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NHK大河ドラマ「直虎」を観終わって

2018年01月13日 | レビュー(テレビ、ゲーム、本、映画、その他)

2017年のNHK大河ドラマ「直虎」。

最初から最後まで見届けた。

 

正直、このドラマを見ていて最初は苦労した。

というのも、井伊谷の人たちに関する知識が私の中で不足していたからだ。

井伊直政は知っていても、不勉強ながら私は直虎や、直親のことはあまりよく知らなかった。

直虎という女性当主(もっとも、直虎に関しては色んな説もあるが)がいたのは知っていたが、詳しくは知らなかったし、その取り巻きの人たちとなると、ほとんど私は馴染みがなかった。

そのため、登場人物たちの相関関係や、その人たちを取り巻く状況や環境も、私は知識不足だった。

 

私は最初それらを把握しきれてなかったので、まずはそれを把握するところから始まった。

おかげで物語の流れが少し分かりづらく感じた。

 

直虎という女性当主自体、実は男であった・・という説もあった。

また、仮に直虎が女性だったとしても、その人生に関しては、残されてる資料や記録が非常に少ないという。

なので、それを補うためには、かなり脚本家が想像で膨らませる必要もあったろうし、正直フィクションの部分は多くなるだろうとも思った。

そんなことを考えると、当初は去年の「真田丸」ほどには、私は入れこめなかった。

 

でも、見続けているうちに、気になるキャラが増えてきた。

直虎以外では、やはり小野政次の存在感は・・特にその生涯が最後に近付けば近付くほど大きくなったし、気にもなった。

近藤の髭・・というか、もみあげも気になった(笑)。最初悪役で出てきていたので、その髭(もみあげ)をかきむしりたくなった(笑)。

 

洋風な容姿の瀬名も、魅力的だった。

 

いっさいセリフがないままだった今川義元の描き方は斬新だった。

 

そして・・個人的にはこのドラマでのお気に入りキャラである、今川氏真。

私は昔、仕事で今川家のことをあれこれ調べた時期があり、そのせいもあって、今川家には一定の関心を持っていた。

世の中的には、今川義元は、信長の敵役であり、桶狭間で敗れたことで、過小評価されている・・と常々私は思っていた。

義元に関しては、このドラマでも決して良い描かれ方ではなかったが、物語の進行上、仕方なかったかもしれない。あくまで井伊谷視点でみると。

 

ただ、今川義元というのは、当時の日本ではかなりの大物であり、実際優れた大名であった。それは北条家や武田家と対等の同盟を結んでいたことでも明らかだ。今川義元の領地の統治法を手本にした大名がいたことでもわかる。

だが・・今川氏真となると・・・?

義元でさえ過小評価されてるのに、ましてやお家をつぶした氏真となると、歴史ドラマの中での扱われ方は悲惨。

というか、無視されてきた・・といってもいいかもしれないほど。

 

それが・・ドラマ「直虎」の中では、かなりの存在感で描かれていた。人間的に描かれていた。

そこが私は面白かった。

氏真は大名としては没落したが、その後の人生は長生きだった。確か80歳近くまで生きたはず。

没落後、徳川家に臣従して、文化人としての素養を活かして、公家などとの調停役をすることでそれなりに重用され、今川家を残すことにつながった。

 

歴史上の評価は低く、愚鈍扱いされても、名よりも実をとった生涯だったようだ。

名家・今川家をつぶしてしまったのだから、相当な苦悩があったはず。

また、その後の長い人生を全うしたわけで、その間色んな心境の変化もあっただろうし、その後の世の中の流れも見ていて、思うこともあっただろう。

なまじ名家に生まれたばかりに、自身には向かない重荷を背負わされ、やがてそこから解放された時に安堵した思いもあったろう。

暗愚とみなされた悔しさもあっただろうし、自身の素養や特技で、その後の自身の生き方に活路を見つけたこともあったろう。またそれは、アイデンティティでもあったろう。

 

「直虎」を見ていたら、私はいつか今川氏真を主人公にしたドラマも見てみたくなった。

氏真を主役にしたドラマなど、私はこれまでまだ見たことが無い。というか、そういう作品は、まだないのではないだろうか。

 

 

 

大河「直虎」に話を戻すと、直虎の晩年の生涯の資料はほとんどないようなので、大河「直虎」の直虎の晩年の生き方は、ほとんどはフィクションであったと言えるだろう。

どとらかというと、井伊万千代(後の井伊直政)が徳川家に仕えるようになってからは、ドラマは万千代が中心で、実際、直虎を追いかけるよりも直政を追いかけていたほうが面白かった。

主人公が一応直虎であったことで、万千代が活躍しだしても直虎をからめなければならないわけで、そのへん制作側は苦労しているようにも見えた。

直虎自身が日本の歴史に大きくかかわったわけではないし、万千代はその後、徳川家の筆頭クラスの人物として大活躍をして、歴史にもそれなりにかかわったわけだから、ドラマとしては直政を見ていたほうが面白かった。

 

直虎が主人公の大河だったから直虎の死でドラマが終わるのは仕方ないのだが、視聴者としては、そのまま直政を主人公にすえて、主役完全交代で物語を続けてほしいぐらいだった。

 

そのへん、記録があまり残っていない女性を大河の主人公に据えるのは・・・どうしても限界があるんじゃないだろうか・・と思えてならなかった。

少なくても私はそう思った。

これは以前、吉田松陰の妹を大河の主役にした時にも思ったことだったが・・。

 

直虎も主役として描くなら、むしろ直虎と直政の「井伊の二代」の物語にしてもよかったのではないかなあ。で、直政の最後まで描く・・・ということで。

それなら、後半は完全に井伊直政が主役になっても大丈夫だし。

直政がメインになってからも、がぜん面白く感じていたので、ついそう思ってしまった。

 

 

ともあれ、序盤は、登場人物たちの情報が私の中で乏しくて、相関関係を把握するのが先決で、あまり入りこめなかったが、回が進むにつれ小野政次の存在感などで引きこまれ、架空の人物である龍雲丸とのからみで話が膨らみ、家康がキュートであり、今川氏真の描かれ方が新鮮で、井伊谷の人たちでほっこりし、直政の成長物語が楽しかった。

信長は最後はまわりの人に信用されていない様が寂しかった。

 

 

ともあれ、資料や記録が少ない井伊直虎という「謎の人物」を、史実を織り交ぜたフィクションとして楽しませていただきました。

 

出演者の皆さん、スタッフの皆さん、お疲れ様でした。

 

 

 

 


コメント (2)    この記事についてブログを書く
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2 コメント

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Unknown (みけでございます)
2018-01-15 01:18:28
こんばんは、いつもブログ楽しく拝見しています。
さて去年の大河ですが、ほぼ同じ意見です。
最初の頃登場人物とかを検索しながらみていたのですが、それがよかったのかもしれません。
検索する、知る、興味がわくのだと思います。
個人的には柴咲コウさん美しく歌うようなお経がよかったですね。
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Unknown (だんぞう)
2018-01-15 09:12:08
みけさん、ありがとうございます。

幸村や西郷隆盛などに比べたら、直虎は資料も少ないみたいですし、知名度も低かったから、とりまく人物たちの相関関係の知識をよく知らなかった視聴者は多かったかもですね。
大河によって広く知られるようになったんでしょうね。

私、大河を観るまで小野政次などは全く知りませんでした。

柴咲コウさんのお経、そうそう、歌のようにも聞こえ、心地よかったですね!
返信する

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