東京で行きたかった
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参加者は完全に光を遮断した空間の中へ
グループを組んで入り
暗闇のエキスパートである
アテンド(視覚障害者)のサポートのもと
中を探検し、様々なシーンを体験します
___________
私が参加したシーンは「お祭り」
中に入るグループは友達同士でなく
知らない人同士
目を閉じているか
開けているか
わからないほどの暗闇は
本当に
本当に
暗闇
聞こえてくるのは
水の流れる音
祭りの太鼓や笛の音
同じグループの6人がどこにいるかなんて
わからない
最初は
声に出して「見えない」「怖い」とか
「どこ?」「どっちに行くの?」と言っていたのが
すぐに
自主的に
「ここに橋がありまーす」
「後ろにまだ一人いまーす」
「OO(自分の名前)座りまーす」とか
相手を想い
相手に伝えようとする発言に変わってくる
重ねて言いますが
これ 今さっき会った他人同士
相手の手に触れ
手を取り合う
しかもすごいことに
顔もしっかり見てないうちに自己紹介して
あっという間に暗闇に入ったのに
声だけで誰が誰か解るようになる
これ
入って数分のこと
__________
入ってすぐに橋を渡り
「おばあちゃん」の家に着いて
縁側に座る
靴を脱ぎ4畳半の
畳の部屋にあがる
茶ぶ台の上に麦わらぼうしがあって
棚の上には黒電話
これ
また言いますが暗闇です
何も見えてない
ただ手と耳で動いてます
この頃には暗闇は楽しくなってくる
まったりした後
縁側の下で
線香花火
もちろん音だけ
あの小さな線香花火の音を聞いて
終わったあとには
「きれいだったねえ」と言ってしまった
ほんとに
見えてた気がした
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その後
屋台へ
屋台でもらったうちわに絵を描く
暗闇
風船釣りの風船です
ペンは赤だったのね
イスに座り
屋台の店員さんから
お菓子とジュースを買う
もちろん
お金も見えてない中でやりとり
りんごジュースと
うまい棒
暗闇の食べ物は味がはっきりしていた気がする
30分くらいたったかなと思って聞いたら
1時間くらいたってますよ、と
6人とも
声を合わせて言ったのが
「まだ出たくない」
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暗闇は快感だった
自分の中に
これがあることを教えてくれた
それは
「記憶」
畳をみたことが
触ったことがある記憶が
見えない中で「手」を通して畳とわかったこと
触ることで
500円玉の大きさが500円とわかること
音だけで
線香花火が光る様子がわかったこと
川にかかる橋が
渡る足の感覚で丸太だということがわかったこと
食べたうまい棒がコーンポタージュ味だったこと
声だけで誰か解るということ
_________________
記憶をひとかけらも落としたくはないと思った
手で触れて
足で感じて
声を聞く
そのどれもが
私の中にあったんだと
それが
このカラダだったんだと思う
誰に会い
何に触れ
何を感じたか
なにひとつ
忘れたくない
なにひとつ
記憶を落としたくない
ひとつでも落としたら
なにもかも消えてしまうような気がする
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目が見えなくなったら怖い
暗闇は確かに不安
でも
暗闇は
孤独ではなかった
周りに人がいることを感じられる
暖かい場所だった
それは
明るいところでは
「見えなかった」もの
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