11月19日、日産自動車のカルロス・ゴーン元会長、グレッグ・ケリー元代表取締役が2011年3月期から5年間、ゴーン氏の役員報酬を過少に記載したとして有価証券報告書虚偽記載の疑いで逮捕されました。
また、その後の12月10日には同期間の有価証券報告書虚偽記載について、証券取引等監視委員会が告発、東京地検特捜部は起訴しました。
更に同日、2016年3月期から3年間についても役員報酬を過少に記載したとしてゴーン氏、ケリー氏を再逮捕しました。
本事件に関するリーク報道は断片的かつ矛盾した情報が多く、結局のところ何が問題となっているのかが非常に分かりにくくなっております。
(参考としてNHK報道の変遷の様子を記事最後に抜粋しております。いかに内容を分からぬままリーク報道を右から左に流しているかをご覧ください)
本記事では、日産の役員報酬制度と本事件のリーク報道を振り返りつつ、有価証券報告書虚偽記載についてやや批判的に検証したいと思います。

A. 過少記載額はいくらか
上表にまとめてみましたが、2011年3月期から5年間については、証券取引等監視委員会告発内容によれば累計48億円強、2016年3月期から3年間については、NHK報道によれば累計40億円強の過少記載となっております。
日産自動車株式会社に係る虚偽有価証券報告書提出事件の告発について
https://www.fsa.go.jp/sesc/news/c_2018/2018/20181210-1.htm
B. 過少記載の報酬は財務諸表には反映されているか
日産自動車による適時開示では報酬費用の計上等の財務情報等に関する訂正内容を精査しているとあり、反映されていないようです。
2018/12/10 16:30 過年度有価証券報告書等の訂正予定に関するお知らせ
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120181210447414.pdf
ところで、この定期時開示はTDNetに掲載されていますが、日産公式サイトではなぜか掲載を見つけられませんでした。
C. 日産自動車の役員報酬はどのような制度設計になっているか
日産自動車の役員報酬は、定款において株主総会によって定めることとされております。
現在、株主総会で承認された制度は、年額29億9,000万円以内と定められる確定額金銭報酬と、年間上限数普通株式600万株相当と定められる株価連動型インセンティブ受益権(SAR)の2制度です。
確定額金銭報酬は、年額の上限が定められていること、企業報酬のコンサルタント、タワーズワトソン社による大手の多国籍企業の役員報酬のベンチマーク結果を参考に、個々の役員の会社業績に対する貢献により、それぞれの役員報酬が決定されること以外に詳細な条件は明らかではありません。
株価連動型インセンティブ受益権(SAR)は、制度適用期間は概ね3年度と設定されており、権利付与日は取締役会が定める条件に従って適用期間内における各事業年度毎に決定される日、権利行使可能期間は各権利付与日から 10 年を経過する日までの範囲内で取締役会が定めるとされております。
D. 過少記載の報酬はゴーン氏に支給・付与済みか
当初はSAR40億円を付与していたとする報道がありました。(後掲 参考02,03など)
しかし、最近の報道では、まだ支給はしておらずゴーン氏が役員退任後に報酬を支給する計画を立てていたとするものが主流となっております。(参考05,06,08,11など)
E. 過少記載の報酬は何れの制度によるものか
報酬請求権は定款の定めまたは株主総会決議の根拠なしに発生しません。(例外の判例は一応ありますが、本件の射程外と考えていただいてよいです)
従って、過少記載の報酬があるとすれば、確定額金銭報酬、または、SAR制度の何れかによる必要があります。
当初はSAR制度によるものとする報道(後掲 参考02,03など)が主流となっておりましたが、その後の報道でははっきりしない断片的なリーク報道が繰り返されております。
ここからは私の推測です。
検討1. SARを退職後に付与する計画であった
この可能性はないとみております。
SAR制度の適用期間は概ね3年度で、都度制度更新の株主総会決議を得るようにされています。
このため、SAR未発行枠を温存して退職後に初めて付与するというのは制度の逸脱になると考えられます。
検討2. SARを既に付与しており、退任時に行使可能とする計画であった
この可能性も低いものと考えております。
上表ではゴーン氏報酬の年度別過少記載額と各報酬制度の年度別未支給・未発行額をまとめておりますが、ゴーン氏の過少記載分をSARの残枠によって賄うことができない年度が多く説明が困難です。
