★二枚の受胎告知 ボッティチェリ ウフィッッイ美術館 フィレンツェ
昨日の答え:昨日の画像で、『ボッティチェリ』をトリミングした画像で左の一番端でこちらを見ている男が『ラーマ』です。
さて今日の作品ですが『受胎告知』 1481年 サンマルティーノ病院の壁に描かれていたフレスコ画です。
この絵はフレスコ画で、テンペラ画と違い、細かい部分を描くことが難しいことと、漆喰が乾くまでに書き上げなくてはいけないという時間的制約があるので、より簡素化されてしまうので、この二枚を単純に比較知りことは難しいのですが。
二枚目です『受胎告知』 1489年
二枚目のほうがかなり、手や、体でのアクション、表現が顕著です。
天使『ガブリエル』が「処女懐胎」を告げるときの手の動き。そして『マリア』がその告知を聞いた時の心の動きが、身をよじりながら、懐胎を受け入れられない動揺を伝えているようです。
また、『マリア』の手は、『ガブリエル』のほうを向きながらも、手のひらは天使のほうを向いています、全身で激しい心の動揺を表しているのでしょう。
それに比べて一枚目のほうは、まず、『ガブリエル』と『マリア』位置関係が離れています、これは画面の制約もあると思うのですが、二人の関係を淡泊に表現しているように感じます。
そして、手の動きですが、こちらの方は二人とも手を胸元に置き閉じています。お互いに納得しているようで、あまり激しい葛藤は伝わってきません。
実は、この二枚の絵が描かれた間に、歴史的な大事件が起きていたのです。
1800年から1900年代のフィレンツェでは『ロレンツオ』の逝去、『メディチ家』のフィレンツェからの追放、共和政の復活、『サボーナローラ』の台頭です、この修道士の登場で強硬なカソリックの政策が展開され、「ルネサンス」は終焉を告げるのです。
『ボッティチェリ』もこの、修道士が起こすカソリックの強硬策に傾倒していくのです。
この作品は、『サボーナローラ』の宗教的強硬政治が破綻して、教皇から処刑された次の年に描かれています。
この間にあった、『ボッティチェリ』の宗教的な葛藤が、この二枚の作品に現れていると私は考えます、二枚目で見られる『マリア』の動揺、葛藤は同時に、『ボッティチェリ』の心の中で起こった葛藤が反映されているような気がします。
なんか同時に、マリアの顔の表現も違うような気がしてなりません、これはこ『受胎告知』の二枚というよりも、二日前、三日前の母子像との比較もしてみました。
それにしてもとても美しく神々しいお顔ですね。