書店に羽生名人関係の新刊本が3冊並んでいた。
「羽生喜治の思考」、「結果を出し続けるために」、「どうして羽生さんだけが、そんなに強いんですか?」である。
最初の2冊は羽生名人自身の著作で、「結果を出し続けるために」は今年の7月の講演をまとめなおしたものとのこと。
「どうして羽生さんだけが、そんなに強いんですか?」の著者は梅田信夫。
まず最初に手に取ったのが、ストレートで目を引くタイトルの「どうして羽生さんだけが、そんなに強いんですか?」だった。
著者によれば、将棋の世界を愛する人達は「羽生さんだけが強いわけじゃない」と心の底からわかっていて、「どうして羽生さんだけが」という問いに「もっと全体の素晴らしさをわかってほしいな」と思う、とのこと。
また、この問いかけは「羽生一人を肯定し、他をばっさりと切り捨てる響きが耳につらい」、「残酷な問い」なのだという。
この本は、「どうして羽生さんだけが」という答えに窮する難問中の難問への糸口として、著者が羽生名人のタイトル戦の現場で観て書いた五つの観戦記と、当事者である棋士達との一対一の対話五編をまとめたものだ。
他の2冊と違って、この本は観戦記とその対局に関する対話集であり実戦譜の手順やその読みが多々披露されているので、将棋のことを良く知らない人にとってとっつきにくいと思われるかもしれないが、さにあらず。
実際私は将棋のことは駒の動かし方を知っている程度の初心者レベルだが、この本は面白いと思った。
(山崎隆之プロとの対話「あれ、むかつきますよ、勝ってんのに」はおかしくて笑ってしまった。)
手順については読み飛ばして頭に局面が描けなくとも、「プロ棋士の世界のすさまじさ」は何となく伝わってくるし、文章から醸し出される棋士の人間性に感銘を受けるのだ。
肝心の問いに対する答えについては明確なものはない(だから難問中の難問なのだろう)が、著者は最後に羽生名人の強さの要素を整理した上で羽生名人だけが突出している要素が何かについて考察している。
そして、人々はこれから先も「どうして羽生さんだけが」と問い続けなければならないかもしれないし、あるいは羽生名人に続く渡辺竜王や久保二冠、広瀬王位など若い世代が次のタイトルを取ることで世界が変わる可能性もあり、そうなれば誰も「どうして羽生さんだけが」と問わなくなると書いている。未来は未知であり、可能性は誰にも開かれている、だから未来は面白い、と。
この本で私の将棋界に対する理解は少し広がったように思う。
竜王戦における渡辺竜王の強さは2年前の羽生名人との激闘で思い知らされた気がするし、他のトップレベルの棋士と羽生名人との差は紙一重であることもこの本で少し分った気がする。
それでもまだ私は「特定の棋士だけを応援している人はそれほど多くない」側の人間である。
羽生名人が結果として突出している世界をまだしばらくは眺めていたいと思う。
「羽生喜治の思考」、「結果を出し続けるために」、「どうして羽生さんだけが、そんなに強いんですか?」である。
最初の2冊は羽生名人自身の著作で、「結果を出し続けるために」は今年の7月の講演をまとめなおしたものとのこと。
「どうして羽生さんだけが、そんなに強いんですか?」の著者は梅田信夫。
まず最初に手に取ったのが、ストレートで目を引くタイトルの「どうして羽生さんだけが、そんなに強いんですか?」だった。
著者によれば、将棋の世界を愛する人達は「羽生さんだけが強いわけじゃない」と心の底からわかっていて、「どうして羽生さんだけが」という問いに「もっと全体の素晴らしさをわかってほしいな」と思う、とのこと。
また、この問いかけは「羽生一人を肯定し、他をばっさりと切り捨てる響きが耳につらい」、「残酷な問い」なのだという。
この本は、「どうして羽生さんだけが」という答えに窮する難問中の難問への糸口として、著者が羽生名人のタイトル戦の現場で観て書いた五つの観戦記と、当事者である棋士達との一対一の対話五編をまとめたものだ。
他の2冊と違って、この本は観戦記とその対局に関する対話集であり実戦譜の手順やその読みが多々披露されているので、将棋のことを良く知らない人にとってとっつきにくいと思われるかもしれないが、さにあらず。
実際私は将棋のことは駒の動かし方を知っている程度の初心者レベルだが、この本は面白いと思った。
(山崎隆之プロとの対話「あれ、むかつきますよ、勝ってんのに」はおかしくて笑ってしまった。)
手順については読み飛ばして頭に局面が描けなくとも、「プロ棋士の世界のすさまじさ」は何となく伝わってくるし、文章から醸し出される棋士の人間性に感銘を受けるのだ。
肝心の問いに対する答えについては明確なものはない(だから難問中の難問なのだろう)が、著者は最後に羽生名人の強さの要素を整理した上で羽生名人だけが突出している要素が何かについて考察している。
そして、人々はこれから先も「どうして羽生さんだけが」と問い続けなければならないかもしれないし、あるいは羽生名人に続く渡辺竜王や久保二冠、広瀬王位など若い世代が次のタイトルを取ることで世界が変わる可能性もあり、そうなれば誰も「どうして羽生さんだけが」と問わなくなると書いている。未来は未知であり、可能性は誰にも開かれている、だから未来は面白い、と。
この本で私の将棋界に対する理解は少し広がったように思う。
竜王戦における渡辺竜王の強さは2年前の羽生名人との激闘で思い知らされた気がするし、他のトップレベルの棋士と羽生名人との差は紙一重であることもこの本で少し分った気がする。
それでもまだ私は「特定の棋士だけを応援している人はそれほど多くない」側の人間である。
羽生名人が結果として突出している世界をまだしばらくは眺めていたいと思う。
森内が一時、名人戦では羽生を上回っていたが、結局、無冠になってしまった。
後に続く世代が、なかなか羽生をトップから落とせない。
順位戦A級リーグにいるだけでも、将棋界はトップということなのだが、羽生は、A級にいるだけでなく、常にタイトルを保持している。7大(5大だったかな)、ともかく、一つを除いて、永世称号を持っている。永世竜王だけがとれていない。
これは、渡辺が死守してるんだね。
竜王は賞金が一番高いから、このタイトルが一番格が高いとも言われる。
読売が、竜王にたくさん賞金を出して、他のタイトルと複数冠になった場合、必ず、竜王を先につけるようにとの注文を出したんだよね。
たとえば、名人と竜王の2冠の場合は、羽生竜王名人とかいうように。
しかし、歴史的にはやっぱり名人なんだな。
その名人位も取られたから、さすがに羽生さんでも、全盛期ではないんだろう。