日本もいずれ監視国家になるかもしれない
2013年06月11日 23時49分50秒 | 【世界】
Introduction:アメリカ同時多発テロから1ヵ月後、アメリカ国内では炭素菌の入った封筒が議員やメディアに送りつけられる事件が起き、5名もの死亡者を出した。国民全体は不安に陥り、そのような中で成立したのが「愛国者法(Patriot Act)」である
この法によってアメリカ国内でやり取りされる電話、FAX、Eメール、インターネットといった全ての通信を政府当局が監視できる体制が整ってしまった。
さらにCIA(アメリカ中央情報局)、FBI(アメリカ連邦捜査局)も垣根が取り払われ、約5億6千万件もの個人情報を保有するデータベースが50もの政府機関で共有されることになる。
このような体制化では、企業は顧客情報、医療機関は患者のカルテ情報、図書館は利用者の貸し出し記録といった個人情報を、政府当局の要請があれば提出しなければならない。これは「義務」である。
恐ろしいことに、愛国者法はそれに賛成した議員のほとんどが内容すら読んでいなかったことが分かっている。同時多発テロが起き、アメリカ全土はテロとの戦いといった臨戦態勢へと移行していった。その中で、愛国者法に反対できることなどとてもできない「空気」が、”自由の国”アメリカでも醸成されていたのである。
実際、罪もないブロガーが逮捕される事件も起こった。
2006年、連邦地方裁判所はサンフランシスコ在住のブロガー、ジョッシュ・ウルフ氏を逮捕した。要請された資料を拒んだのが逮捕の理由である。彼は、2005年にイラク反戦のデモのビデオを、サンフランシスコで撮影したことがあった。理由はたったこれだけである。
現在、アメリカではジャーナリストのみならず、一般ブロガーに対してまでも”魔女狩り”まがいの言論統制を行っている。「テロとの戦い」が大義名分となっているが、これは体のいい国家統制だ。アメリカはかつて北朝鮮を「悪の枢軸国」とまで言ったが、現在アメリカで進行しているのも北朝鮮同様な専制国家体制なのではないのか?
2007年10月23日、民主党ジェーン・ハーマー下院議員によって提出されたのは「過激思想取締法」である。成立すればブログやその他のネット情報に検閲が入り、”危険な思想”と見なされれば取り締まられることになる。信じられないことに、この法案は賛成多数で下院を通過してしまったのである。
■天木直人のメールマガジン 2013.6.11 『エドワード・スノーデンは第二のアサンジュだ』 (全文)
元CIA職員のコンピューター技師であるエドワード・スノーデン氏(29)が衝撃の内部告発を行なった。
米連邦捜査局(FBI)と国家安全保障局(NSA)が極秘裏にインターネット上の個人情報を入手していることを暴露したのだ。
この告発を実名入りで英紙ガーディアンを通じて行なった。
その覚悟もさることながら、内部告発を行なった動機を語った言葉が感動的だ。
「米政府が秘密裏につくりあげた監視機関を使ってプライバシーや基本的自由を侵害していることに、良心が許さなかった」
権力の不正義を糾弾する内部告発の真髄がここにある。
そしてそれはそのままウィキリークスの創始者であるあのジュリアン・アサンジュの言葉を彷彿とさせる。
実際のところ、民主主義のチャンピオンを自他共に認める米国は、「テロとの戦い」を宣言してからというもの、民主主義国家を放棄した。
国家愛国法の名の下に国家権力による基本的人権侵害が横行する国になった。
ブッシュ政権はもとより、そのブッシュ政権のアンチテーゼとして登場したオバマ政権でさえ、「テロとの戦い」の前には基本的人権を犠牲にしてきた。
ガンタナモ収容所の拷問を放置し、無人機による殺戮を繰り返し、そしてインターネットを通じた国家による個人情報入手がオバマ政権を揺るがしていた。
その矢先の内部告発だ。米国が衝撃を受けたのも無理はない。
ガーディアン紙をして「米国政治史上で最も重要な内部告発の一つ」と言わしめたスノーデンは第二のアサンジュだ。
そしてアサンジュと同様にスノーデンもまた訴追されるだろう。
しかし国家権力でさえも正義の前には勝てないだろう。
「百パーセントの安全と百パーセントのプライバシーを同時に手にする事はできない」と発言するオバマ大統領の言葉がかすんで見える。
このような告発者が出てくる米国の凄さをあらためて思い知る。
