杉作、何も知らんかったおっちゃんをユルシテね

2008-10-28 22:16:59 | Weblog
「忍法忠臣蔵」山田風太郎。元の話がツマラナイので、逆に、山田風太郎が不味い食材を如何に美味しく料理するか、に興味を持った。エロ仕掛けで忠義の浪士をズタボロに落とす物語は予想の範囲内であったが、エロの度合いが想定を遙かに超越するエロエロ忠臣蔵が股ぐら直撃で頭グラグラ。ハチャメチャな忍法をもっともらしく技術解説されちゃうと、笑いが止まらず困る。あほらし過ぎて。あほらしいが「郡兵衛崩れ」「貞四郎崩れ」は痛ましい。痛まし過ぎてあほらしい。「小平太崩れ」は残された女が悲惨過ぎて痛ましい。

花の一輪もない木蓮のほそい枝のうえに、いまはっきりと姿をあらわした無明綱太郎、おぼろ月をふりあおいで、憮然としてつぶやいた。
「忠義のために死ぬ奴は、赤穂浪士をふくめて好きではないな」


「宗十郎頭巾」大佛次郎。鞍馬天狗ものの一編である。鞍馬天狗については先入観が頭の中を支配していた。勧善懲悪のチャンバラ活劇だと勝手に思い込んでいたが、とんでもない間違いだった。鞍馬天狗という超人的剣士が、悪玉をバッタバッタと薙ぎ倒すだけのヒーローものだと思っていたのだ。しかし、実際に鞍馬天狗を読んでみると認識が一変した。鞍馬天狗が仲間から倉田と呼ばれる倒幕を企む一剣士にすぎなかったことは、まず大きな驚きだった。倒幕運動を進める中にも派閥のように組織が分岐し、その間に溝が存在する。その上幕府側の切り崩しにあい、相互に疑心暗鬼が生まれ、更に幕府側に寝返る二重スパイの存在ありやなきや。そんな状況の中人呼んで鞍馬天狗の倉田典膳が敵味方双方から命を狙われる。これは、ハードボイルドではないか。暗く陰に沈む暗闇のヒーロー鞍馬天狗。この他の鞍馬天狗も読んでみたいと思った。アラカンじゃなくて

メタボ健診、該当せず、とのことでやれやれです

2008-10-22 21:43:39 | Weblog
この間全く本を読んでいなかったのかというと、読んでいなかった。受験勉強が本気モードに入ってしまったので、心の余裕をすっかり失ってしまっていたのだ。10月初旬に受験は無事に(合否はともかくとして)終わったのだが、心の疲労が回復するまでなかなか本に手が伸びなかった。本当はどんな状況であれ読書を楽しむ余裕は失いたくはないのだが。でも、まあ、ようやく本屋に立ち寄ってみて最初に手に取ったのが、「つげ義春コレクション ねじ式/夜が掴む」(ちくま文庫)。全く成長しとらんな。未読も数編有ったし興味がそそられた。つげ作品で一番好きなのは「ほんやら洞のべんさん」なのだが、今回の配本には収録されていない。今後月一で全9巻順次刊行されるようなので楽しみである。その他は山本周五郎の「五瓣の椿」。山本周五郎ものは読み出しても途中で投げ出してしまったりする。「寝ぼけ署長」「季節のない街」など。これら早く読了してしまいたいのだが、何故か手が伸びない。この「五瓣の椿」は内容の面白さもあって一気に読めた。可憐な暗殺者に捜査の追っ手が迫る辺りから、俄然物語は面白くなっていく。