memento mori
16th 2009.2.18
01. 真っ赤な夜-Bloody- ★★★★
02. Les Enfants Terribles ★★★★
03. GALAXY ★★★★★+★
04. アンブレラ ★★★★
05. 勝手にしやがれ ★★★
06. Coyote ★★★★
07. Message ★★★★★
08. Memento mori ★★★★
09. Jonathan Jet-Coaster ★★★☆
10. スズメバチ ★★★☆
11. Lullaby-III ★★
12. MOTEL 13 ★★
13. セレナーデ -愛しのアンブレラーSweety- ★★★★
14. 天使は誰だ ★★★★★
15. HEAVEN ★★★☆
1987年にメジャーデビューして以来、片時も休むことなくコンスタントに活動(たまにソロあり)を続ける長老バンドBUCK-TICKの16th。
前作”天使のリボルバー”と比べると、大きな路線変更はなく、パワフルさと焦燥感がプラスされ、加えてメロも立っていて聴きやすくなったといった印象。
毎回、完成度が高い作品をリリースしている彼らだが、今作の完成度の高さは普段以上。
ポップであり、ロックンロールであり、エネルギッシュであり、退廃的であり。
BUCK-TICKとその他のバンドのレベルの違いを端的に感じさせる、シンプルで強力な1枚といえよう。
今作はメンバーからも「バンドサウンドの集大成」といった声が上がっており、このアルバムの隙のなさがうかがえる。
デビューから20年以上経っても成長・変化を求め続け、最高傑作とも呼べる作品を作ってしまう彼らには、ただただ感嘆するばかりだ。
個人的に、今作の凄まじい点は、インストナンバー無しの全15曲という内容だ。アルバムのすべての曲がポップスソングとして独立しており、小曲、繋ぎの曲というものが存在しない。
全ての曲が歌モノであり、かつ15曲というボリュームでありながら、作風はまとまりを欠くことなく、始まりから終わりまで一貫した緊張感のようなものが中央を貫いている。
決してインストナンバーや繋ぎ曲が「誤魔化し」という意味ではないが、全てが歌モノ、10曲や11曲ではなく15曲というボリュームが、どこか「真っ向勝負」を意図して作られている気がして、そこにアーティストの自信が溢れているように感じられる。
アルバム開幕のナンバー「真っ赤な夜-Bloody-」。
ジリジリと背中を焦がすような焦燥感・緊張感。すぐ背後に迫る死と、その死を感じるからこそ浮き彫りとなる生の実感。
櫻井氏の歌詞も光っている。
そこから畳みかける様に名曲の連打。
特に、アルバム前半の楽曲はどれもキャッチ―で個性のある曲が続き、ノックアウトされてしまうほどエネルギーが溢れている。
中でも3曲目の「GALAXY」は、美しいメロディ、歌詞で、同アルバム、同バンドの楽曲の中でも随一の完成度。
胸を掻き毟られるような不安、孤独感。それが櫻井氏の優しい囁きにより、救われ、昇華され、空へ融けて逝くような美しさがある名曲。
余談ですが、200を超えるBTソングの中でも、私の中ではこの「GALAXY」が今のところベストBTソングです。
6曲目「Coyote」、7曲目「Message」とバラードも強力。
「Coyote」はメロディもさることながら、カントリー?カルメン?のようなアレンジで、それ自体がポップ。
「Message」は正統派ピアノバラードで、星野の得意分野、もちろん安心の出来。
というより、個人的には”FLAME”と並んで、BTのバラードの中で1番好きかもしれない。
後半の幕開けであり、タイトルトラックの「Memento mori」は気持ちの良いぐらいの問題作。
メキシカン?アフリカン?なドラミングと、沖縄音階らしいオリエンタルなギター。
「夢魔」にてゴシック宗教の開祖となったBTだが、早くも新たな民族宗教を開いてしまったようです。
続く「Jonathan Jet-Coaster」こそ激しいロックンロールだが、後半戦は比較的まったり。
11,12曲目のようなミドルテンポの曲こそ、とっつきにくさはあるものの、BTのらしさが表れますね。
13曲目に今井流80's風ポップスがあり、本作のクライマックス、14曲目「天使は誰だ」。
ダークでポップ。まさにBT、今井寿を象徴するような捻くれたナンバーがラスボスに待ちかまえます。
そしてピースフルな「HEAVEN」で終幕。
全15曲、インスト無しで、ボリュームたっぷりであるが冗長であることはなく、その世界にどっぷりハマれるバラエティさがある。
バンドサウンド、シンプルで分かりやすい直球勝負でここまでの作品を作り上げる、ベテランバンドBUCK-TICKの懐の深さをしれる名盤。
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