
6月と言うと決まってアツミが思い出すのは小学校のプール開き。アツミの小学校では毎年6月からプールの授業が始まった。その前に必ず催される、小学校にしては変わった行事があった。それは魚釣り大会!
アツミの小学校は児童数が少なかった。というか、今や分校と呼ばれるのも時間の問題か?と地元民の間でまことしやかにささやかれるほどの小規模の小学校。だからこそ出来た行事。
プール閉鎖期間にニジマスの稚魚を放しておいて、プール掃除の前の5月末に毎年生徒たちがバケツと釣り竿を持ってやってきて、みんなで釣るのだ。一応盛り上がるようになのか、いやがらせなのか解らないが毎年1匹どえりゃ~でっかい鯉が放されていて、それをみんな「ボス」と呼んで恐れながら釣っていた。そのボスが竿にかかると釣り糸はちぎれ,運が悪ければ浮きもおもりも持って行かれて、お手上げ!状態になるのだ。
実はその時裏側で大人たちの無言の戦いがあった。生徒一人一人が持ってくる釣り道具は規制がなかった。そのため、生徒一人一人のお父さん&おじいさんがその子供に持たせる釣り道具を、いかに子供に釣りやすく仕上げるか?に火花を散らしていた。竹の釣り竿&パンのえさで簡単に仕上げられたものもあれば,上州屋で選びに選び抜いた釣り竿、おもり、浮き&えさで、小学生ではなく、にわか釣り師に仕立て上げられ登校する生徒もいた。今思うと親心とは凄いものでありますな。
しかし事件も発生。魚釣り大会の前日の夜、その行事が行われることを聞きつけた何者かが、プールの外の囲いから、えらい長い釣り竿でほとんどの魚をつりあげて持ち去ってしまい,当日釣るのは一人2匹まで!の規制が出たことがあった。釣りの醍醐味ってものはその年は消え失せた。
そしてそのあとプール掃除が行われる。水を抜いて行くとプールに現れる釣りきれなかったニジマスとボス!ボスは毎年口から何本もひきちぎった糸を出しながらその時に初めて正体を現すのだ。そうするとクラスによくいる暴れん坊がつかまえてハトヤのCMをやり、そしてクラスによくいるひょうきん者は決まってプールで転んでパンツの中までびしょぬれになるのである。
あ~、良き思い出だな~。魚釣り大会したい!ガキの使いの魚釣り大会呼んでくれないかな?できるなら奥田民生さんと同じ船にしてください。