時間の外  ~since 2006~

気ままな雑記帳です。話題はあれこれ&あっちこっち、空を飛びます。別ブログ「時代屋小歌(音楽編)(旅編)」も、よろしく。

問題の曲、「自己嫌悪」  by 井上陽水

2018年08月24日 | 音楽全般

この曲は元々は、井上陽水さんのアルバム「氷の世界」に収録されていた曲だ。

「氷の世界」といえば、陽水さんの最高傑作との呼び声の高い名作アルバム。

私は「氷の世界」は、このアルバムのピークの時にリアルタイムで買ったLPと、その後CDで再発されたバージョンとで、計2種類持っている。

 

特にLPバージョンの方はリアルタイムでさんざん聴いていたので思い入れは強い。

収録曲はどれも良い曲揃いだった。

なので、どの曲も私の中に染み込んでいる。

 

だからこそ、後年CDで買い直した時に、面くらったことがあった。

それは・・私が買ったCDバージョンには、本来LP盤には入っていたはずの曲が、1曲削除されていたことだった。

 

その削除されていた曲・・・・それはLPでは確かA面のラストに収録されていた「自己嫌悪」という曲だった。

 

名作「氷の世界」の中では比較的地味な印象を与える曲ではあったが、アルバムの「流れ」として聴くと、欠かせない曲にも思えた。

まあそれは、LPの完全バージョンを聴きなれていたからこそ、そう感じたのだろう。

 

「自己嫌悪」がCD盤では当初削除されていたのは、どうやらその歌詞が「引っ掛かった」ようだった。

冒頭の部分に、差別用語と受け取られている言葉があったかららしかった。

 

このようなケースは陽水さんだけに限ったことではなく、例えば当時陽水さんと「両横綱」と言われていた拓郎さんのアルバム「人生を語らず」に収録されていた「ペニーレーンでバーボンを」という曲も、使われていた言葉が差別用語と思われたりした。

 

そういう例は、探せば他のシンガーにもあるはずだ。

 

ともあれ、陽水さんの「自己嫌悪」。

この曲が、CDで「氷の世界」を買い直した時に収録されてないことに気がついた時、けっこう面くらった。

 

あるはずの曲がそこになくて、アルバム「氷の世界」の「流れ」が、中途半端に思えた。

そんな印象を持ったので、CD盤での「氷の世界」は、せっかくCDで買い直したのに、落胆してしまい、最初に1回聴いただけで、その後聴いていない。

不完全盤・・・そんなふうに捉え、どうも聴く気がしなかったのだった。

 

 

もっとも、話によると、最近ではCD盤の「氷の世界」には、「自己嫌悪」もしっかり収録されているようだ。

その辺は安堵ではあるのだが、「自己嫌悪」の入っていない「不完全バージョン」を買ってしまった私としては・・・なんか、損したような気分でいる。

 

差別用語の捉え方というのは、あちこちで様々な意見が語られているが、アルバム収録曲の中の1曲の、たったひとつの言葉だけで、アルバム自体が再発されなかったり、あるいは不完全な形での再発になってしまうのだとしたら、惜しいことではある。

 

言葉狩りの是非は、人それぞれ考え方は違うのだろうが、最近では古い映画などの復刻DVDなどを見てると、「作品中に、ふさわしくない言葉が使われていますが、作品の歴史的価値を考え、そのまま収録されています」という主旨のメッセージが添えられて、オリジナルのまま、手を加えずに(例えば、差別用語と思われる部分の音を消したり)復刻してあることは多い。

 

古い作品に、仮に今の時代では差別用語と捉えられかねない言葉が使われていて、それでその古い作品にたいして今クレームをつける人って、どれぐらいいるのだろう。

最近の作品ならともかく。

 

 

ちなみに、陽水さんは「氷の世界」というアルバムの再現ライブをやった時には、「自己嫌悪」の問題となった言葉は、違う言葉に変えて歌ってたらしい。

 

そういえば、前述の拓郎さんの「ペニーレーンでバーボンを」と言う曲は、2006年のつま恋ライブでも拓郎さんは披露していたのだが、その時会場にいた私は、拓郎さんがその曲を歌い始めた時に、その曲の問題となった歌詞(言葉)を拓郎さんがどうするのか興味があった。

結局、その「問題となった歌詞(言葉)」は「別の言葉」で置き換えられて歌っていた。

 

 

ともあれ、せっかくの名作アルバムが、収録曲のたった1語の単語だけで、アルバムまるまるが再発できなくなったり、あるいは不完全形での復刻をされてしまう可能性を考えると、歌詞を書く時は、今は留意しておいたほうがいいのだろう。

あとあとのことを考えると。

その特定の1曲が放送禁止になるだけならその1曲だけの損失だが、その1曲が入っていたアルバム全体に損失が及ぶと、損失が大きすぎる、、、。

ただ、作者のミュージシャンにとっては、そのへんは表現上のジレンマではあるだろうな、、とは思う。

 