以前のTwitterでの呟きなどで、私はこのケースが最有力と考えておりましたが、証券取引等監視委員会の公表により年度別の過少記載額が明らかになったため、判断を改めました。
検討3. 確定額金銭報酬を退職後に支給する計画であった
消去法的にはこのケースがもっとも可能性があると言えますが、これによって報酬請求権が確定し、虚偽記載をしたと言えるかについてはかなり疑問を持っています。
まず可能性の検討ですが、年度別金銭報酬未支給額は過少記載額を直近2年度を除いてカバーすることができております。
(直近2年度は少々カバーできない額となっておりますが、過少記載額に子会社からの報酬額が含まれている可能性が考えられます)
また、SAR制度と比べて支給時期などは総会決議事項で明示的には制約されていません。
これらの点からSARを根拠としたケースよりはまだ成立可能性があるように思えます。
しかし、確定額金銭報酬制度は年度単位の短期報酬の運用を想定したものですので、退職後の報酬として繰り延べる運用が株主総会承認決議の範囲内とすることには疑問があります。
以前には日産自動車にも役員退職慰労金制度はありましたが、2007年3月取締役会で廃止を決定し、打ち切り支給決議を同年6月の第108回定時株主総会の議案にかけて承認されております。
このような状況からすれば、もし退職後の報酬支給という形をとろうとするのであれば、総会承認範囲を超えるおそれがあり、あらためて総会決議が必要と主張してよいように思います。
つまり、たとえ内部的に退職後の報酬支払いを計画した文書を作成されていたとしても、会社側は支払いを拒む手段を持っている状況にあり、報酬請求権が確定しているとは言い難い、従って、現時点で記載すべき報酬であったとはいえないと私は考えます。
現在は退職後の支給を計画している報酬請求権が確定したことを前提に有価証券報告書の虚偽記載があったとして逮捕・起訴が進められておりますが、上記の認識に立つと本件は刑法の謙抑主義を忘れた先走り行為のように思えます。
とはいえ、上記は不正確なリーク報道が連日続いて事実関係の把握が容易でない現状での推測にすぎません。
特別背任での再逮捕もありましたし(これはこれで疑問が残る内容ではありますが)、もうしばらく事態を見守る必要がありそうです。
[参考]報酬過少記載に関するNHK報道の変遷
衝撃 ゴーン前会長 事件の行方
https://www3.nhk.or.jp/news/special/nissan_ghosn/?utm_int=special_contents_list-items_001&utm_int=news_contents_news-closeup_001
01. 日産 他役員の報酬がゴーン会長に流れたか 11月20日 12時01分
「特捜部はほかの取締役に支払われなかった報酬の一部がゴーン会長に流れていた疑いがあるとみて実態解明を進めています。」
02. ゴーン会長 株価連動報酬の40億円分 有価証券報告書に不記載 11月21日 4時16分
「株価に連動した報酬を受け取る権利、40億円分を与えられながら有価証券報告書に記載していなかったことが関係者への取材でわかりました。」
03. 日産ゴーン会長 オランダ子会社からも億単位の報酬か 11月22日 18時05分
「ゴーン会長は有価証券報告書で開示している報酬以外にも、株価に連動した報酬を受け取る権利40億円分を与えられていたことがわかっていますが、本社以外にもオランダの子会社から毎年、億単位の報酬を得ていた疑いがあることが関係者への取材でわかりました。」
04. ゴーン前会長の指示で報酬少なく記載か 11月23日 16時53分
「金融商品取引法違反の疑いで逮捕された日産自動車のカルロス・ゴーン前会長が、有価証券報告書に記載するみずからの報酬額を側近の前代表取締役に具体的に指示した書類が残されていたことが関係者への取材でわかりました。」
05. ゴーン前会長 退任後に約80億円支払われる計画か 11月24日 12時07分
「公表される報酬と実際の報酬との差額は、ゴーン前会長の退任後に支払うことを計画し、毎年10億円程度を積み立てていた疑いがあるということです。そして、役員退職の慰労金として支払われる金額の増額や退任後のコンサルタントや競業を避けるための契約を結ぶなどして、およそ80億円が支払われる計画になっていたということです。」
06. ゴーン前会長 “退任後に80億円支払い” 側近だけで計画共有か 11月27日 19時17分
「計画では退任後に競業に就くことを避けるための契約金としておよそ35億円、役員退職の慰労金としておよそ25億円、コンサルタントの契約金としておよそ20億円を支払うことを検討していたということです。」
