goo blog サービス終了のお知らせ 

遅れてきた少年。

「機動戦士ガンダム00」を今更語ってます。「乗り遅れた」どころじゃない孤独のマイブーム。長文御免で開き直ってます・・・

「機動戦士ガンダム00P」 ノベル感想

2013-04-05 | 感想・考察
結局お取り寄せしてみました、ガンダム00P単行本上下巻・・・

武力介入前夜のソレスタル・ビーイング内部のお話ですね。
【ネタバレ前提】ですが、とりあえず私のように、「00」のキャラクターがどのくらい登場しているかとか、武力介入まで何をしていたのか、ということが気になる方(今更そんなスロースターターが居るか知りませんが)のために、まず第三世代マイスターの関わるところ書いてみます。

武力介入から約12年前。「00」登場人物としては、若き日のモレノ先生、イアンがメインで登場しますね。モレノ先生は、長髪でヤサグレてて、いい感じです。プロフェッショナルの根性が燃える。。。イアンは、まんまかな。
マイスター登場では、武力介入約5年前くらいからスカウトが動いていて、19歳くらいであろうニールが尾行されてるのと、マイスターズの兄貴分としてまとめ役になってくれるだろう、デュナメス上手に使えるだろうと期待されている。アレルヤは逃亡生活中で、スカウトにはアレルヤの性格が好ましいと評価される反面、ハレルヤは単独で覚醒して街をうろついて余所のパイロットに狼藉をはたらいたり、CBのスカウトを無視したり、奔放に活躍(?)・・・ティエリアは、ナドレやヴァーチェのテストだったり、いろんな人から「誰コイツ」扱いで調べられたり様子窺われたりしてますね。他のイノベイドにはイノベイドなのがバレてるんだけど、同時に本人はまだ知らないらしいことまで知られている。。。「00P」の主人公たちと模擬戦をやって、パイロットに怪我をさせたからと安否を問い合わせたり、地味に好人物ぶりを発揮して、スカウトに安心されたりとか、一番関わっているかな。刹那は単なる「0ガンダムの目撃者」として扱われていて、エクシアのパイロットが何故いつまでも決まらないのか、そこの「計画の歪み」が絡んでいるのではないかという、一つの謎になっています。
スメラギちゃんも選考段階で、スカウト担当者のボイン好きの友人が喜びそうとか思われてました。あと、リボンズがところどころ、アレハンドロ氏と行動を共にしつつ、動静を窺う感じで登場します。「00P」に出てくる裏切り者ビサイドとの水面下の戦いみたいな感じでしょうか。
あと、この5年後にはイアンの妻リンダが登場し、既にミレイナが育ってます。


この番外編、ガンプラバリエーションを楽しむため、その完成品のイメージを物語で膨らませるという用途で、簡単めのノベルとイメージイラストがついてるというモノなのですね。単行本も、ガンプラのジオラマ写真がたくさん掲載されていて、すごーく趣味的なメディアなんだなあと。。。何かスゴイものを買ってしまった気がします。ホントにホントに申し訳ないんですけれど、どうもこう、アレはやっぱり「プラモデル」にしか見えなくて。あのプラスチック感を無視して世界に入り込むことは、どうしても出来ないんですよね。。。そもそも、「巨大ロボット」という時点で、気を緩めると「どう理屈つけたってこんなバカデカい人型の戦闘機で戦う未来なんか来ねえよ」と我に返ってしまうくらい、メカに愛着が無いので、とりあえずアニメならドラマに絡んでうまく騙されてるんですが、メカ中心、しかもプラモデルとなると、どうも乗っかり切れないところはあります。メディアとして。なので、「物語」部分だけを美味しく頂きました。