このような告発者がただの一人も出てこない日本の民主主義の底の浅さを残念に思う。

Introduction:アメリカ同時多発テロから1ヵ月後、アメリカ国内では炭素菌の入った封筒が議員やメディアに送りつけられる事件が起き、5名もの死亡者を出した。国民全体は不安に陥り、そのような中で成立したのが「愛国者法(Patriot Act)」である
この法によってアメリカ国内でやり取りされる電話、FAX、Eメール、インターネットといった全ての通信を政府当局が監視できる体制が整ってしまった。
さらにCIA(アメリカ中央情報局)、FBI(アメリカ連邦捜査局)も垣根が取り払われ、約5億6千万件もの個人情報を保有するデータベースが50もの政府機関で共有されることになる。
このような体制化では、企業は顧客情報、医療機関は患者のカルテ情報、図書館は利用者の貸し出し記録といった個人情報を、政府当局の要請があれば提出しなければならない。これは「義務」である。
恐ろしいことに、愛国者法はそれに賛成した議員のほとんどが内容すら読んでいなかったことが分かっている。同時多発テロが起き、アメリカ全土はテロとの戦いといった臨戦態勢へと移行していった。その中で、愛国者法に反対できることなどとてもできない「空気」が、”自由の国”アメリカでも醸成されていたのである。
実際、罪もないブロガーが逮捕される事件も起こった。
2006年、連邦地方裁判所はサンフランシスコ在住のブロガー、ジョッシュ・ウルフ氏を逮捕した。要請された資料を拒んだのが逮捕の理由である。彼は、2005年にイラク反戦のデモのビデオを、サンフランシスコで撮影したことがあった。理由はたったこれだけである。
現在、アメリカではジャーナリストのみならず、一般ブロガーに対してまでも”魔女狩り”まがいの言論統制を行っている。「テロとの戦い」が大義名分となっているが、これは体のいい国家統制だ。アメリカはかつて北朝鮮を「悪の枢軸国」とまで言ったが、現在アメリカで進行しているのも北朝鮮同様な専制国家体制なのではないのか?
2007年10月23日、民主党ジェーン・ハーマー下院議員によって提出されたのは「過激思想取締法」である。成立すればブログやその他のネット情報に検閲が入り、”危険な思想”と見なされれば取り締まられることになる。信じられないことに、この法案は賛成多数で下院を通過してしまったのである。
■天木直人のメールマガジン 2013.6.11 『エドワード・スノーデンは第二のアサンジュだ』 (全文)
元CIA職員のコンピューター技師であるエドワード・スノーデン氏(29)が衝撃の内部告発を行なった。
米連邦捜査局(FBI)と国家安全保障局(NSA)が極秘裏にインターネット上の個人情報を入手していることを暴露したのだ。
この告発を実名入りで英紙ガーディアンを通じて行なった。
その覚悟もさることながら、内部告発を行なった動機を語った言葉が感動的だ。
「米政府が秘密裏につくりあげた監視機関を使ってプライバシーや基本的自由を侵害していることに、良心が許さなかった」
権力の不正義を糾弾する内部告発の真髄がここにある。
そしてそれはそのままウィキリークスの創始者であるあのジュリアン・アサンジュの言葉を彷彿とさせる。
実際のところ、民主主義のチャンピオンを自他共に認める米国は、「テロとの戦い」を宣言してからというもの、民主主義国家を放棄した。
国家愛国法の名の下に国家権力による基本的人権侵害が横行する国になった。
ブッシュ政権はもとより、そのブッシュ政権のアンチテーゼとして登場したオバマ政権でさえ、「テロとの戦い」の前には基本的人権を犠牲にしてきた。
ガンタナモ収容所の拷問を放置し、無人機による殺戮を繰り返し、そしてインターネットを通じた国家による個人情報入手がオバマ政権を揺るがしていた。
その矢先の内部告発だ。米国が衝撃を受けたのも無理はない。
ガーディアン紙をして「米国政治史上で最も重要な内部告発の一つ」と言わしめたスノーデンは第二のアサンジュだ。
そしてアサンジュと同様にスノーデンもまた訴追されるだろう。
しかし国家権力でさえも正義の前には勝てないだろう。
「百パーセントの安全と百パーセントのプライバシーを同時に手にする事はできない」と発言するオバマ大統領の言葉がかすんで見える。
このような告発者が出てくる米国の凄さをあらためて思い知る。
このような告発者がただの一人も出てこない日本の民主主義の底の浅さを残念に思う。