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「母の知恵、星の下で」

2023-11-17 00:15:15 | 大西好祐
「母の知恵、星の下で」

コネチカットのプレップスクールの寮で過ごす日々は、僕にとって初めての独立生活であり、新たな挑戦の連続だった。しかし、そんな時でも母は、いつも僕の味方であり、頼りになる存在だった。電話をかけるたび、国際電話の高額な料金を気にせず、僕の質問に親身に答えてくれた。彼女の声は、遠く離れた故郷を思い出させ、心の支えとなっていた。

母は博識で、彼女の知識は本を読むだけでなく、実際の経験や人生の教訓に根ざしていた。ケネディ家やフォード家の子供たちが寮生活で感じた孤独やホームシックについての話を通じて、僕に自信を持たせ、困難を乗り越える力を与えてくれた。彼女の言葉は、僕が遠く離れた場所で成長し、学び続ける励ましだった。

しかし、ある日、母が口にした言葉が僕の心に深く刻まれた。彼女は、「もうお母さんわからないわ」とつぶやいたのだ。その瞬間、僕は驚き、寂しさに包まれた。母が言っていることは、もう彼女が僕にアドバイスできなくなったことを意味していた。そして、僕の知識と叡智は、彼女の理解を超え、彼女がたどり着けない領域に達していたようだ。

その後の日々は、僕にとってさらなる疑問と思索の時期となった。母が亡くなる前に、もっと多くのことを学び、質問し、共有できたのだろうか?彼女が生きていたら、僕はどれだけ多くのことを尋ね、彼女から学び取ることができたのだろうか?窓の外に広がる静かな月夜を見つめながら、僕は母との失われた機会について考え続けた。


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