今日はとある少年の疑問について、考察したいと思います。
「涼介の公道最速理論ったってさぁ、犯罪だよね。 なんで涼介は、あそこまで頭良いのに犯罪だって解んないんだろうね。 イニDは犯罪漫画か?」
…もっともだ、少年!だがよく考えてみなさい。あの高橋涼介だよ?あの高橋涼介が、そんな瑣末な事を気にするかね?
何しろ、彼は存在自体が犯罪みたいなものだからね。
なので妖様。お子さんにはこうお伝え下さいませ。
「彼のソウルは、きっと彼が憧れているのだろうシャア・アズナブルと同等なのだ。そしてシャアはアクシズを地球に落とそうとしたり、大儀のためには多少の犠牲も止むを得ないという思考の持ち主だ。きっと涼介も、大儀(公道最速理論)のためには、多少の犠牲(道路交通法違反)も止むを得ないと考えているに違いない」
判ったかね?少年。(シャア風に)
さらにこれだけの理屈では足りない、うちへ御出での変兄に慣れたお客様のために、変兄より犯罪についての考察を語らせてみよう。
「犯罪?…確かに一般的にはこれは犯罪と認められる行為なのかも知れない。だがな啓介。よく考えてみろ。そもそも犯罪と言うものの定義について考えた事があるか?」
「…何でたかが『三月末は警察の取締りが厳しい』ってハナシから、こんな事に…」
「うん?どうなんだ、啓介?」
「…いえ、ありません」
「だからお前はダメなんだ」
「……(諦めた)そっすね」
「そんな飲み込みの悪いお前のために、この俺が判り易く噛み砕いて教えてやろう。
人が多い街中で真っ裸で歩いていたら、啓介。どうなると思う?」
「…や、捕まるだろ」
「そうだ。けれどこれが誰もいない峠の上などでなら…どうなる?」
「………さ、さぁ?」
「チッ。想像力の無い奴だな。いいか。俺はそれをよくやるが…」
「…や、やるのかよ?!」
「何を驚いている。気持ちいいぞ~。マッパは。外の風にフリ○ンで当たってみろ。とても開放的になって、好タイムが得れるぞ」
「…アニキの速さの秘密って……」
「おっと。話がズレたな。まぁ、俺はそう言うことを何度も繰り返しているわけだが、未だに捕まったことが無い。同じ行為でありながら、一方は捕まり、一方は自己解放と言うカタルシスをもたらす。この違いは何だと思う?」
「はい!人がいるかいないかです!」
「…って、お前、藤原?!ど、どっから…」
「さすがだ。藤原。今度俺と一緒にマッパ解放法をやるか?」
「…え~と、俺は見物でいいです」
「フフフ、ギャラリーがいるのもまた…」
「もしも~し、話ズレてるんですけど!!」
「おっと。そうだった。つまり、人がいる…犯罪行為を行うことで重要なのはそこだ」
「人に見つかるか、見つからないかですね?」
「そうだ。だが正確ではないな。つまり、見た人間に害を与え、訴えられる事によって犯罪と言うのは成立するんだ。判るか?」
「こっちに迷惑がかからない限り、けっこうみんな見てみぬフリしますからね~。俺が無免許で走ってる時も、旅館の人たちとか笑ってましたし。さすがあの親父だ、って」
「本当に藤原は飲み込みがいいな。後で俺がご褒美をやろう」
「何だかおっかないんで、いらないです~」
「そんな遠慮深いところがまた…」
「…頼むから早く話を進めてください」
「ああ、そうだったな、チッ。口説くのは後にするか。つまりだな。犯罪と言うものは第三者の存在によって始めて成り立つものなんだ。それがいない場合、ただの内的宇宙の自己満足的な趣味の範疇だ」
「わぁ。コスモですね…(意味不明)」
「そうだ。本当に藤原は…(以下同文)」
「…で、でも犯罪は犯罪だろ?」
「チッ。本当に何を聞いているんだ?だから犯罪とは言え、それを立証する手立てがない限り、それは犯罪とは認証されないんだ。だから…」
「だから?」
「犯罪などと言うものは、見つからなければ何したっていいんだ」
「ちゃんと警察無線を傍受するやつもいっぱいついてますしね」
「…マジ?」
「はい。知らないんですか?あのもう一台のバン。要塞みたいになってますよ?外国の放送とか聞けるんです。面白いですよ」
「当然の装備だな。可愛い藤原にそんな犯罪者の汚名は着せられない」
「ありがとうございます。涼介さん」
「構わないさ。この礼は体で…」
「走りで返しますね!じゃ、俺はこの辺で…ブロロロ…」
「フッ…あの奥ゆかしいところがまた…」
「…判ったか、啓介」
「あ、史裕。…ああ。よく判ったよ。つまり…アニキの前では何もかもが治外法権って事がな」
「よく覚えておけ。これがチームのリーダーであり、そしてお前の兄なんだ。…ホント、大変だよなぁ、お前。あ~、俺、ただの親友で良かった…」
「俺は今、この世に味方がいねーんだなって事がよく判ったよ…」
…なんつって。妖様。お子さんの言葉に、ものすっごく大笑いさせて頂きました。
また兄ソウルをお持ちのお子さんのお話、楽しみにしていますよ~。
ではまた。