特撮ドラマ・ウルトラシリーズの元祖といえば、なんといってもやはり「ウルトラQ」。
この番組がなければ、後のウルトラマンも、セブンも、更にそのあとのウルトラシリーズもなかったかもしれない。
ウルトラQは、以前テレビの深夜枠でリメークされたこともあるが、それとは別にラジオ番組シリーズとして作られた作品もあった。
このCDは、ラジオ番組版ウルトラQを収録したもの。
内容は、全てこのラジオ番組版用に作られた新作である。
中にはケムール人のように、元祖ウルトラQに出てきたモンスターが再登場する話もあるが、ほとんどが新作のキャラ。
ウルトラQは元々多様性のあるシリーズだった。
ゴメスやペギラのような正統派怪獣ストーリーもあれば、カネゴンのような風刺作品もあったし、「悪魔っ子」のような少し怖い話もあり、「あけてくれ」みたいな不思議な話もあったし、童話的な話もあった。
そういう多様性は、このラジオドラマ版にもしっかり活かされている。
シナリオライターにとっては、楽しくて、やりがいのある作品だったのではないだろうか。
ラジオドラマは、映像と言う制約(?)がないので、ある程度予算を気にしないで話を作ることができるだろう。
これが実写ドラマだと、特撮番組の場合は着ぐるみやスタジオセット、ロケ、衣装、撮影方法、その他の予算要素が必要になる。
でもラジオなら、それこそ多数の怪獣を出そうが、どんな時代や国の衣装だろうが、町風景だろうが、全ては聴き手の想像力の中にあるから、それらの費用はほとんど考えなくてすむはず。
なので、贅沢なストーリーや登場キャラや設定も、盛り込みやすいのではないか。
これがウルトラマンだったりしたら、やはり映像としてヒーローが登場して、スペシウム光線などの視覚的効果がないと、しんどいかもしれない。
だが、ウルトラQなら。
案外、ウルトラQの多様性は、ラジオドラマには合ってるかもしれない。
このラジオドラマ版では、オリジナルのウルトラQで出てきた主要人物、万城目淳(佐原健二)、戸川一平(西條康彦)、江戸川由利子(桜井浩子)がしっかりと再び勢ぞろいしている。
その点でもオリジナルのウルトラQファンには嬉しいだろう。
怪獣、怪人、不思議系、時空系、民話系、その他、色々な不思議ワールドのエピソードが再び「ウルトラQ」という名のもとに繰り広げられている。
ファンにはお勧めしたい。
もしも今も入手可能ならば。
ところで、スタッフやメンバーの語りによるボーナス音声などに、このラジオシリーズの続編の話もあったようなのだが、どうなったのだろう。
個人的には期待してるのだが。
ウルトラQは、ラジオ番組になっても、面白く、聴きごたえがあることが、この作品で証明されたと思うので、続編の話が立ち消えにならないことを望みたい。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます