ここで会ったが百年目

初詣に行こうと家を出たら、少し言ったところでうちの猫とバッタリ。

名前を呼ぶと「あー」

まずい。

こんなところで出会って後を追われたら困る。

バスの時間が迫っているが、家に戻ろう。

おいで。

「あー」

とことこ着いてきては立ち止まり、鳴いては着いてくる。

犬と違って、ここが猫の厄介なところ。

こちらから追えば逃げるだろう。

適度な距離を保ちながら、家のほうへと呼ぶ。

あと一歩というところでなかなか来ない。

仕方ない。

玄関を開け、エサの袋を振ってわざと音を立てる。

「あー」

ほら、おいしそうだね～。

近付いたところをがしっと捕まえて、家に入れ頭を撫でて

はい、寝てなさい。

間に合うかな。

もしかしたら行かないほうがいいという引止めだったのかしら？と

わけの分からないこと考えながらも若干遅れてきたバスに乗り

無事に初詣を済ましましたとさ。