長尾雄史のパリで燃えてるか!!【出張裏報告】

今、サンマの塩焼きが食べたい。猛烈に。。。

ああ、無情

2005年09月07日 | パリでの日々
さて、今回のパリ出張のストレスが少ない訳は、一つには完全な自炊生活が送れていること、そして、もう一つは読む本を大量に持ち込んだことにより、思う存分に文学に浸れていることがあげられます。

前ににもお伝えしたとおり、ニコス・カザンザキスの『キリスト最後のこころみ』に始まって、話題の『ダビンチ・コード』(上・下)、ポール・オースタ-(映画の『スモーク』の原作者)の『ムーン・パレス』に、こっちのブックオフで買った『地下鉄のザジ』に、『ヘミングウェイ短編集』。
約1作品を除いて、久々に文学の深淵に触れることができて、昔の文学少年が復活してた感じです。
そして、さらに、

「やっぱりパリは芸術の都だし、俺にとっての最大の芸術は文学になるな」。

と言うことで、シャッフルされた同僚にパリのご当地小説の『レ・ミゼラブル』を持ってきてもらいました。



実は、俺はこの作品は『世界児童文学全書 -ああ、無情-』として、小学3年生ぐらいで読んだっきり。(ってことは、今から、26、7年も前!!)
なので、今回、初めて読んだと言っても過言ではありません。

しかし、このビクトル・ユゴーの大作。物語の合間に、ナポレオン最後の大敗北の「ワーテルローの戦い」から、「パリの当時(19世紀)の隠語」、「パリの下水道」と、とにかくユゴーがあらん限りの講義をしてくれます。
これが、現代の日本人にはちょっと厳しい。。。

なのですが、物語の方は皆さんもご存じの通りにかなり分かりやすく、読者の琴線をつま弾いてくれるのです。俺なんて帰宅後に一人でビール飲みながら「コゼット、可哀相!!」って泣きながら読んでいました。(笑い)
(何か、最近は歳のせいか、昔の職業病のせいか、少年だけでなく、少女に対しても感情移入できちゃんだよね。去年のオランダ出張中に読んだ『アンネの日記』以来)。

しかも、ジャンバル・ジャンの最期に関しては、ビールも飲んでないのに声出して号泣。
自分でもビックリしたよ。(また、コゼットの恋人のマユリスがバカなんだよねぇ~。読んでいて「このバカたれ!!」と何度激怒したことか)。

この作品は、世界的文学作品とは言え、フランス文壇での評価は必ずしも高い物ではなかたっそうです。理由は、「話が面白すぎるから」だって!!(面白くて何が悪いんだ!!)
でも、最後の解説の受け売りなんですが、ユゴーは小説家と言うより詩人として有名みたいで、この大長編小説も実は大作叙事詩だったと言うことなのでした。それは凄く納得がいく。この小説はリアリティよりもエモーションを追求した話ですからね。
そして最近の俺は、リアリティあふれた作品よりもエモーショナルな作品に惹きつけられる。

とまあ、8月の週末はひたすら『レ・ミゼラブル』(俺は『ああ、無情』って邦題の方が好き)の世界に浸っていたのでした。

で、帰国するまで次の俺の慰めは、『ああ無情』と同じく小学3年生以来の『怪盗ルパン』シリーズだ。(こっちは、非常に読みやすい)。




最新の画像もっと見る