
これから、ときどきF1の空力パーツについて解説していきたいと思います。
Part1はF1マシンの先端に付いてる、重要な空力パーツ、
フロントウイングの役割について説明したいと思います。
F1のウイングは飛行機の翼を逆向きにした状態で、マシンに設置されています。
翼の上側を通る空気と、下を通る空気の速度に差が生じて(上側の速度>下側の速度)、
翼を下に押し付ける力、すなわちダウンフォース(以下DF)が発生します。
また、同時にウイングと路面との間を狭くすることでDFを得ることができます。
このことをグランドエフェクトといいます。
2000年までは、F1のフロントウイングは多くのDFをグランドエフェクトから得ていましたが、
現在は、フロントウイングの位置はマシンの底(リファレンスプレーン)から
150mm以上上げなければならないというレギュレーションにより、
グランドエフェクトを効果的に得にくくなってしまいました。
ただし、マシンの中心から左右250mmはマシン底から50mm上げなければならい、
というレギュとなっています。
97年のウィリアムズのフロントウイング。ドライバーはジャック・ヴィルヌーブ
下のマクのウイングと比較してみてください、低いでしょ?
今のフロントウイングはうねうね~
今のF1マシンのウイングはちょっとでもグランドエフェクトを得ようと、
ウイング中心付近はルールが許すところまで低くしています。
左右は空気抵抗(ドラッグ)を抑えながらもDFを得れるようなデザインになっています。
このタイプのレギュが発行された2001年は(ただし、150mm以上ではなく100mm以上)、
主に3種類のフロントウイングの仕様がありました。
01年のウィリアムズのウイング。去年までの直線的なウイングをただ
レギュに合わせただけのようなデザイン。
同年のベネトン(現ルノー)のウイング。数値上はこれが一番DF発生する。
当時空力の最先端を突っ走ってたフェラーリ。3Dウイングを考案したのも
フェラーリが最初。
最終的に生き残ったのは、今のF1のフロントウイングを見てわかるように、
フェラーリタイプの3Dウイングです。
ウィリアムズタイプのウイングは論外として、DFが一番得れるのはベネトンタイプのウイングです。
ウイングが地面に対して平行で、正面から入ってくる空気の流れは制御しやすく、
グランドエフェクトも得やすかったようです。
しかし、このタイプのウイングは斜め方向の空気の流れ(コーナリング中とか)に過敏で、
DFの発生量が急に変わったりして、非常にドライブしにくく、やがて廃れてしまいました。
一方、フェラーリタイプのウイングは、DFの絶対量はベネトンタイプより少く、ドラッグも多いのですが、
斜め方向の空気の流れにもうまく対処でき、ドライビングしやすいのがメリットです。
以上の理由から、3Dウイングが生き残りました。
今の3Dウイングは前述のように、01年のときよりも搭載位置が上がり、
グランドエフェクトがより得にくく、DFを得ようとしたら、ドラッグも多くなってしまうなど、
空力的により不利になっています。
しかしDFは欲しいので、ドラッグを増やさずにDFを得るような、
いろんなパーツを各チーム開発してるんですね。
フラップについてレポートしてるのはこちら空力パーツ解説(フロントウイング)Part2
翼端版についてレポートしてるのはこちら空力パーツ解説(フロントウイング)Part3
FWの裏側についてレポートしてるのはこちら空力パーツ解説(フロントウイング)Part4
ではまたぁ~
06シーズン空力紹介バーレーン、マレーシア、オーストラリア、サンマリノ、ヨーロッパ