プレパンデミックワクチン

　新型インフルエンザ対策は国によって大きく異なっているが、スイスは全国民750万人分のプレパンデミックワクチンを備蓄しているそうだ。

　ここでいう新型インフルエンザとは、メキシコから世界に感染が広がった豚インフルエンザではなくて、鳥インフルエンザから変異するとされる強毒性の新型インフルエンザのことである。

　この“新型インフルエンザ”のワクチンをスイスは全国民750万人分を既に備蓄しているという。インフルエンザのワクチンは、本来は発症してしまったウイルスから作られる。強毒性の新型インフルエンザはまだ発生していないのだから、そのワクチンなど存在するはずがない。

　このワクチンというのは、通常のワクチンではなく“プレパンデミックワクチン”のことで、新型インフルエンザに今後変異する可能性が最も高いと言われ、形が似ている鳥インフルエンザウイルスから作られるのだそうだ。
　
　新型インフルエンザのウィルスは未知であり、“プレパンデミックワクチン”が100%効くという保証はないのだが、ある程度の効果が期待されるだろうと言われている。

　日本でも、昨年夏から新型インフルエンザのプレパンデミックワクチンの臨床試験をしており、数千人の医師などが接種して副作用などを調べているそうだ。日本政府は、実際のパンデミック時に、このプレパンデミックワクチンを医者や保健所職員、税関職員など感染者と接する可能性の高い人に接種することを検討しているとか。

　このワクチンの効果が1/3程度だとしても、感染者と接する可能性の高い医療関係者などに接種することは意味があるのだろう。ただし、政府は、国民一般に向けては備蓄する考えはないようだ。その理由は、“プレパンデミックワクチン”は効くかどうか現時点では不明なためである。納得できる方針だと思う。