 ちなみにこの曲、盲目の人を揶揄したような歌では決してないと個人的には思うのだが、、、。

まあ、人それぞれ感じ方は違うのだろう。

 とりあえず、せっかくCDで買い直したのに、そのCDにこの曲が入ってなかった私としては、この曲がネット上から削除されないことを願うばかりだ。

じゃないと我が家では、この曲は今は聴くすべがないので、、、。

残念でならない。

 

 

 https://www.youtube.com/watch?v=6ocxkimSHyQ

 

 


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4 コメント

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全く同感です! (鮎川愛)
2018-08-25 03:32:04


CD盤『氷の世界』は、本当に残念ですね。


井上陽水さんも、CD盤では「自己嫌悪」を削除することは悔しかったでしょう。

特に「オープニングからの曲の流れを壊すような削除」であれば、どれほど残念なことか…!


いわゆる「言葉狩り」の問題ですが、音楽であれ、漫画であれ、作者が明らかに悪意を込めた作品であり、故意に対象者を侮蔑する表現であれば、私も絶対断固反対です。


ナチスやネオナチなど、非道暴虐な作者によるプロパガンダ漫画など、その典型です。


しかし、その作者の作風や内容などから考えて、時代背景やリアリティーを出すための差別表現が出るならば、私は仕方ないと考えます。


例えば、『カムイ伝』『はだしのゲン』などですね。


さて、井上陽水さんによる「自己嫌悪」が、何かの対象者を差別・侮蔑しているなどとは、全く思いません。

吉田拓郎さんも、オリジナル楽曲の歌詞一部を改変して歌うなど、本当に災難でしたね。


熱烈ファンであればこそ、ミュージシャンにはオリジナル歌詞通りに歌ってほしい、大変強い想いがありますからね。


さすがのジョン・レノンも、(生涯最後となってしまった)75年コンサートの時、「イマジン」の一部を改変して歌ったところ、明らかに嫌な顔をしたファンがいた映像が残っています(苦笑)
Unknown (だんぞう)
2018-08-25 10:53:06
ええ、あのアルバムをCDで買い直した時は、あの曲が入ってなくてショックでしたし、ガッカリきました。

たぶん、陽水さんも複雑だったと思います。でも、アルバムそのものが再発されないよりはマシ、、、そんな心境だったのでは。
なんてったって、氷の世界は、最高傑作でしたから。

悪意をこめた差別言葉なら発売禁止も仕方ないですが、そうじゃないなら、あまりに過剰に自主規制するのは、どうかと思います。


カムイ伝は、差別反対の志で描かれた作品でした。
はだしのゲンは私は通して読んだことはないのです。断片的に読んだのですが、それでも強烈な印象を持ちました。



陽水さんの自己嫌悪という曲を聞けば、差別や侮辱の曲ではないことは明らかです。


拓郎さんの曲は、アルバムのオープニング曲でした、、、。さすがにオープニング曲を外した状態で復刻するのは出来ず、せっかくの名作アルバムが復刻されずにいます。

ジョンレノンが今も健在なら、イマジンは原曲通りに歌うことでしょう。
差別用語の曖昧さ (lemonwater2017)
2018-08-27 01:51:25
こんばんわです。象が転んだです。

井上陽水さんですか。懐かしいです。
自慢にもならないんですが、予備校の先輩です(笑)。タモリさんもね。

とにかく、凄い人気でしたね。明らかなパッシングとも取れなくはないんですが。それだけ、社会に絶大な大きな影響を与えた偉大なるアーティストなんですね。

そういう私はあまり音楽は聴かないんですが。よく陽水さんのモノマネをして、周りを楽しませたものです。

しかし、微妙なニュアンスの表現をやり玉に上げ、ファンの楽しみを奪い去る権利は、幾ら法が絶対だとしても、許せない事ですね。それに、創作や表現の自由を奪うもので、それこそが許せない犯罪ですかね。

話は古くなりますが、藤圭子サンの歌なんか、キワドい用語の連発だった様な。
Unknown (だんぞう)
2018-08-27 08:48:15
象が転んださんは、福岡の方なんでしょうか。
だとしたら、福岡出身のミュージシャンには大物が多いですよね。
タモリさんにしても、コメディアンでありながらも、音楽への造詣が深いですものね。

音楽面では、陽水さんは福岡出身のミュージシャンの中では筆頭クラスでしょう。

差別用語って、ナーバスになればなるほど、かえって逆効果になってしまう気がします。
意識しすぎて、より敏感になってしまう感じで、、、。


藤圭子さんをはじめ、古い歌謡曲にはそんな歌がけっこうあるでしょうね。

あと、古いフォークソングにも。

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