『四方山ばなし』

タイに住んでいて気づいた事等を、適当に書いていきます。
期待しないでね!

農村のお葬式の常識とビックリ⑤

2010年07月10日 12時17分18秒 | 四方山ばなし

 焼き場に到着したら、葬儀屋や村の青年団のような人たちが諸々準備をする中、敷地内にある小屋で最後の読経が始まる。

 それが終わると親戚や関係者からの寺への寄進式などが行われ、寄進する人が呼ばれ一人ずつお坊さんに渡していく。

 その最中、僕を撮影担当だと思い込んだ葬儀屋がしきりに写真を撮れと急かす。だけど僕はこういうのがタイの嫌な一部分なので、あえて写真は撮らなかった。ムエタイやサッカーなどのスポーツ大会の時や、何か公の行事の時など、タイではスポンサーや寄進者が一人ずつ前に出てカメラの前で目録などを渡す寄進式を必ずやる。しかも天災などで酷い事になっている被災地などでもだ。僕はお金や物を提供してもあえてそれを宣伝しようとは思わない。そういうのはこっそりやるもので、日本人の美徳の一部だと思うからだ。
 そしてようやく棺を釜の中に入れる時が近づいた。最後に蓋の開けられた棺の中に木と紙でできたものを一人ずつ入れて行き、近しい人が順番にヤシの実のジュースを遺体にかけていく。僕は日本から買って来たおばあちゃんの大好きな水ようかんなどのお菓子を棺に入れた。

 そして蓋を閉めずにそのまま釜の中へと入れるのだけど、その前にひとつだけ衝撃的なことがおこった。何と遺体にガソリンをかけているのだ。タイの火葬はガスではなく炭で焼くため、なかなか火が点きにくいからなのだろうけど、それにしてもあんまりだった。僕は写真を撮りながら溢れる涙を堪えられなかった。

 そしておばあちゃんは水蒸気になって天国へとのぼって行った。


 おばあちゃんの遺骨は3日後の早朝に拾われることになった。というのも、普通はひと晩なのだけど、おばあちゃんはその家で一番の高齢だったので、3日後になったそうだ。僕は仕事が近づいているので3日後までは待つことができずにバンコクへと戻った。すぐに写真屋へ行って元気な頃のおばあちゃんの写真を引き伸ばし、額に入れて家に送った。届いたらお母さんは“写真のおばあちゃんが生き生きとしていて、まだ生きているようだ”と言う。僕もいまだちょっと信じられないけど、ひとつだけ言えるのは、タイのお葬式はあまり好きではないと言うことかな。
 
おしまい。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。