テニスと読書とデッサンと!

待ち時間に。




「俺、エリの瞳を熱い視線で見つめていい?」

「えっ、急にどうしたの?」

「それからエリの瞳を見つめながら

大好きって言っていい?」

「まあ!うれしいわ」

「それからエリの瞳を見つめて

大好きって言った後にハグしていい?」

「OKよ。ただし軽くならね。あっ、待って。

少しくらいなら力を込めてもいいかも」

「ほんと?それからエリの瞳を見つめて

大好きって言った後にハグしながら

もう一回大好きって言っていい?」

「何回でもどうぞ」

「それからエリの瞳を見つめて

大好きって言ってハグしながら

もう一回大好きって言った後に・・・」

「言った後に?」


チュッ!


「・・・片桐くん、順番通りじゃないのね」

「ごめん。キスが横入りしちゃった」

「じゃあもう一度最初から始めて!」

「えっ?えーと、最初ってなんだったっけ」

「わたしの瞳を見つめるところからよ」


「ジジジのジーッ」


「ちょっと怖いわ。

それからどうするんだったかしら?」

「あっ、人が来ちゃった」

「片桐くん、人が来たら大好きって言えないの?」

「そんなことないけど・・・」

「じゃあ言って」

「・・・大好き」

「誰のことが?」

「エリの・・・ことが」

「続けて言ってみて」

「エリのことが大好き」

「声、小さくない?」

「俺、エリのこと大好き〜!」

「もっと大きな声で」

「おれぇ、エリのことがぁ、

大大大好き〜〜!」


「まあ!いまの、リョウ君、聞こえた?」

「うん、あの人、大好きって言ってた」

「私たちが近くに来てるっていうのに、

あんなに大きな声でびっくり。

とってもお熱い関係なのね」

「ねぇミミ、邪魔しちゃ悪いから行こうよ」

「いやー、すっごく男らしいと思わない?

リョウ君はあの彼みたいに人前で

私のこと大好きってシャウトできる?」

「シャウト?」

「そう。できない?」

「そ、そんなことないよ」

「なら言ってみて!」

「ぼくは〜、ミミのことが〜、

好きでーす!!!」

「うれしいわ。ねぇもう一回」


「なあ森下、いまの聞いたか?」

「ああ。ここは恋愛パラダイスみたいだな」

「俺たちここにいちゃいけない気がするよ」

「そうみたいだな。飯でも食いに行くか」

「おぅ、そうしようぜ」

「だけどあいつら、あんなでっかい声で

昼間っから愛を確認し合えるなんて

ちょっと羨ましいな」

「ほんとだな」

「ところで森下、お前、俺のこと好きか?」

「あぁ。面白いヤツって意味ではそうかも」

「じゃあ言ってみてくれ」

「言ってみてくれって、なにを?」

「大好きってさ」

「手塚・・・おまえ、アホか」


春本番の陽を浴びてポピーが咲きました。

虫たちに「寄ってらっしゃいな」という声が

聞こえてきそうです。



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