07. 退任後報酬支払うとした文書にサインも “正式文書でない” 12月2日 0時41分
「日産自動車のカルロス・ゴーン前会長が逮捕された事件で、側近の前代表取締役がゴーン前会長の退任後に報酬を支払うとした合意文書に毎年、サインしていたことを認めていることが関係者への取材でわかりました。一方で前代表取締役は「正式な文書ではなく退任後の報酬は決まっていなかった」などと容疑を否認しているということです。」
08. ゴーン前会長 役員報酬開示義務づけ後に退職金24億円増額 12月6日 18時04分
「関係者によりますと、日産では平成19年の株主総会で役員の退職慰労金として総額65億円を支払うことが承認され、このうち44億円がゴーン前会長に支払われる予定になっていたということです。しかし役員報酬の開示が義務づけられた平成22年以降、ゴーン前会長への退職慰労金がさらに24億円増額され、日産の経費としてすでに計上されていたことが新たにわかりました。」
09. ゴーン前会長 “実際の報酬額”の文書 自ら修正した痕跡 12月10日 10時00分
「東京地検特捜部は、ゴーン前会長が高額の報酬への批判を避けるため、実際の報酬との差額を退任後に受け取ることにしていたとみて調べていますが、ゴーン前会長の実際の報酬額が記されたとみられる文書が作成され、一部の文書には前会長が手書きで内容を修正した痕跡が残されていたことが関係者への取材で分かりました。」
10. ゴーン前会長 ストックオプションでの報酬支払いも検討か 12月15日 6時12分
「日産自動車のカルロス・ゴーン前会長が逮捕された事件で、ゴーン前会長の退任後の報酬の支払い方法が書かれた文書が平成22年ごろから複数回作成され、ことし1月の文書では自社の株を買う権利、いわゆる「ストックオプション」での報酬の支払いが検討されていたことが関係者への取材でわかりました。」
11. ゴーン前会長 文書に英語で「固定報酬」 報酬確定の証拠か 12月18日 18時48分
「東京地検特捜部は、ゴーン前会長が高額の報酬への批判を避けるため、実際の報酬との差額を退任後に受け取ることにしていたとみて調べていますが、ゴーン前会長の報酬を定めたとされる文書に、未払い分を含む報酬の総額が英語で「Fixed Remuneration=固定報酬」と表記されていたことが関係者への取材で分かりました。こうした文書にはゴーン前会長みずからのサインもあったということです。」
また、その後の12月10日には同期間の有価証券報告書虚偽記載について、証券取引等監視委員会が告発、東京地検特捜部は起訴しました。
更に同日、2016年3月期から3年間についても役員報酬を過少に記載したとしてゴーン氏、ケリー氏を再逮捕しました。
本事件に関するリーク報道は断片的かつ矛盾した情報が多く、結局のところ何が問題となっているのかが非常に分かりにくくなっております。
(参考としてNHK報道の変遷の様子を記事最後に抜粋しております。いかに内容を分からぬままリーク報道を右から左に流しているかをご覧ください)
本記事では、日産の役員報酬制度と本事件のリーク報道を振り返りつつ、有価証券報告書虚偽記載についてやや批判的に検証したいと思います。

A. 過少記載額はいくらか
上表にまとめてみましたが、2011年3月期から5年間については、証券取引等監視委員会告発内容によれば累計48億円強、2016年3月期から3年間については、NHK報道によれば累計40億円強の過少記載となっております。
日産自動車株式会社に係る虚偽有価証券報告書提出事件の告発について
https://www.fsa.go.jp/sesc/news/c_2018/2018/20181210-1.htm
B. 過少記載の報酬は財務諸表には反映されているか
日産自動車による適時開示では報酬費用の計上等の財務情報等に関する訂正内容を精査しているとあり、反映されていないようです。
2018/12/10 16:30 過年度有価証券報告書等の訂正予定に関するお知らせ
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120181210447414.pdf
ところで、この定期時開示はTDNetに掲載されていますが、日産公式サイトではなぜか掲載を見つけられませんでした。
C. 日産自動車の役員報酬はどのような制度設計になっているか
日産自動車の役員報酬は、定款において株主総会によって定めることとされております。
現在、株主総会で承認された制度は、年額29億9,000万円以内と定められる確定額金銭報酬と、年間上限数普通株式600万株相当と定められる株価連動型インセンティブ受益権(SAR)の2制度です。
