他の方のブログ等で蓄電システムは自家用発電設備等の系統連系に関する電力会社との契約が必要となる事が判明したため記事を削除していましたが、蓄電システム構築の参考になると思われるので備忘録2として掲載します。
現在(2022年2月から)は運用停止しています。
2021/05
バッテリー容量の変更
2019年に構築し、順次手を加えて運用を行っていた蓄電システムですがバッテリー容量が消防法で定められている値を超えている事が発覚したので、見直しを行うためシステムを一旦停止していました。
バッテリー規制対象は4800Ah・セル未満のものを除くとなっていますので、この範囲内で運用しないと消防法に抵触します。
4800Ah・セルとはリチウムイオン電池の公称電圧3.7VからkWhを算出すると、17.76kWhとなります。(公称電圧が3.75vだと18.0kw)
三菱アイミーブに搭載されているLEV50で計算すると17760w/50A×3.7V=96個となりLEV50-8が12ユニット利用可能となります。
但し、4800Ah・セル未満となっているので11ユニット(16.28kw)での運用となります。
中古バッテリーのため蓄電容量は75%~80%程度と思われますので、12ユニットでも問題ないと思われますが後々問題があると困りますので11ユニットでの運用としました。(劣化が少ない後期型バッテリーを使用)*アイミーブ1台分のバッテリーで運用
下段の黄色ユニット1台はブレーカーで切り離して運用しています。
利用ブレーカー
消費電力が多い赤線側(1日あたり3.1KWの給電)に6ユニットを接続し消費電力が少ない黒線側(1日あたり2.8KWの給電)に5ユニットを接続する事としました。(買電が発生する夕方~23時までのインバーター給電量)
見直しに伴いバッテリー切り替え用12V5極リレーを100V大容量リレー3回路に変更し、自動充電回路を追加しました。
また、屋内側のリミットセンサーを屋外側へ設置し片側最大1.8kw自動給電ができるように変更しました。
40A3回路100Vリレー(バッテリーからインバータor充電器接続切り替え&充電器の電源ON用とし使用)
使用しているインバーター
リミット機能付インバーターで家庭内消費電力のみ給電を行うので、逆潮流が発生しません。
モデル:SUN-1000GTIL2-LCD
入力電圧:22V~65V
出力電圧:110v-230v(auto sence)
最大950wまで出力可能(900wに設定)で、出力電力やバッテリー入力電圧保護値等の詳細な設定が可能となっています。)
サイズは430×310×160㎜で重さは3.6㎏です。
全体構成図
今回の見直しで各2台のインバーターをバッテリー接続し、屋内側に取り付けてあったリミットセンサーを屋外側に変更しました。
これで赤線・黒線側にそれぞれ最大1.8kw(合計3.6kw)の給電が自動で行われるようになりました。
夏場にエアコンを使用しても買電は殆ど発生しないと思われます。
センサー回路図
屋内側のセンサーを屋外引き込み線へ変更し、充電回路用の電流センサー(SW付き)を追加しました。
システムの流れ
23:00~07:00 インバータ停止(深夜時間帯の買電が発生するが料金が割安なので現状はこのままで運用)
07:00~23:00 インバータ動作開始(昼間時間帯に買電が発生すると自動的に給電開始)
07:00~ 17:00 自動充電関連の電源投入(①リレー供給用100v電源ON ②光量センサー・遅延リレー動作用12v電源ON)
見直しに伴い課題であった自動的に充電する回路を試行錯誤しながら構築しました。
フローは以下のとおりです。
1.太陽光売電が発生する状態で光量センサー(感度調整可能)のSWがOnとなり充電関連のリレー動作が可能となる。
2.充電に必要な太陽光発電容量が片側赤線1.3kw(計2.6kw以上の売電)以上になると充電回路Aへ接続されている引き込み線設置センサーSWがONとなり赤線側のバッテリー切り替えリレー&充電装置用リレーが動作し充電が開始される。リレーの自己保持回路により充電の消費電力(約1.85kw)が発生しても継続して充電が可能となるようにした。売電が続いていれば継続充電となる。
この時、黒線側の回路も動作するため遅延リレーで一時的に回路を切断し赤線用の充電装置が動作し消費電力が減少した時点で接続する回路とした。
3.充電中に流れ雲の影響や家庭内消費電力が上昇し買電(インバータからの給電)が発生する場合に充電回路を切断する。(赤線充電と赤黒充電により2パターンで動作)
