バッハと音楽についての道草日記

~気になる音楽、ドラマ、書籍、雑誌等についての雑記帳~

バッハのピアノ協奏曲(シュタットフェルト版)

2011-10-30 13:00:03 | 音楽

Scan10004 SONYから、「J・S・バッハ:ピアノ協奏曲 BWV1054、1058、1055」(SICC-1468)が発売されています。演奏は、ピアノ:マルティン・シュタットフェルト、ミュンヘン・フィルハーモニー室内管弦楽団、音楽監督:ロレンツ・ナストゥリカ=ヘルシュコヴィッチ(録音:2011.4.19-22)です。ちょうど、前回紹介したバーラミ/シャイーのディスクと同時期に発売されたのでとても興味深く聞き比べました。
シュタットフェルトは1980年ドイツ生まれで、9歳でコンサート・デビューし、13歳でフランクフルト大学でレフ・ナトチェニーに師事しています。2002年にライプチッヒでの国際バッハ・コンクールで優勝し、同コンクールで優勝した初のドイツ人として注目を集めました。
シュタットフェルトの演奏は切れ味が良く若々しく、バッハの演奏として新鮮な風を感じました。弦楽器の切れ味も良く、ピアノとの掛け合いが生き生きとしています。ただ、いつも気になるのがSONYの録音で、もわっとした残響音というか、音一つ一つがスカッとしない点です。レコード芸術の録音評を今回初めて見たのですが、これを「自然な余韻」、「柔らかい響き」と評していますが、これは好みの問題でしょうか。ちなみに、このディスクの最後には、「8つの小前奏曲とフーガ(BWV553-560)」が収録されています。これらの曲は現在では、大バッハ作ではなく、子供の誰かか、弟子の作品と考えられているオルガン曲です。この演奏は音が澄んでいて、生き生きとして、とても心地良い演奏です。こちらの方がいいかも.....。
バーラミ/シャイー版と比べて、どちらも数回以上聴いてみました。最初はシュタットフェルトの方が新鮮でいいなと思っていましたが、何回か聞いていくにつれて、バーラミ版の方が熟考された演奏で、味があるように思えてきました

Comment
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

バッハのピアノ協奏曲(バーラミ版)

2011-10-29 22:21:29 | 音楽

Scan10003 DECCAから、「J・S・バッハ:ピアノ協奏曲 BWV1052-1056」(UCCD-1301)が発売されています。演奏は、ピアノ:ラミン・バーラミ、ライプツィヒ・ゲバントハウス管弦楽団、指揮:リッカルド・シャイーです。
ラミン・バーラミのピアノは初めてこのCDで聴きました。彼は1976年、イランのテヘラン生まれで、イラン革命の時に父親が亡くなり、5歳の時に母親、兄弟と共にイタリアに移住しています。ミラノの国立ジュゼッペ・ヴェルディ音楽院でピアノを学んだあと、シュツットガルト音楽大学でヴォルフガング・ブローザーに師事しています。1998年にイタリアでデビュー・リサイタルを開いて大成功を収め、その後、ドイツ、イタリアを中心に活動を続けているようです。現在、バッハの鍵盤楽器のための作品演奏においてもっとも注目されているピアニストの一人です。
このCDで、彼の演奏は指先まで神経が行き届いた繊細な印象を受けました。グールドを彷彿とさせるところもあります。管弦楽団との呼吸も凄くあっているように思います。彼の際立った個性というものは感じないのですが、バッハの意図しているものを慎重に考え、探索しているような、とても敬虔な演奏に感じます。ただ、もう少し弾けてもいいかなぁと思いました。
ピエラルキッレ・ヂルフィーニの解説(訳:長谷川勝英)では、バーラミはペダルの使用をほとんど避けて、弦楽器もヴィブラートを付けていないようです。これは、オリジナル楽器を用いないオーケストラによる古い時代の音楽の響きを探求するための"第三の道”のようです。また、バッハはストップウォッチを手にしたように、第1番の協奏曲から第5番の協奏曲にかけて演奏時間が次第に短縮されてゆくように作曲したようです。第1番ニ短調の20分から始まり、最終的に第5番ヘ短調のわずかに9分になっています。この5曲の精神的中心が、ちょうど真ん中にある第3番二長調(BWV1054)のアダージョ楽章で、最も深く崇高な部分であると指摘しています。これを読んで、「なるほど!」と思いました

