持続可能な社会の実現には,環境汚染を自然の浄化能力が上回っていなければならない.エルンスト・ワイツゼッカー(Ernst Ulrich von Weizsacke)は1960年代を振り返って述べた.「1960年代には環境の世紀の到来を語った人は誰でも嘲笑された」.本書は,環境の世紀の到来を訴えた,レイチェル・カーソン(Rachel Carson)の最重要な著作である.
このような町は実際にはないが,似たような現象は珍しくはない,とカーソンは書く.「ものみな萌えいずる春」ならぬ,「ものみな死に絶える春」というわけである.本書を読み,悲しみをおぼえたある女性は,周囲の人々にこれを読むよう薦め,自分の娘と息子にこの本の価値を説いた.その息子は後に政治家となって『地球の掟 : 文明と環境のバランスを求めて』という本を書いた.本の中で,カーソンに影響を受けた母と,その母から教えられたことを述べている.彼の名はアル・ゴア(Albert Arnold Gore,Jr.).クリントン政権で副大統領を務め,2000年の大統領選にも出馬した.