屋外側のインバーターの電力線にセンサーSWを赤線側、黒線側それぞれ2個設置し設定を50Wで起動と100Wで起動するようにし、50W側は黒線回路の切断、100Wは赤線回路(当然黒線側も切断)切断するようにしています。
見づらいですが、アナログリレーによる制御の自動化回路です。
ポイントはセンサーSWがONになった時点で自己保持回路により連続してバッテリーの充電側への切り替え&充電機器への電源供給が可能になった事と流れ雲等の影響や自家消費量が多くなり買電が発生する場合に回路を切断し給電処理を行う事が可能になった事です。
また、当初は遅延リレーを設置していなかったので赤線側黒線側が同時に起動となり消費電力が逆潮流電力を上回り「起動ー切断」を繰り返していましたが遅延リレー設置後は解消されました。
流れ雲の影響や自家消費増の場合も自動的に停止し、発電量が回復すれば再起動の動作も確認できています。
2021年5月から運用再開していますが、今のところ問題無く自動で充電が行われています。
新たに追加した充電回路用AC電流センサーSW
2021/05/11
屋外分電盤に設置する充電回路用の電流センサーSW(手持ち保管)はケーブルを通すために一旦ブレーカーから入力線を外さないと取り付けできません。
入力線を外すには電力会社への届け出が必要となり面倒なので色々ネットで検索すると分割クランプ型のセンサーSWを見つけました。
トリマーでSWオンの電流値が調整可能となります。設定は13A(1.3kw)としています。
屋外分電盤に設置している電流センサー群
左側が赤線の充電回路用、真ん中がリミットセンサー用1(屋外インバータ用)、右側の黒色が太陽光発電用、その右側が黒線リミットセンサー用1(屋外インバータ用)となります。
写真には写っていませんが赤線リミットセンサー2(屋内インバータ用)と黒線太陽光発電用センサー、リミットセンサー2(屋内インバータ用)を取り付けています。
電流値の設定は発電が上昇する時間帯にクランプテスターで確認しながら行いました。(シールに3.5Aと記入していますが実際は13Aで設定しています)
バッテリー共有変更
2021/05/21
現在、赤線・黒線のインバーターに6ユニット・5ユニットのバッテリーを接続しています。
本年は梅雨入りが早く雨の日は昼間時間帯にも給電が行われるのと、充電が行われないのでバッテリーの消費量が多くなっています。
消費電力が多い赤線側のバッテーリーの消費が多くなっているため2日間晴れ間が無いと3日目からは給電が不可となります。
黒線側の残量に余裕があるので全体のバッテリーユニットからインバーターに接続する方法に変更しました。
バッテリーユニットのマイナス側を全て接続し、プラス側もブレーカー経由で全ユニットを接続できるよう配線しました。
給電・充電どちらも問題ありませんでした。
ショットキーダイオードの交換
2021/06/01
2年以上使用していたショットキーダイオードですが発熱の影響で取り付け端子盤が変形していたので見直しを検討しました。
端子板間を中空配線で取り付けしていました。
取り外し後の端子盤の状態です。発熱でかなり変形しています。
新たに放熱板付きのショットキーダイオードとヒートシンクを購入し加工して取り付けました。
ヒートシンクは放熱効果を上げるため縦穴を数か所開けています。
ショットキーダイオードは1個で2回路(3端子の左右が入力側で中央が出力側)の仕様となっています。
左右を端子盤に差し込み固定し中央はU型に折り曲げてリード線をハンダ付けして端子盤経由でインバーター側に接続します。
変更後の取り付け状況
ヒートシンクはかなり熱くなりますが端子盤までの熱はかなり軽減されたと思われます。
但し、今回取り換えしたショットキーダイオードですが電圧降下の値が前のダイオードより高くなっています。
新しいダイオードの電圧降下は-0.3vで前のダイオードの電圧降下は-0.1Vでした。
インバーターへの電源供給電圧には殆ど影響無いと思います。
2021/06/12
ダイオードの交換(理想ダイオード)
現状のショットキーバリアダイオードは電圧降下の値が高く温度も上昇するので、以前から気になっていた理想ダイオードに交換しました。
電気回路によるFETで制御しているため損失や温度上昇は殆ど無くバッテリーからの電力を無駄なく供給できます。
AliExpressで購入しました。
