~青いそよ風が吹く街角~

映画(主にミニシアター映画)の感想文を軸にマイペースで綴っていきます。

『終わらない青』... ※ネタバレ有

2011-12-10 23:52:07 | 映画【日本】


  『終わらない青』:公式サイト

父親の性的虐待によって妊娠してしまった女子高校生楓が、
心のバランスを保つためにリストカットを繰り返す姿を描く。

“終わらない青”というタイトルなんだけど、“青”と言えば青空が映るぐらいで
傘・カーテン・テーブルの3輪の花などの小物は赤が使われている。
楓の葉、そして、血の赤・・・。
青よりも赤がモチーフになっているような気もした。

学校で友達と話している時の楓〔水井真希〕はどこにでもいそうな落ちついた風情の優等生で
学校の階段の踊り場の木漏れ日、教室の窓辺の風にそよぐカーテンはみずみずしいし、
楓が楓の樹木の前でお腹の中の赤ちゃんに話しかける台詞は詩的。
そういう耽美な学校生活の映像だけを観ていると、叙情的な青春映画のようなだけに
楓が家で日常的に受けている父からの性的虐待との比は天国と地獄のようだ・・・。
「楓はどうして家出しないんだろう?」と思ったりもしたんだけど、
ここまでになると逃げる気力も起きないんだろうな・・・。

父親からの性的虐待による10代の妊娠と言えば
アメリカ映画『
プレシャス』を思い出すんだけど、

 『プレシャス』・・・ ※ネタバレ有

『プレシャス』ではヒロインに親身になってくれる人も現れるから
絶望的な状況に見舞われても一筋の希望を見い出していけそうだったけど、
『終わらない青』はひたすら絶望ばかり広がっているような・・・。
救われたのか?そうではなかったのか?どちらともとれる結末・・・。
希望や夢に転じて物語を美化して結ぶのではなく、
そう簡単に答えは導けない”リアル”を突きつけたかったのでしょうね。


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