確定額金銭報酬は、年額の上限が定められていること、企業報酬のコンサルタント、タワーズワトソン社による大手の多国籍企業の役員報酬のベンチマーク結果を参考に、個々の役員の会社業績に対する貢献により、それぞれの役員報酬が決定されること以外に詳細な条件は明らかではありません。
株価連動型インセンティブ受益権(SAR)は、制度適用期間は概ね3年度と設定されており、権利付与日は取締役会が定める条件に従って適用期間内における各事業年度毎に決定される日、権利行使可能期間は各権利付与日から 10 年を経過する日までの範囲内で取締役会が定めるとされております。
D. 過少記載の報酬はゴーン氏に支給・付与済みか
当初はSAR40億円を付与していたとする報道がありました。(後掲 参考02,03など)
しかし、最近の報道では、まだ支給はしておらずゴーン氏が役員退任後に報酬を支給する計画を立てていたとするものが主流となっております。(参考05,06,08,11など)
E. 過少記載の報酬は何れの制度によるものか
報酬請求権は定款の定めまたは株主総会決議の根拠なしに発生しません。(例外の判例は一応ありますが、本件の射程外と考えていただいてよいです)
従って、過少記載の報酬があるとすれば、確定額金銭報酬、または、SAR制度の何れかによる必要があります。
当初はSAR制度によるものとする報道(後掲 参考02,03など)が主流となっておりましたが、その後の報道でははっきりしない断片的なリーク報道が繰り返されております。
ここからは私の推測です。
検討1. SARを退職後に付与する計画であった
この可能性はないとみております。
SAR制度の適用期間は概ね3年度で、都度制度更新の株主総会決議を得るようにされています。
このため、SAR未発行枠を温存して退職後に初めて付与するというのは制度の逸脱になると考えられます。
検討2. SARを既に付与しており、退任時に行使可能とする計画であった
この可能性も低いものと考えております。
上表ではゴーン氏報酬の年度別過少記載額と各報酬制度の年度別未支給・未発行額をまとめておりますが、ゴーン氏の過少記載分をSARの残枠によって賄うことができない年度が多く説明が困難です。
以前のTwitterでの呟きなどで、私はこのケースが最有力と考えておりましたが、証券取引等監視委員会の公表により年度別の過少記載額が明らかになったため、判断を改めました。
検討3. 確定額金銭報酬を退職後に支給する計画であった
消去法的にはこのケースがもっとも可能性があると言えますが、これによって報酬請求権が確定し、虚偽記載をしたと言えるかについてはかなり疑問を持っています。
まず可能性の検討ですが、年度別金銭報酬未支給額は過少記載額を直近2年度を除いてカバーすることができております。
(直近2年度は少々カバーできない額となっておりますが、過少記載額に子会社からの報酬額が含まれている可能性が考えられます)
また、SAR制度と比べて支給時期などは総会決議事項で明示的には制約されていません。
これらの点からSARを根拠としたケースよりはまだ成立可能性があるように思えます。
しかし、確定額金銭報酬制度は年度単位の短期報酬の運用を想定したものですので、退職後の報酬として繰り延べる運用が株主総会承認決議の範囲内とすることには疑問があります。
以前には日産自動車にも役員退職慰労金制度はありましたが、2007年3月取締役会で廃止を決定し、打ち切り支給決議を同年6月の第108回定時株主総会の議案にかけて承認されております。
このような状況からすれば、もし退職後の報酬支給という形をとろうとするのであれば、総会承認範囲を超えるおそれがあり、あらためて総会決議が必要と主張してよいように思います。
つまり、たとえ内部的に退職後の報酬支払いを計画した文書を作成されていたとしても、会社側は支払いを拒む手段を持っている状況にあり、報酬請求権が確定しているとは言い難い、従って、現時点で記載すべき報酬であったとはいえないと私は考えます。
現在は退職後の支給を計画している報酬請求権が確定したことを前提に有価証券報告書の虚偽記載があったとして逮捕・起訴が進められておりますが、上記の認識に立つと本件は刑法の謙抑主義を忘れた先走り行為のように思えます。
とはいえ、上記は不正確なリーク報道が連日続いて事実関係の把握が容易でない現状での推測にすぎません。
特別背任での再逮捕もありましたし(これはこれで疑問が残る内容ではありますが)、もうしばらく事態を見守る必要がありそうです。
[参考]報酬過少記載に関するNHK報道の変遷
衝撃 ゴーン前会長 事件の行方
