旧西ドイツの原子物理学研究の中心・ゲッティンゲン大学で,18名の物理学者が発表した「いかなる形でも原子兵器の製造,実験,使用には参加しない」という「ゲッティンゲン宣言」.カール・フォン・ヴァイツゼッカー(Carl Friedrich von Weizscker)も署名者の1人である.ヴェルナー・ハイゼンベルク(Werner Karl Heisenberg)のもとで原子核の理論研究に従事したヴァイツゼッカーは,近似式(ワイツゼッカー‐ウィリアムス近似)で名高い.
その思想の洞察と認識を知るうえで,本書は外せない文献.統一ドイツ初代大統領リヒャルト・フォン・ヴァイツゼッカー(Richard Karl Freiherr von Weizsäcker)は,カールの実弟である.比重は違えど,彼らは自然・人間・社会三科学の現実的統合化を探求した「行動する知識人」であった.