汗と涙の着物生活 

突如着物に目覚め、ついに着物作成に挑戦。着付けに涙し、とどまらぬ物欲に冷や汗の毎日。

錦秋十月大歌舞伎

2010-10-28 | お出かけ
この日は日本酒の会でのカジュアル感と、観劇におけるシャレ感をどう両立させるかが難題だった。そんなとき、大島は便利。つや感でおしゃれな感じは出せるし、かといってカジュアル感もあるし。

ご一緒した黒猫さんは、新しい黒地の結城紬。帯は茶系の織の帯。結城は良く見ると、黒地に白のグラデーションが入ったうえにドットが散らばっていてすごくしゃれている。
私が着ると、えらく老け込んでしまいそうな渋い組合せなのに、黒猫さんはこういう組合せが本当によくお似合い。うらやましい。



しかし、この日のスケジュール、完全に失敗だった。
日本酒を楽しんだ後に観劇とは、眠くならないわけがない!

しかも、この日していた時計が大幅に遅れてしまっており(成人のお祝いにもらって以来オーバーホールしていない時計だ)、余裕綽々のつもりだったのに大遅刻!!
今回の歌舞伎のメインイベントである「盛綱陣屋」は既に始まっていたのでした。
しかも着席してしばらくしたら、もう意識は朦朧…。

目が覚めると…
う。気持ち悪い。

必死の思いでこらえ舞台に集中するうちに気持ちの悪さは過ぎ去り、となるとまた眠気が襲ってうつらうつら…。せっかくの舞台が~~!と心の中で嘆く者の、体はどうにも言うことをきかない。
それでも、お目当ての仁左衛門丈が舞台に登場すると、目が覚めるから不思議。

こんな状態で観劇していていうのもなんですが、素晴らしい盛綱でしたよ。
過不足なくというのはこういうことなのでしょうか。
オーバーなところもなく、かといってそっけないわけではない。抑制の中にぐっと感じさせるものがある。
そして何より姿の美しさ。ミメカタチをいっているのではないんです。精進した人だけがとれる型。型がわざとらしくなく、自然に思えるほど。

ストーリーだけ聞くと、変な話のこの「盛綱陣屋」。
現代人の感覚だからなのかもしれないが、登場人物の行動に「なぜ?」が10個ぐらいつく。それなのに、「そういうこともあるかもしれない」と納得させられてしまうのが、仁左衛門さんの盛綱。

ああ、それなのに。
客席前方から突然不自然な女性の大声が!
最初は、調子に乗ったファンの大向うかと思ったら怒り声のよう。係員が注意するとますますエスカレートして「こっちは客だよ!」と叫び始めた。

それでも舞台は粛々と進められている。動揺しないあたり、さすがのプロたち。こうなると、さすがの私も酔いがぶっとんだ。遅すぎですが。
ああ、願わくばもう一度最初からちゃんと見たい。

このお騒がせ女性事件だが、ツイッターの情報によると、演舞場では警察まで呼んだのだとか。件の女性は、演舞場の玄関で寝転んでまでいたと聞いたので、その後も大騒ぎだったんだわ。

最近の歌舞伎観劇では、携帯は鳴るわ、撮影している人はいるわ。しかも私の目撃する限り、みんないい年の大人ですよ。このマナーの低下、どうにかならんものか。

二演目目は「神楽諷雲井曲毬(かぐらうたくもいのきょくまり) どんつく」。
このあたりでは、すっかり目が覚めましたよ!

團十郎さんから仁左衛門さんから三津五郎丈、福助丈…と主役級の役者勢ぞろいの舞台。
私は何より、團十郎さんが元気になられてこうして舞台に立っているのを見るだけでうれしい。しかし、不思議な役者さん。だって、けしてうまくないのに、見る方を何とも幸せな気分にしてくれるのだから。舞台上で披露してくれた曲芸は、失敗するんじゃないかとまじではらはらしたけど。
三津五郎丈は、こうした中で群を抜いて踊りがうまい。素人目にもはっきりわかるなあ。
どの役者さんも小さいころから踊りは仕込まれているだろうに、彼の周りは空気が違う気がする。

三番目は「艶容女舞衣(はですがたおんなまいぎぬ) 酒屋」

つやっぽいタイトルから想像するのとは対照的に、おっさんたちが息子のために罪をかぶるだのかぶらないだのという上方の芝居。
芸者にいれあげて感動された息子と、その嫁の二役を福助が演じ、その演じ分けと嫁のときの嘆き場が見どころなんだろうけれど…