1回路あたり570円と少々高額ですがバッテリー並列接続するシステムでは良いアイテムと思います。
交換、取り付けて運用しましたが電圧降下や温度上昇も無く問題ありませんでした。
自動充電について
自動充電回路ですが問題無く動作しており、快晴時の充電は7時30分位から始まり午前中までには満充電完了となっています。
現在使用している充電装置
定格2000W 36V 56Aの出力で 電圧・電流の個別設定が可能 但し入力電圧は200v仕様
33v 55Aの設定で充電しています。
インバーター運転時間の見直し
2021/06/15
深夜時間帯の23時~7時まで8時間、インバータの運転は停止していましたが6月1日から1時~6時までの5時間停止に変更して運用しました。
青色が5月の23時~7時まで停止していた状況で赤色が6月からの状況です。
5月から再エネ賦課金が1kwあたり3.36円と上昇したので深夜時間帯の買電が発生すると1kwあたり14.6円の支払いが発生するのでFIT終了後の売電料金7円の倍以上となるため本日6月15日からインバーターは常時稼働するように変更しました。
タイマー動作により起動・停止を実施していましたがタイマーの常時On機能でインバーター起動しています。
5月の電気料金内訳ですが
昼間時間帯3kw:64円 深夜時間帯119kw:1,338円 再エネ賦課金122kw:410円
基本料・各種割引を合計すると2,627円でした。
6月以降の請求金額はこれよりも安くなると思います。また報告します。
6月の電気料金
2021/07/14
青色が4月の使用量で赤色が6月の使用量のグラフです。
6月16日から全時間帯インバーターを稼働しているので買電量は1日あたり1kw未満で減少しています。
*インバータの仕様で消費電力以下の供給となっているので若干の買電は発生します。(逆潮流防止のため)
インバーター電力供給時に1時間当たり30~50wの買電が発生します。
6月の電気料金内訳です
昼間時間帯4kw:86円 深夜時間帯53kw:596円 再エネ賦課金57kw:191円
基本料・各種割引を合計すると1,805円でした。(4月は2,343円です)
因みに蓄電システム構築前の電気料金は4月で11,566円でした。
現状の料金プランでは基本料が割高プランなので基本料の安いプランに変更すれば毎月の請求額は1000円以下になると思われます。暫く様子をみて検討します。
バッテリーの容量確認
2021/10/09
運用開始から2年半以上、経過したのでバッテリーの劣化状況を調べました。
測定に使用する機材はJUNTEKのVAT-1100です。AMAZONとかアリババで販売されています。
放電に使用する機器はGTI(グリッドタイインバーター)で出力は600wで使用電流は約20Ahです。
バッテリーを定電圧充電装置で33.4vに設定し充電します。
今回測定するバッテリーですが以下の4種類です。
1.最初に購入した青色のLEV50-8 *青1
2.2番目に購入した紫色のLEV50-8 *紫
3.3番目に購入した青色のLEV50-8 *青2
4.最近購入した黄色のLEV50-8 *黄
この画像は青2のバッテリーですが26.3Ahの放電で残存容量は26.3/50=52.6%
結構劣化していました。
この画像は青1のバッテリーで残存率は69.7%でした。
以下は時間経過による電圧の変動グラフです。
最近購入した黄色のLEV50-8ですが残存率は80%以上で当たりでした。
現在運用しているバッテリーは紫と黄色の2種類を使用しています。
2022/02/01
システムの停止
他の方のブログ等で蓄電システムは自家用発電設備等の系統連系に関する電力会社との契約が必要となる事が判明したため2022年2月1日からシステムを停止しています。
FIT終了後は申請が必要無いオフグリッド(100vインバーターによる無停電システム)での運用を計画します。
質問にも御親切にお答え頂き本当にありがとうございました。
色々大変かと思いますが、これからも楽しく勉強させてください!
分かる範囲で回答します。
電気関係は私にとっては門外漢で、見よう見真似でできるものではないことを
痛感させられました。
消防法云々・・・はあらぬところからの横ヤリが入ったのですね。
しかし、それをあっさりクリアしてしまうところがbunさんのすごいところ。
恐れ入りました。
一度見学させてはいただけないでしょうか。
もしよろしければ
greeen@kub.biglobe.ne.jp
までご連絡くださいませ。