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映画感想文'09 初夏 「私は貝になりたい」

2009年06月05日 | 映画感想文
私は貝になりたい
★★★★★★★★☆


こういうシリアスな作品に出る中居くんのストイックさは好きですね。


腹痛に耐え、腹痛が治ったときに如何に平常時が楽か再認識するように、

平和という日常も、毎日訪れることが如何に幸せなことかを再認識させてくれる作品です。

逃亡犯に「止まりなさい」と叫んでも耳に届かないのと同じで、「戦争は駄目だ」と言葉だけで発信したり、説教臭いものは、耳に届かない。

でも、この作品は、そういうメッセージ性を込めているものの、押し付けがましくない。

かといって、ただ泣かすための感動映画にしているわけでもない。

僕は、戦争という題材を使って観客を泣かそうとする映画は嫌いです。

それは、泣かす方法として安易に「戦争」というツールを便利だから、効果的だからというニュアンスを込めて作っているとバレバレだから。

でもこの作品は、事実を元にした、中居君演じる主人公の遺書を元に作られている作品なので、あざとい演出もなく、主人公にシンクロして最後まで見る事ができた。

感動映画で泣くのは、ストレス発散だったり、感情移入してだったりするわけで、映画が終わると同時に涙もひいていき、いつもと同じ日常に戻っていく。

それがノンフィクションを元に作られている映画でもノンフィクションであっても、そうです。

でも、映画を見て涙を流し、そこで終わるのではなくて、その後、一度立ち止まって「考える」という事をしなければいいけないと思った。


可哀想、と思うのは簡単で、可哀想と思うことは、その相手を見下していると紳助さんが言ってました。

可哀想と思う時点で、外側にいるんだと。


僕も同じ気持ちで、


可哀想なんて、檻の外にいるから思えることで、檻の中に入った状況ならば、可哀想なんて言ってられない。

だから檻の中に入るんじゃなく、檻の外にいる自分たちができる事って、なんだろうと考えたとき、「可哀想」と思うことではなくて、檻の外から「考える」事だと思った。

映画なら、檻の中に入った人とシンクロできる。

知る事は力なり、という言葉があるように、まずそういった事があった現実を知って、彼らの気持ちとシンクロする事で、感情移入ができ、

改めて戦争の事を考えられると思った。

考えて戦争がなくなるわけではないけど、少なくとも意識は変わると思う。


長々と話しましたが、

これがこの映画を見て感じた僕の感想です。

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