ネット愛国保守 tosi3 旧blog  

fc2へ引越ししました
http://tosi3hpv9k1r.blog.fc2.com/

(251537) 佐々 淳行 (著)インテリジェンスのない国家は亡びる

2013-12-15 22:44:06 | 01 未分類
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
(251537) 佐々 淳行 (著)インテリジェンスのない国家は亡びる
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
佐々淳行氏の新著(海竜社)発売日: 2013/08
インテリジェンスのない国家は亡びる―国家中央情報局を設置せよ! [単行本]
佐々 淳行 (著)  amazon
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
内容
著者悲願の国家組織「日本版KGB」の設立を徹底検証。憂国の士が最後に一番言いたかったこと!
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
佐々/淳行
1930年東京生まれ。東京大学法学部卒業後、国家地方警察本部(現警察庁)に入庁。「東大安田講堂事件」「連合赤軍あさま山荘事件」等で危機管理の現場の中枢に携わる。86年より、初代内閣安全保障室長をつとめ、昭和天皇大喪の礼警備を最後に退官。第54回文藝春秋読者賞、第48回菊池寛賞、第22回正論大賞受賞。2001年勲二等旭日重光章受章(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
最も参考になったカスタマーレビュー

短編の回顧録ふうの構成ながら、非常に興味深い!

昨今の時事や外交問題から、諜報や防諜に興味があったので、読むことにしました。平易な文章もあり一気に読み終えることができました。

著者の本はわずかしか読んだことがないので、僕の一人よがりかもしれませんが、この本については構成がとても面白いように思いました。中央情報局の設置を主張するだけの内容ではなく、長いキャリアを振り返っての回顧録の側面も感じたからであり、回顧している内容は、僕にとって非常に興味深いものでした。とくに興味を引いたことは二つあります。

ひとつめは、「自分は警察官僚としてだけではなく、情報官(諜報・防諜)としての役割を担っており外国の情報関係者からそう認知されていた(ただし、それは偶然の産物であって、現在の公安・警察組織にそうした役職があるわけではない)」と告白していること。

ふたつめは、著者があとがきで触れているように、すでに故人となったスパイと思われる人物に対しては実名を記し、かつ、関係者からのいかなる批判も受けてたつと言い切っていることです。そして実名をあげている人物の中で、とくに某大商社のトップであり某首相のブレーンを務めたこともある、S氏を「ソ連のスリーパーであることは明白である」「警視庁の上級幹部なら誰でも知っている公然の事実であった」と触れていることです。

もともとS氏には疑惑がありましたが、ここまで明白に断言されると、やはりそうであったかと思うと同時に、明白にもかかわらず逮捕もできない日本の危うさを痛感させられました。余談ですが、某社ではS氏直系の弟子であり、社長にもなり、その後、某共産主義国家の駐在大使となったN氏が、日本ではなく先方の肩を持った発言を繰り返していたのは、あるいは同じ流れなのではないか? と疑ってしまうのは、まあ、下司の勘ぐりなんでしょうかねえ……。著者が何も触れていないことが、なにかを暗示しているような気もしました。

さて、本題の中央情報局の設置について、著者は、諜報(情報収集)と防諜(スパイ防止)を一元的に管理できるセントラルな組織が必要であるといい、そのモデルとしては、CIAや、MI6ではなく、KGBが良いと主張しています。国民を重苦しく弾圧するというような意味合いではなく、CIA(諜報)にはFBI(防諜)があり、MI6にはMI5があることに比べ、日本にはいずれの組織も(部分的に適応する点は別として)無いのであり、そうである以上、はじめから両者を一元管理できる組織の設置が急務であって、そのモデルは、諜報(剣)と防諜(盾)を併せ持つKGBが最適という論旨です。

そして、その人選は、外務省や防衛省ではなく、警視庁・公安関係者でかつ、大使館勤務などを多年経験した人間が担うべきであると主張しています。正直、この点については、情報局の設置に賛成する者であっても意見の分かれるところかもしれません。米英で情報局員幹部だった人間が書いている本を読みますと、情報局と警察では、求められる資質も業務遂行の仕組みもまったく異なるので、警官として有能なものでも、有能な情報官とはなり得ないケースが多いからです。広く才能と志を持った有志をそろえればいいと考えてしまうのですが、官僚組織というのはいろいろ弊害があるということなのか。

最後に、情報局の一環でしょうが、外国が日本を貶める主張をした場合、速やかに反論すべきであり、そのための有志チームを編成すべきであるとも述べています。「大人の対応をします。論ずるまでもありません」などという外交的対応は、国際的にマイナス以外のなにものでもないと強く述べています。

