のどが渇く。
とてものどが渇く。
目の前が赤い。
この赤さは、窓から強烈に差し込む秋の夕日のせいだろうか。
そう思いたい。不吉な赤。気分が悪い。
どく、どく、と脈打つ心臓の鼓動にあわせて、廊下の色が赤から深紅へと色を変えている。
体も息も熱い。
落とした視線の先に、四角いタイルをしきつめた床の上を歩く、白い上ぐつの先の赤いゴムが見える。赤。赤。赤。
(早く、帰らなきゃ)
だれか知り合いに会わないうちに。
こんな自分を見られないうちに。
いまだれかに会ってしまったら、自分が何をするか分からない。怖い。怖い。
(教室のカバンを取って、それから)
のどがひりひりする。
ああ、目の前が赤い。
(早く帰らなきゃ) (続く)
とてものどが渇く。
目の前が赤い。
この赤さは、窓から強烈に差し込む秋の夕日のせいだろうか。
そう思いたい。不吉な赤。気分が悪い。
どく、どく、と脈打つ心臓の鼓動にあわせて、廊下の色が赤から深紅へと色を変えている。
体も息も熱い。
落とした視線の先に、四角いタイルをしきつめた床の上を歩く、白い上ぐつの先の赤いゴムが見える。赤。赤。赤。
(早く、帰らなきゃ)
だれか知り合いに会わないうちに。
こんな自分を見られないうちに。
いまだれかに会ってしまったら、自分が何をするか分からない。怖い。怖い。
(教室のカバンを取って、それから)
のどがひりひりする。
ああ、目の前が赤い。
(早く帰らなきゃ) (続く)