新春ニュースを、、、と思ううち、はや二月にになってしまいました。
今年も日が過ぎるのは はやい! はやい!
新春を彩る2019年文楽初春公演を鑑賞しました。
お正月にはその年の干支の字がおめでたい鯛を横に飾られます。今年は「亥」

民間寄贈の緞帳が上記及び下記の立派な3枚
通常の幕と劇場内

公演プログラム

プログラム表紙は本公演の見せ所の一つ傾城阿古屋の立派な衣装です。
冥途の飛脚でも傾城梅川が花街の美しい衣装であり、
本公演は女性の美しい衣裳を特集、ロビー展示室にも実物紹介されている。
1部演目:二人禿(かむろ)/伽羅先代萩(めいぼくせんだいはぎ)/壺阪観音霊験記
その1 二人禿(ににんかむろ):
遊郭で花魁などの世話をする禿(かむろ)が廓勤めの辛さを訴えて
踊り 数え歌に合わせて羽根つきに興じます。
お正月公演にふさわしい華やかで可愛い演目です。
その2 伽羅先代萩(めいぼくせんだいはぎ):竹の間の段/御殿の段/政岡忠義の段
お家騒動で命を狙われる鶴喜代気味を守るために乳母の政岡が我が子に
毒味役をしつけている。その役目を果たし殺される我が子の死に顔色ひとつ
変えない政岡も、 人影がなくなると母としての悲しい苦しい胸の内を訴え
ます。
その3 壺阪観音霊験記(つぼさかかんのんれいげんき:土佐町松原の段/沢市内より山の段
お里・沢市の物語で有名です。目の見えない沢市のため壺阪寺の観音様に献身的に
祈りを捧げるがご利益もなく山の崖から身を投げる2人。そこに観音様のお告げ
があり2人はめでたくよみがえり、沢市の目が開いてめでたしめでたし。
2部演目:冥途の飛脚/壇浦兜軍記
その1 冥途の飛脚:淡路町の段/封印切の段/道行相合かご
冥途の飛脚は有名な場面が色々あるが、この3場面は忠兵衛が遊女梅川を
請け出すのに家業で客に届けるべき金を使い込んでしまう。
夜道で正しく届けようか、いや新町にいてのけようか、散々迷った挙く新町へ。
懐の金の封を切るや梅川請け出しの為、止める八右衛門に投げつける。
梅川を請け出したものの2人の行方は死罪。逃げれるだけ逃げようと大和路へ道行。
その2 壇浦兜軍記(だんのうらかぶとのぐんき):
ちらしの写真のように傾城阿古屋へ馴染みの景清の行方を探ろうと情のある
代官は拷問の代わりに琴、三味線、胡弓を弾かせてその真実を得ようとします。
立派で重い傾城の髪や衣装のまま思いを奏でる見事さに阿古屋の真実をみて
許されるのでした。
何と言っても人形の見事な演奏の姿、手さばきなど調べによくあって
床で弾かれる本物の手さばきと同じなのが見事である。ことに人形は主遣いと
左手遣いが息を合わせて本当に人形の阿古屋が弾いているように見える。
年初に想うこと
昨年は若手の始太夫、大御所の住太夫、三味線の大御所鶴澤寛治さん達の旅立ち。
何とも惜しく寂しい気持ちで一杯。加えて5年ほど応援団一員だった時仲良くして
いた友人も亡くなり今年は彼女の写真とともに初春公演を楽しみました。
飽きることなく毎回ワクワクできる文楽の魅力は尽きることはありません。
長年観ているほど芸の立派さ、話の面白さ、人間としての情の深さ、ユーモアを
交えた親しみ、長老の素晴らしさ、若手が育つ喜び、、見れば見るほど素晴らしい。
今年も楽しみです。次回は四月に文楽国立劇場35周年記念春公演で仮名手本忠臣蔵など。
乞ご期待!