで」という数字がよく使われます。
「早く申し込まないと売り切れる」と思わせることで、より購買意欲を刺激できるでしょう。
本当に必要なものか判断するよりも、他の誰かに取られないようにすることを優先させる非合理的な行動を促しています。


■「アンカリング効果」って何だろう

アンカー(いかり)を使って船の位置を固定するという意味から、「最初に見た情報が人間の思考の中で無意識のうちに固定化される」という法則です。
例えば、服屋さんに行ってTシャツが2000円で売られているのを最初に見たとします。
その後、別のお店で同じものが750円で売っているのを見つけたら「安い!」と感じますよね。
もっと探せば750円以下で売っているお店はいくつも見つかるのに、最初に見た2000円の値札が大きなイメージを持ち、判断に影響を及ぼしています。
これが「アンカリング効果」です。


■アンカリング効果がWEBデザインに利用されている例

アンカリング効果が発揮されるのは、主に価格を示す一覧表です。
よく「料金を比較」という記事がありますよね。
同じサービスでも、A社は12万円、B社は15万円、C社は18万円であると書いてあれば、これを見た人は「安くて12万円か」と考えるでしょう。
まずこの価格が脳内に固定化されます。
その後で「私たちに依頼すれば10万円!」と書いてあれば、「安い!お得だ!」と思いますよね。
他社の料金と比較する他に、自社の従来の商品の価格と比べて安いセール品をおすすめするのもアンカリング効果によるものです。


今回は、谷宜樹が「プロスペクト理論」と「アンカリング理論」についてお話ししました。
次回も行動経済学の法則について、WEBデザインの例とともに解説していきましょう。



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