Comment
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ド・ニースの第3弾

2011-10-13 21:58:38 | ヘンデル

Scan10002 DECCAから、待望のダニエル・ド・ニースの第3弾が発売されました。「オンブラ・マイ・フ~ビューティー・オブ・ザ・バロック~」(UCCD-1300)です。演奏は、イングリッシュ・コンサート、指揮:ハリー・ビケット、カウンターテノール:アンドレアス・ショルです。
このCDで、ド・ニースのオンブラ・マイ・フがやっと聴けました。また、ペルゴレージ、バッハ、モンテヴェルディ、タウランド、パーセルの曲も収録されています。
興味深かったのはペルゴレージの「スターバト・マーテル」です。ド・ニースの肉感的な声がこの曲の雰囲気に合うかどうか興味津々で聴いてみました。草食系男子のショルと肉食系女子のド・ニースといった感じの組み合わせが何とも言えず新鮮で、繰り返して聴いてしまいました。バッハのカンタータも彼女が歌うと、モノクロ的な雰囲気が華やいだ感じになります。
歌唱力はどうであれ(第1弾に比べると、少し丁寧にはなったようにも思いますが......)、ド・ニースの魅力がたっぷりのCDです

Comment
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ナタリー・デセイのクレオパトラ

2011-10-09 22:03:26 | ヘンデル

Scan10001 Virgin Classicsから、「クレオパトラ~ヘンデルのジュリオ・チュザーレよりクレオパトラのアリア集~」(TOCE-90183)が今年始めにリリースされていてましたが、やっとゲットしました。演奏は、ル・コンセール・ダストレ、指揮:エマニュエル・アイム、ソプラノ:ナタリ-・デセイです。
つい最近まではまったく興味がなかったヘンデルに、しかもオペラに嵌るとは、私自身もビックリしています。やはり、ダニエル・ドゥ・ニースの功績が大きいのではないかと思います。
デセイの声はとても澄んでいて美しくて繊細です。どのアリアも美しくて何回も聴いてしまいました。ただ、ドゥ・ニースの魅力的で、馬力のある歌声に慣れていると(彼女の歌声はやや大味で、音程が外れるようにも感じますが.....)、デセイの声が繊細で迫力に欠けるようにも思います。
このCDにはヘンデルが初期の草案でお蔵入りになった貴重なアリア2曲が収録されています。トラック9<アリア:私のあこがれの人に命をささげようと>とトラック13<アリア:あまりにもあなた方は残酷です>です。しかも、現行版と原案の曲が並べて演奏されています。
ヘンデルの「ジュリオ・チュザーレ」はバロック・オペラの頂点と考えられていますが、一般的にはクラッシック愛好家でもあまり知られていないように思います。このデセイのクレオパトラのCDを聴いて、益々この曲の魅力を再認識しました

Comments (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

管弦楽組曲集~若き王子のための~(原典版)

2011-10-08 20:08:53 | 音楽

Scan1 AVIEから、「管弦楽組曲集~若き王子のための~」(AV2171)のCDが出ています。演奏は、アンサンブル・ソネリーで、ヴァイオリン&ディレクター:モニカ・ハジェット、オーボエ:ゴンサロ・ルイス(録音:2007年9月21日~25日、セント・サイラス教会、ロンドン)です。第3番(BWV.1068)、第4番(BWV.1069)、は原典版で、トランペットとティンパニー抜きの演奏です。どちらもとても魅力的で、思わず引き込まれてしまいます。私の好みとしてはバッハの曲にあまりトランペットは似合わないように思います。どちらも特に序曲(Ouveture)は素晴らしく、これこそバッハだっ!と思ってしまいました。心躍るような感覚はブランデンブルク協奏曲第3番を彷彿とさせます。トランペットとティンパニーを、第3番では次男のC.P.E.バッハが、第4番ではバッハ自身がカンタータ(BWV.110)の作曲の時に付け加えています。第2番は、ゴンサロ・ルイスによるオーボエ版(世界初録音)です。このCDは何回も聴いてしまいました

Comment
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする