2021年11月訪問
パリ市立近代美術館にはマチス(1869-1954)とデュフィ(1877-1953)というフォービスム派(野獣派)を代表する画家の超大作が展示されています。
マチスは《ダンス》(1931・1933)が展示されています。
1909年にロシア人のコレクターの要望に応じてこのタイトルで最初の絵を描きます、その《ダンスⅡ》(1910)はエルミタージュ美術館に収納されています。
そして1930年にバーンズ財団が美術館を作るのでそこに壁画を書かないかとの依頼が来ました。
パリ市立近代美術館にある《ダンス 1931》はバーンズ美術館に渡す作品の下書きとして書いたものです、8人の男女が踊っている姿を描いたものですが、この作品を書くにあたって、車庫を改造したアトリエでの壁に長い棒の先にペンを取り付けて書いている画像が残っています。
棒の先につけたペンの後がはっきりといくつも残る習作ですが、かなりの迫力をもって私たちに語りかけてくるものがあります。
(2021年11月撮影 i-phone11pro)
《ダンス 習作》1931年
この作品の大きさを実感してもらうために人物を入れてみました。
どうです、作品の巨大さがわかるでしょ。
(2021年11月撮影 i-phone11pro)
《ダンス》1933年
肉体の形状を極度にシンプルにして、その躍動感を表現しています。
写実的な表現よりいっそう跳ねる、飛ぶ、走るの肉体表現が際立っています。
次の《ダンス 1933》ですがこれは製作中に寸法を間違え、新たに書き直したので、この作品がフランスに残ったのです。
1910年の《ダンスⅡ》に比べるとかなり抽象的な表現になっています目鼻なども書き込まれていません。
また彼はこの作品が置かれる場所のことも考慮に入れ、庭が見える空間に浮揚感のある作品に仕上げたと語っています。