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『秘密の経験:FBIとの関わりから生まれた法律のキャリア』:書評

2023-11-11 15:01:15 | 大西好祐

『秘密の経験:FBIとの関わりから生まれた法律のキャリア』は、大西好祐氏による自伝的なエッセイであり、複雑な家族の経験や父親との繋がり、そして「アンタッチャブル」というクライム・ドラマによって彼の法律家としての道を歩む原点に迫っています。

物語は、大西氏の父親が彼を書斎に呼び寄せ、共にアメリカの番組を観る瞬間から始まります。この親子の交流が、英語の文字とアメリカの風景が交錯する中で大西氏の心に影響を与えていったことがうかがえます。父のお気に入りである「アンタッチャブル」が、特に禁酒法時代のシカゴを描いたクライム・ドラマであることが、物語のキーポイントとなります。

このエッセイでは、大西氏がシカゴ大学を卒業し弁護士になる道を選ぶ過程が描かれています。父の夢を受け継ぎ、アメリカで学び、働くことを目指す大西氏の決断は、彼自身が思ってもいなかった方向への舵取りであり、物語が偶然と運命、そして夢の追求の要素を交えていくことが感じられます。

また、大西氏がワシントンDCの事務所で経験した「秘密に包まれた出来事」が物語に登場し、その影響が子供の頃に見た映画に由来する可能性に触れることで、読者は大西氏の複雑で興味深い過去に引き込まれます。彼が育った環境と、映画が彼の法律家としての情熱をかきたてたこととの対比が、物語に深みを与えています。

最後に、物語の力強いメッセージが際立ちます。映画や物語が私たちの生活に与える影響の力を認識し、それが夢を追い求め、自らの限界を越える原動力となることを描いています。大西氏が「アンタッチャブル」を通じて法律の道に進む情熱を見つけ、自らの法律事務所を立ち上げるという困難な道を歩んだ姿勢は、読者に勇気と希望を与えることでしょう。