スパイ防止法もないのに、TTP交渉。特定国・民族によるテロ的とも思える日本に対する毀損工作を見るにつけ、著者の主張する中央情報局の設置は急務であると、僕なりにとても納得しました。可及的速やかに法整備と局の設置を願ってやまない。ただし、予算だけつけた見かけ倒しで終わらないで。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
日本が関連するテロや外国の例、自身の経験談(自慢話や後藤田正晴との思い出話にも見える)を引き合いに出しながら、日本においても強い情報機関の必要性を訴えています。現状では、スパイ防止法や情報漏えいに関する処罰規定が無いうえに情報機関が各省庁にまたがっていて一本化されていないため機能していない事が指摘されています。

 案としては、(公安調査庁の人員を削減して)内閣直轄の情報機関を設置。都合の悪い情報(事実)ほど早く報告させて、アメリカや外務省任せにしない危機管理体制という剣の強化を図ると共に、スパイ防止法や機密保護法の制定という盾の機能強化によって国家の意思決定に必要な情報機関として機能するとしています。

 また国家抗議権として、外国からの誹謗中傷に対して、即座に抗議し正確な情報発信をして反論すべきともしており、その抗議メッセージを発信するために、自身も含めたオピニオンを無給で内閣が採用する事も提案しています。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
「やっとこの時が来た。今こそ、私が知るすべてを明かそう!」本書の帯に記された言葉は、大変刺激である。

本書では、瀬島龍三がソビエトの「スリーパー(古い言葉では、草の者)」であった事実が明かされる。過日物故された山崎豊子の「不毛地帯」のモデルと言われた元陸軍大本営参謀、戦後は「伊藤忠」会長、中曽根元首相のブレーンだった瀬島龍三である。

瀬島が、陸軍参謀として犯したミスは数多い。そのことは、陸軍大学校を首席で卒業しただけの男に重要な判断を任せるシステムをとっていた陸軍の組織編成上の問題だから、問わない。問題は、彼がシベリアで特殊工作員として訓練を受け「誓約引揚者(ソビエトに忠誠を誓い、帰国後、反共産主義者として社会的有力者となった後、密かにソビエトに貢献するスパイ)」になったことである。志位正二のように、警察庁に「誓約引揚者」であることを告白して生きることもできた。(ただし、志位は、その後、モスクワ行きの飛行機内で謎の死を遂げた。彼は、現在のある政党幹部の縁戚に連なる者である)しかし、瀬島は、「スリーパーであることを完全に秘匿して、経済界の大物になってしまった。」(80p)

シベリアで、瀬島が、抑留者を前に「天皇制打倒!日本共産党万歳!」とやっていたことは、シベリアでスパイのリクルートを担当し、戦後、日本での司令官だったKGBコワレンコ中佐が証言していることだから、隠しようもないことだった。しかし、瀬島は、「不毛地帯」のモデルを気取り「抑留された兵士たちを気遣い、自身が危険な立場に立つことがあった」と語っていた。

この瀬島が「スターリン勲章」もの大仕事を1980年代に成し遂げている。記憶にある方も多いかも知れないが、「原子力潜水艦スクリュー音静粛化」を可能とする東芝機械関連の輸出である。ココム違反で国際的にも大問題になったものだ。

警視庁外事課では、1954年の「ラストボロフ事件」で、既に接触者の一人として瀬島をマークしていたという。しかし、元警視総監の後藤田が知ったのは、この東芝問題のときだ。政界上層部に上げるのが遅すぎる。中曽根など、この時点で今更、ブレーンを外すなどということはできなかっただろう。せいぜい、さりげなく遠ざけるくらいのことだ。

戦前のスパイとして一番有名なのは、朝日新聞記者、尾崎秀美である。ゾルゲの協力者として確信犯的な共産主義者だった彼は、「世界共産化の一戦士」たることを誇りとして死んでいったのだから、それはそれで、そういう生き方はあるかも知れない。

1979年にアメリカに亡命したKGBの「レフチェンコ」は、1982年アメリカ議会で日本でのスパイ活動を証言した。

自民党の石田博英元労働大臣は「フーバー」、社会党元委員長勝間田清一は「ギャバ-」というコードネームだった。その他、何人かの社会党議員や新聞記者の名前が挙がった。彼等はいずれも「レフチェンコ証言」を否定したが、接触は警視庁外事課に確認されており、状況証拠を見れば、動機や報酬は千差万別としても、何らかの「諜報活動」があったことは疑えない。

(個人的な思い出を言えば、産経新聞編集次長山根卓二の「周恩来の遺言」がKGB発であったことはショックだった。産経が?という思いと、保守を取り込むのが共産圏の常套手段だろうという思いが交錯した。記事がなかなかよくできたものでコピーを保存していただけに、残念だった。しかし、懲戒処分だったはずの山根はその後産経新聞の関連会社の経営者になったと仄聞する。背後で何があったのかは知らない)

結局、このようなことが繰り返し起こることは、日本に「スパイ防止法」がないからである。また、早急に日本版「CIA」または「KGB」、「MI5,MI6」を設定しなければいけない。その意味で本書は、優れた「警世の書」である。

最新の画像もっと見る