「忍法忠臣蔵」山田風太郎。元の話がツマラナイので、逆に、山田風太郎が不味い食材を如何に美味しく料理するか、に興味を持った。エロ仕掛けで忠義の浪士をズタボロに落とす物語は予想の範囲内であったが、エロの度合いが想定を遙かに超越するエロエロ忠臣蔵が股ぐら直撃で頭グラグラ。ハチャメチャな忍法をもっともらしく技術解説されちゃうと、笑いが止まらず困る。あほらし過ぎて。あほらしいが「郡兵衛崩れ」「貞四郎崩れ」は痛ましい。痛まし過ぎてあほらしい。「小平太崩れ」は残された女が悲惨過ぎて痛ましい。
花の一輪もない木蓮のほそい枝のうえに、いまはっきりと姿をあらわした無明綱太郎、おぼろ月をふりあおいで、憮然としてつぶやいた。
「忠義のために死ぬ奴は、赤穂浪士をふくめて好きではないな」
「宗十郎頭巾」大佛次郎。鞍馬天狗ものの一編である。鞍馬天狗については先入観が頭の中を支配していた。勧善懲悪のチャンバラ活劇だと勝手に思い込んでいたが、とんでもない間違いだった。鞍馬天狗という超人的剣士が、悪玉をバッタバッタと薙ぎ倒すだけのヒーローものだと思っていたのだ。しかし、実際に鞍馬天狗を読んでみると認識が一変した。鞍馬天狗が仲間から倉田と呼ばれる倒幕を企む一剣士にすぎなかったことは、まず大きな驚きだった。倒幕運動を進める中にも派閥のように組織が分岐し、その間に溝が存在する。その上幕府側の切り崩しにあい、相互に疑心暗鬼が生まれ、更に幕府側に寝返る二重スパイの存在ありやなきや。そんな状況の中人呼んで鞍馬天狗の倉田典膳が敵味方双方から命を狙われる。これは、ハードボイルドではないか。暗く陰に沈む暗闇のヒーロー鞍馬天狗。この他の鞍馬天狗も読んでみたいと思った。アラカンじゃなくて
花の一輪もない木蓮のほそい枝のうえに、いまはっきりと姿をあらわした無明綱太郎、おぼろ月をふりあおいで、憮然としてつぶやいた。
「忠義のために死ぬ奴は、赤穂浪士をふくめて好きではないな」
「宗十郎頭巾」大佛次郎。鞍馬天狗ものの一編である。鞍馬天狗については先入観が頭の中を支配していた。勧善懲悪のチャンバラ活劇だと勝手に思い込んでいたが、とんでもない間違いだった。鞍馬天狗という超人的剣士が、悪玉をバッタバッタと薙ぎ倒すだけのヒーローものだと思っていたのだ。しかし、実際に鞍馬天狗を読んでみると認識が一変した。鞍馬天狗が仲間から倉田と呼ばれる倒幕を企む一剣士にすぎなかったことは、まず大きな驚きだった。倒幕運動を進める中にも派閥のように組織が分岐し、その間に溝が存在する。その上幕府側の切り崩しにあい、相互に疑心暗鬼が生まれ、更に幕府側に寝返る二重スパイの存在ありやなきや。そんな状況の中人呼んで鞍馬天狗の倉田典膳が敵味方双方から命を狙われる。これは、ハードボイルドではないか。暗く陰に沈む暗闇のヒーロー鞍馬天狗。この他の鞍馬天狗も読んでみたいと思った。アラカンじゃなくて