https://www3.nhk.or.jp/news/special/nissan_ghosn/?utm_int=special_contents_list-items_001&utm_int=news_contents_news-closeup_001
01. 日産 他役員の報酬がゴーン会長に流れたか 11月20日 12時01分
「特捜部はほかの取締役に支払われなかった報酬の一部がゴーン会長に流れていた疑いがあるとみて実態解明を進めています。」
02. ゴーン会長 株価連動報酬の40億円分 有価証券報告書に不記載 11月21日 4時16分
「株価に連動した報酬を受け取る権利、40億円分を与えられながら有価証券報告書に記載していなかったことが関係者への取材でわかりました。」
03. 日産ゴーン会長 オランダ子会社からも億単位の報酬か 11月22日 18時05分
「ゴーン会長は有価証券報告書で開示している報酬以外にも、株価に連動した報酬を受け取る権利40億円分を与えられていたことがわかっていますが、本社以外にもオランダの子会社から毎年、億単位の報酬を得ていた疑いがあることが関係者への取材でわかりました。」
04. ゴーン前会長の指示で報酬少なく記載か 11月23日 16時53分
「金融商品取引法違反の疑いで逮捕された日産自動車のカルロス・ゴーン前会長が、有価証券報告書に記載するみずからの報酬額を側近の前代表取締役に具体的に指示した書類が残されていたことが関係者への取材でわかりました。」
05. ゴーン前会長 退任後に約80億円支払われる計画か 11月24日 12時07分
「公表される報酬と実際の報酬との差額は、ゴーン前会長の退任後に支払うことを計画し、毎年10億円程度を積み立てていた疑いがあるということです。そして、役員退職の慰労金として支払われる金額の増額や退任後のコンサルタントや競業を避けるための契約を結ぶなどして、およそ80億円が支払われる計画になっていたということです。」
06. ゴーン前会長 “退任後に80億円支払い” 側近だけで計画共有か 11月27日 19時17分
「計画では退任後に競業に就くことを避けるための契約金としておよそ35億円、役員退職の慰労金としておよそ25億円、コンサルタントの契約金としておよそ20億円を支払うことを検討していたということです。」
07. 退任後報酬支払うとした文書にサインも “正式文書でない” 12月2日 0時41分
「日産自動車のカルロス・ゴーン前会長が逮捕された事件で、側近の前代表取締役がゴーン前会長の退任後に報酬を支払うとした合意文書に毎年、サインしていたことを認めていることが関係者への取材でわかりました。一方で前代表取締役は「正式な文書ではなく退任後の報酬は決まっていなかった」などと容疑を否認しているということです。」
08. ゴーン前会長 役員報酬開示義務づけ後に退職金24億円増額 12月6日 18時04分
「関係者によりますと、日産では平成19年の株主総会で役員の退職慰労金として総額65億円を支払うことが承認され、このうち44億円がゴーン前会長に支払われる予定になっていたということです。しかし役員報酬の開示が義務づけられた平成22年以降、ゴーン前会長への退職慰労金がさらに24億円増額され、日産の経費としてすでに計上されていたことが新たにわかりました。」
09. ゴーン前会長 “実際の報酬額”の文書 自ら修正した痕跡 12月10日 10時00分
「東京地検特捜部は、ゴーン前会長が高額の報酬への批判を避けるため、実際の報酬との差額を退任後に受け取ることにしていたとみて調べていますが、ゴーン前会長の実際の報酬額が記されたとみられる文書が作成され、一部の文書には前会長が手書きで内容を修正した痕跡が残されていたことが関係者への取材で分かりました。」
10. ゴーン前会長 ストックオプションでの報酬支払いも検討か 12月15日 6時12分
「日産自動車のカルロス・ゴーン前会長が逮捕された事件で、ゴーン前会長の退任後の報酬の支払い方法が書かれた文書が平成22年ごろから複数回作成され、ことし1月の文書では自社の株を買う権利、いわゆる「ストックオプション」での報酬の支払いが検討されていたことが関係者への取材でわかりました。」
11. ゴーン前会長 文書に英語で「固定報酬」 報酬確定の証拠か 12月18日 18時48分
「東京地検特捜部は、ゴーン前会長が高額の報酬への批判を避けるため、実際の報酬との差額を退任後に受け取ることにしていたとみて調べていますが、ゴーン前会長の報酬を定めたとされる文書に、未払い分を含む報酬の総額が英語で「Fixed Remuneration=固定報酬」と表記されていたことが関係者への取材で分かりました。こうした文書にはゴーン前会長みずからのサインもあったということです。」