悩み恐れをなし生きていることに疲れを感じる人間は多く存在しているが、
その中で実際に命を断つ人間はどの程度存在するのだろうか
人間はいつでも生と死の境を行き来している
「今日目覚めたことは奇跡」
当たり前な日々が全て奇跡であると誰かが言っていた。
その奇跡に気づかない人間は五万といる中
朝目を覚まし歯を磨き出かける支度をして挨拶を交わす。
そんな当たり前を奇跡なんて感じる奴はほとんどいないんじゃないかとも思うわけだ
当たり前って一体なんだよ
この世に生まれた事が奇跡なら
産んだ事もまた奇跡と表現をする
産んでくれた事に感謝と良く言うが
感謝できない奴も多く存在しているのも事実
「産んでくれなんて頼んでない」
子供は反抗期にそう叫ぶ
その言葉を聞いた親は悲しくなるんだろう
特に母親は命懸けで産んだ我が子に崖から突き落とされる瞬間って事になる
そこで親が取る行動ってのが重要で
俺の母親は泣きながらこう叫んだのを覚えてる
「家を出て行くなら私をコロしてから出て行きなさい!!!!!」
人通りの多い駅前で母親は叫んでいた
俺はそんなつもりはないから
「少しだけ自由にしてくれ」
という言葉を残してその場から去って行った。
母親はその場に泣き崩れながら
「明日は学校行くんだよ!約束して!」
人目を気にせず叫んでいた
その言葉に俺はただ右手を上げ返事をした
母親は俺が見えなくなるまでその場にいた
俺もチラチラと気にしながら歩いて行った
翌日は仕方なく学校へ行った
放課後母親が校門で待っていた
「約束は守ってくれるのにね・・・」
悲しそうな顔でそう言っていたのを覚えてる
俺は何も言わず母親と一緒に家に帰る
俺が何をしていたのか
何のために家を出たのか
父も兄も何も聞いて来なかった
まるで俺が居ないみたいに接してた
小さい頃から俺は兄と比べられて育ってきた。
兄は優秀なやつで、友達も多く学校生活を楽しく過ごす奴だった。
先生からも気に入られ兄が気に入らない奴は虐めて登校拒否になるように仕向けるような人間だった。
俺はそれを見て虐められてる奴を助けたいと思った
俺は落ちこぼれだった
両親から毎日「お前はバカだから」
そう言われてそだった
だから俺は誰よりも落ちこぼれで誰にも勝てない俺以下の人間は存在すらしていないとさえ思っていた。
だから俺は最低の人生を歩む決意をしたんだ
最低の人間が最低の事をするのは当たり前の話だろ?
だから未成年でタバコを吸い酒を飲み無免でバイクを運転して髪も染めた
底辺の人間が這い上がれる確率を考えれば
底辺の人間になる事なんて簡単だと感じていた
世の中を見渡した時
俺はこのままじゃいけないんじゃないかと思い始めた瞬間があった
バイクで死んだ友達や突然死をした親友
また明日と笑って見送ったのが最後だったあいつらが夢の中で泣いていた
「死にたくない」そう言っていた
俺は出来ることをやるようになった
毎日家に帰り髪も黒く染め
タバコはやめなかったが酒はやめ
毎日学校に通い勉強をした
はっきり言ってほとんどサボってたから勉強なんてついていけるはずもなかった
テストは理数系以外全部赤点だった
なんとか卒業はさせてもらえると担任から言われた時俺は泣いた
俺が今まで担任も両親も裏切ってきたのに助けてもらえる事に心から感謝をした
卒業式がやってきた
俺は高校を無事卒業
担任と母親は号泣していた
その時の担任の一言は
「お前は良く頑張った!頑張ったんだ!」
頑張れなかった俺に向けられた言葉がありがたかった
俺は「ありがとうございました」
ただ一言しか言えなかった
それが全てだったからだ
俺も一歩間違えば親友のようになっていただろう
思うと今の俺が存在している事こそが奇跡と言えるんじゃないか、そんな気がするんだ
今俺は学生をやっている
出来るだけ真面目に過ごして今を精一杯生きていこうと思うんだ
社会に出ればまた壁と打ち当たるんだろうけどさ、今はまっすぐ前を向いて歩いていこうと思ってる。