なんだか妙に嘆きの場面が長くて、しかも上方芝居によくある笑いの場面なのか、それともシリアスな場面なのか、よくわからなくて反応に困る。世話物だから最後に持ってきたのかもしれないが、一幕目にこれをもってきたほうがよかったのでは?なんともしまらないエンディングになってしまった。

 なんとなくしまりのない気持ちを抱えたまま、東銀座に向かってると野球中継をしているパブが!ジャイアンツファンの黒猫さんと、クライマックスシリーズを観戦したのだった。

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8 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
あらぁ (やっぴー)
2010-10-29 00:55:57
あの騒ぎに遭遇されたんですか (@_@;;
ある意味貴重と言えば貴重だけど
災難でしたねぇ、遭いたくなかったですよねえ。
こっちこそ「金返せ」と言いたくなりますね。
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お疲れさまでした~ (黒猫)
2010-10-29 02:19:11
はつきさんの大島&型染め素敵でした。確かに大島だとカジュアルもちょっとお出かけもありですよね。
大島欲しいよ~!
実は私も先日型染めの帯買いまして、明日届く予定なのです、ふふふ、、。

ところであのオバさんはそういう事だったんですね、、。奇声の主と連れ出されたオバさんは別の人だと思ってました。そうですよね、あんな変った人が二人もいたら大変ですよね、笑


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金返せ (はつき)
2010-10-29 08:44:52
やっぴーさん
あの騒ぎ、やっぱりご存知でしたか。「こっちは客だ!」って確かにそうだけど、そのまま件のおばちゃんに返したかったですよ。
千秋楽では首実験の最中に携帯が鳴ったというし。
なんだか、世の中が変な方向に向かっているのを映しているような気がしてなりません。
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型染め (はつき)
2010-10-29 08:55:52
黒猫さん
どうもお世話になりました。いやいや、早速型染めを。素晴らしい。ぜひ13日にはお披露目を。ちょうど夏に行った「泰三」さんで大島半額セールやっているそうですぜ。
思いのほか、型染の帯の使い勝手が良いので、私ももう一つ欲しいところなんですが、夏に見た作家さんたちのが忘れられず、それと比較しちゃうとどうも踏み切れません。迷いなく買えたころが懐かしい…。
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罠? (黒猫)
2010-10-29 09:38:53
>大島半額セール
ぎゃーー!!ヤバいっす~。あ~でも今、羽織・コート類が凄く欲しいんすよね、、、。

>首実験の最中に携帯が鳴った
そいつの首を刎ねたい!想像しただけで怒りがこみあげてきます!

おっしゃる通り意外と年配の方のマナーが悪いですよね。夏にホタルを見に行った時も「ホタルの交尾に影響するので携帯などの光は絶対禁止」と何度も注意されているのに、年配の女性が携帯を開いていて、夫が注意しても閉じようとしないんです。悪いという自覚が無い。困ったものです。
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うわぁ・・・ (神奈川絵美)
2010-10-29 16:17:26
こんにちは! 私、実は別の着物トモダチのブログでこの騒ぎの一部始終、読んでいました。
なんかもう、背すじが凍るを通り越してますよね…。

それにしても、観劇→さらに野球パブとはタフだわぁ。いろんな意味で、中身の濃い一日を過ごされましたね。
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日本人の良さ (はつき)
2010-10-30 13:09:24
黒猫さん

コートも大事だけど、大島もね(^^)!
って、そういえば私も羽織がほしい気がして気がしてきました。

日本人の素晴らしさは、人に対する思いやりがしぐさに表れているところにあると思っていたんですが、最近のこうした事件を見ていると、どうもそれがあぶないですね。ホタルを愛でるような風流な人なのに、どうして注意されても改めないんでしょう?自分さえよければという気持ちなんでしょうかねえ…。ふう。
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タフな一日でした (はつき)
2010-10-30 13:12:28
絵美さん

やっぱりこの事件、いろいろなところで話題になっているんですね。変な規制をされるのは本意ではないですが、あんまりマナーの低下や変なことがあると、劇場側も対策を取らざるを得なくなってしまうんでしょうか。そうならないことを祈っています。

振り返るとこの日、私は朝5時半に起きてゴルフの打ちっぱなしにも行っていたのでした。道理で眠かったわけだ…。最近、体力への挑戦にもほどがあると反省してます。(根が貧乏性なもんで)
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