大雨
天安門事件を題材に描いた『天安門、恋人たち』で中国当局から5年間の映画製作禁止処分を受け、
その間にも他国で作品を発表し続けていたロウ・イエ監督が、
禁止令が解けた2011年に中国本土で手がけた作品。
事件の被害者である女子大生と一緒にいた男が二つの家庭を持っていたことが明らかとなり、
その男に関わる女性や事件を追う刑事の思惑が複雑に錯綜する様子を描く。
本妻役の女優さん(トップ画像のポスター上部の横顔の女優さん)が
大西結花(昔の日本のドラマ『スケバン刑事3』の三姉妹の長女役)に見えてしまった。。。
それはさておき、久しぶりに観た中国映画(フランスとの合作ではあるけどね)。
私は一時期、アジア映画にハマっていたし、
家族を題材に描かれている作品が多いのでアジア映画は嫌いじゃないんだけど、
殺害場面が酷かったり、トイレで嘔吐の場面が普通に出てきたりするのは苦手だったりするな・・・。
“二重生活”という邦題で、確かに家は本妻・愛人の二つなんだけど、
殺害される女子大生も含めると”三重の女性関係”・・・。
娘よりも息子、中年女よりも若い女。
儒教精神の名残が残るお国柄で男尊女卑な価値観の男やその男の親にとっては当たり前の選択であり、
欲情に溺れる男にとっては一瞬の惑いであったとしても若い女に揺らいでしまう。
男にしたら致し方ないんだろうけど、
子供の性別を選んで出産出来ない、嫌でも年々加齢が伴う女にとってはどうする事も出来ないわけで・・・。
男はのらりくらりズルイだけで、女はプライドと嫉妬が蠢くしかない・・・。
横殴りに叩き付けるように降りつける大雨が
やるせない狂気を物語っているようにも感じた作品でした。
≪ロウ・イエ監督作のレヴュー(感想)≫
私はロウ・イエ監督作は『天安門、恋人たち』が初めてで、その作品は私の感性には合わなかったんだけど、
なぜか、新作が公開されると観に行っていて、
段々、テイストに惹き込まれるようになってきたんだよね。
決して、好きな作風とは言えなくても
「あー、なんかこういう愛もわからなくはないなぁ。」って。
私も歳とったからだろうなぁ~。
初めはあまり好きだと思わなかったのに、何故かその後追いかけてしまい、だんだん理解出来るようになる、
この感覚すごく分かります。
私は、この監督は、『スプリング・フィーバー』でビリビリ来てしまいました。
うん、観てきました。
頭では理解出来なくても、心にシンパシーを覚えるモノがあれば
自然に足が向いて観に行っちゃうんでしょうね。^^
若い頃は自分の理想と重ね合わせた見方をしてしまったりもするけど、
年齢を重ねてくると理屈じゃ測れないこともあるって徐々にわかってくるから
却ってフラットに観られるのもあるのかもしれないですね。
確かに、『スプリング・フィーバー』はくるモノがありますよね。
私は『パリ、ただよう花』もどんよりじわっときました。