本編のように、作品全体としてのテーマをどっかり背負ってるわけではないので、多分に趣味的とも思えます。どっちかっていうと、本編で「こういうことが起きたらやだなあ・・・」と思ってたストーリー予測の、的中バージョン、みたいな。
エヴァみたいに後半でストーリーが暗転して、キッツイ展開になっちゃったりするのかな?と本編も初めの方は心配してたんですよね。実は私は、結構真ん中くらいまで、敵に操られた、または洗脳された、または誤解からロックオンが刹那と相討ちになって死ぬ(多分最後の最後で正気に戻って刹那の致命傷を避けて自分がやられるんだな。うわあ絶対ヤダ)ラストを懸念していたのですが、そういうメインキャラクターの「裏切り」とかイヤな方向へは、本編は向かわなくてホントに良かったなと。
でも、外伝は、やるんですよね。そういうの。。。
前半は12年前、ティルトの両親である二代目マイスターのルイードとマレーネ、2人の命と引き換えに生き延びた少女シャルがスカウトされて第二世代ガンダムのテストパイロットになる。そこにイノベイドが出来る以前の以前の人工生命体(?)データのみの存在である少女、マイスター874が加わってマイスター4人。これにモレノとイアンがついてくる。技術者肌で好青年のルイード、安楽死事件で死刑判決を受けたが、本当は伝染病の末期症状の回避が目的だったという優しいマレーネ、乙女なシャルに、人間の感情を徐々に理解する874と、第三世代に負けず劣らずの個性派メンバー。女の子が多いので、華やかですね。しかしルイードとマレーネは、フェルトの両親なので、命を落とす結末が決まっている。シャルを助けようとして2人が亡くなり、シャルもマイスターを続けられないほどの後遺症を負ってしまうという悲劇的な崩壊を経て後半に。
今度は武力介入5年前くらいの話になり、第三世代マイスターのスカウト期間での出来事。スカウトの為に覚醒したイノベイド、グラーベ・ヴィオレントと、その補助パイロットのヒクサー・フェルミ、2代目生き残りのシャルと874が、CB内部の裏切り者の思惑に翻弄されながらもイオリア計画を正しく進めようとして戦う話、といったところでしょうか。ここで争われるのは、「第三世代の武力介入メンバーを人間にするか、イノベイドにするか」ということ。やはり計画では武力介入マイスターは最終局面では滅んでゆくことになっているので、そんなことは人間にやらせておけと考えるリボンズと、そもそも滅びの無いイノベイドが遂行するべき、というビサイドに分かれて、第三世代マイスター選定の攻防を展開する。グラーベは、自身に与えられたミッションに忠実に、人柄も含めて適切な「人間」をスカウトしてゆくが、有能過ぎてイノベイド登用派のビサイドに消されることになってしまう。第二世代生き残りのシャルは、ルイードとマレーネを失った「プルトーネの悲劇」事件の心の痛みを抱えながら、CBの支援組織を計画する。マイスター874は、データ生命体の筈なのに、グラーベの死に心を痛めて、彼の遺志を継いだ行動を起こす。自身がリボンズの手駒として送り込まれたイノベイドだと知らずに生きていたヒクサーは、ヴァーチェとの模擬戦で致命傷を負った筈の自分が簡単に元通りになったことで不安になるが、誰にも打ち明けないまま、ビサイドにコントロールされて親友のグラーベを射殺してしまい、そのショックから立ち直れない。
陰謀渦巻くCB内部、むしろ「ガンダム」らしいとも言える暗さ、陰険さ・・・
でもまあ、あんな組織がまともに起動するまでに、相当な犠牲が出ただろうことが、一部ドラマになったと考えれば良いんでしょうね。本編は、スポンサーもあれば子供番組としての枠もあるし、世相を考えたメッセージも必要になって来るからパブリックな顔が必要で、あんまりドロドロし過ぎずに、ヒューマンなところを強調していますが、世界観としては、やっぱり暗く血塗られた世界ではある。そんな「B面」を見る感じでしょうか。

ルイードが健全な青年という感じで前半は青春ものの雰囲気、後半はグラーベという影のある主人公と、脳天気(?)なヒクサーのコンビが面白いながら、「裏切り者」の陰険な手口や悲劇的な結末など暗さの強まる展開、描かれる「場面」がカッコ良くて面白いですね。グラーベは当然カッコ良かったんですが、個人的には人革連のデルフィーヌ&レナードのコンビが、子連れ狼みたいで好きです。ちょっとあらすじ読んだだけでは、この名前や設定から、このキャラクターって想像つかない意外性も良かった。ここでも、スミルノフとピーリスのような関係が展開されてますね。
ただ、本編もそうなのですが、どうもイノベイドというものについて、イマイチ心が動かないんですよね。個人的な趣味なんだと思いますが、どうしても、偶発的にその人として生命を得たもの、「人間」の面白さが好きなので、人造人間系に感情移入し辛い。。。
アニューもそうでしたが、どうしても「別もの」として見てしまう。だって人間よりコントロールが効いていて、容姿能力とも均整取れていて「感情」に乱されない。乱されるのがイレギュラーなことになってしまう。ヒクサーは自分がイノベイドと知らなかったし、グラーベも覚醒しなければ気付かなかったわけで、それほど人間とかけ離れてはいないのだろうけど、やっぱり目的を持って生み出されたという時点で「不自然」。これをどう受け取るかは、「好み」なんだと思います。人工生命体としての悲哀もあるし、グラーベ、ヒクサー、874のそれぞれの感情の動きにも十分ドラマはある。だけどどうも、「実在し得る」存在にしか興味が持てない私は、特に後編の、シャル以外がみんなイノベイドで、「イノベイド内紛」みたいな世界はちょっと馴染めないです。人革連のパイロットコンビデルフィーヌ&レナードや、PMCの傭兵フォン・スバークなどが出てくるので、広くとらえれば、グラーベが客観的な狂言回しで、この後の世界で活躍する人たちをピックアップして見せてくれているとも言えるので、作品として嫌い、とかグラーベやヒクサーが好きではない、とまでは感じません。だけどやっぱり、ちょっとマニアックというか。よりSF的視点を好む人々の世界なんだろうなあ、というのが読後・直後感想でしょうかね。

あ、あと、ほんの微細にですが、長野まゆみさんの「テレビジョン・シティ」「新世界」などの香りが、錯覚程度にします。似たような作品が多いだけとも言える程度ですが、自分が何者で、何処まで意識を掌握出来ているかがおぼつかない世界なんですよね。グラーベは、ひとまず全コントロールきいてるようですが、やっぱり最初は人間だと思っていたわけだし、ヒクサーに至っては、分かっていないまま、鉄砲玉に使われてしまう。この、いきなり意識を乗っ取られたり自分の信じた記憶と自分の正体が違っていたりという、意識を支配される存在の悲哀みたいなものが、それにあたるでしょうか。

それから、イアンとモレノ先生ですね。この「00P」の悲劇を知りながらプトレマイオスチームに居るという、生き字引なおふたり。外伝を読んでしまうと、モレノ先生のあっけない死に方が、何とも哀しいです。イアンの心中やいかに。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