浅草着物工房〜雷門にある和裁教室です〜

浅草着物工房の和裁教室の様子です

お裁縫箱を誂えました!

2022-10-25 10:08:12 | 和裁道具
用と美の裁縫道具
~桐のお裁縫箱~
浅草着物工房と箱長さんのコラボのお裁縫箱を作りました!

桐に「木目込み」を施してこのようなぬくもりのある可愛らしい桐箱です。


和裁教室では会社帰りにお稽古に通う方が多いので、軽くてコンパクトな桐の素材がぴったりです。持ち運ぶ事を念頭に置いた裁縫箱ですので、時代焼きという加工は傷や汚れが目立ちにくく携帯するお道具箱としても最適です。♪

■□ 携帯性のある道具箱の大きさ

今回のお裁縫箱はフルオーダーですので厚さも指定して薄く仕上げていただいています。とても軽いです♪
また携帯も出来る大きさを考えた時に、裁ち鋏など大きい刃物は一緒に入れない方が針道具は収まりが良いです。
5寸定規が斜めに入る大きさにしてあります。

■□ 裁縫箱の機能性は箱の深さにあります
お道具箱は深さのある箱+かぶせ蓋に限る!と思います。というのは、お稽古に必要な糸の種類(しつけ糸・木綿糸・絹糸など)が増えて行くうちに箱の高さが薄かったり二段式だったりすると一つの箱で収まり切れなくなります。なによりも針山に待ち針を刺した状態で収納することも多く、そういった場合は箱に高さが必要です。この全体を覆うようなかぶせ蓋ですとそういう点で融通が利きます。また、お裁縫の際には布端や糸くずやらの細々したゴミが出ます。裁縫箱のふたを裏返しにして糸くず入れにして作業すれば身の回りも整頓した状態で針仕事がはかどります♪

こちらの裁縫箱に合ったお道具袋を手ぬぐい一枚で作ってみました♪

袋の持ち手の片方だけに紐を付けて巻きつけて紐先を挟み込めば平らな状態でストンと鞄に入れて持ち運びが出来ます。
浅草橋の玩具問屋さんの手ぬぐいにお祭り用のピンクの豆絞りを裏地に付け、あづま袋にまちを作って袷仕立てにしました。

以上、お裁縫箱のご紹介でした。
こちらの商品は浅草着物工房からの注文になり、直接箱長さんからは購入できませんのでご了承ください。
今回のお裁縫箱は和裁教室に通う生徒さんの為に企画しました。お道具をこうやって吟味したものにしてみるとお針の時間や空間が豊かな気持ちで楽しめます。もし針仕事がとってもお好きだったり、他のお教室で和裁を習っていたりされている方でもこちらの針箱が欲しいと言う方がいましたら、浅草着物工房から注文が可能です。一つ一つの手作りになっておりますので、だいたい2~3週間程いただければお作りすることが出来ます。

◆8.000円(税別)
鈴・蝶・瓢・折鶴
◆12.000円(税別)
扇・梅・ほおづき・菊・秋桜・紅葉・蜻蛉・桔梗・手毬・桜・椿・熨斗
◆14.000円(税別)
狛犬・藤・うさぎ・すずめ1羽
◆16.000円(税別)
蓮・まゆ玉人形・カマキリ・すずめ2羽
◆20.000円(税別)
猫など、フルオーダーのもの
◆38.500円(税別)
針箪笥(持ち手なし)。柄は基本柄(鈴・蝶・瓢・折鶴・扇)から選べます。その他の柄を指定する場合は追加料金がかかります。納期は一ヶ月頂きます。
◆48.500円(税別)
針箪笥(持ち手あり)。柄は基本柄(鈴・蝶・瓢・折鶴・扇)から選べます。その他の柄を指定する場合は追加料金がかかります。納期は一ヶ月頂きます。

ご注文はこちらから

浴衣の似合う撮影場所!2013年の浴衣!

2017-09-29 10:04:00 | 浴衣講座2013年
今更ですが、秀悦な撮影会だった2013年の浴衣撮影会をアップするのを忘れておりました!!皆さんの個性が溢れていて、撮影場所もバラエティーに富んだ年でした。どうぞ楽しんでみてください。

房総のむらに行ってきました!
千葉県の房総のむらに、時代劇の撮影でも使われる江戸の街並みが再現されていました!



綿麻に船の帯です

お色直しをして(笑)雪花にレモン色の博多です

観光客が私たちの撮影風景を、記念に撮影していました(笑


浅草に戻り、下谷の小野照神社にて

この手の浴衣は難しい(おばさんっぽくなりそう)ですが、こんな風に着こなせるのは彼女の雰囲気でしょうか♪
入谷朝顔市!


浅草→吾妻橋にて
真っ赤な暖簾はとっても素敵でした!

万寿菊、定番ですが、人を選ばず、何度見ても飽きない柄です。


雷門にて
雪輪の古典柄、大人っぽいですね。

観光客に大人気!

日本美人として各国で紹介されている事でしょう。

浅草の夕涼みには大人浴衣です













マックで休憩♪

ほおずき市にて
ほおずき市で赤ら顔のおじさんが必死に値引いてくれています。

浴衣の二人を、おじいちゃんカメラマンが囲みます(爆)


お教室でオーダーした緑の雪花絞りです♪雪花は夕涼みにピッタリ!

竺仙さんの絽の萩です。う~ん清楚。




ほおずき柄の綿紅梅です。

太鼓館で雨宿り♪

かわいらしいですね。

パッションピンクの雪花絞りの浴衣のあまり布で浴衣バックを製作中。

完成でーす!ここは墨田区の立花商店街

バックが同じ柄なので目立ちません(汗)意外と浴衣でなくても、洋服にも可愛いですよね。


上野の蓮池もまた綺麗です


上野の国立博物館前です







上野スタバ前です

なんと横浜に来てしまいました!


港に雪花は似合いますね




赤レンガを背景に




ディズニーシーに来ました!

痛々しいショットです(苦笑)


アメリカンウォーターフロントにて

アラビアンコーストにて

こんなに喜んでくれて何よりです(笑)

浴衣のあまり布で浴衣バックを作りました★

ディズニーシーでデビューのバック

満足げです(o^―^o)


ディズニーシーのヴェニスにて

マーメイドラグーンの入口にて





2014年夏!浴衣や夏着物を縫い上げました!

2017-05-22 19:24:46 | 浴衣講座2014年
2014年の浴衣撮影会の続きです♪♪


紬地に萩の葉です。塗り下駄に鼻緒も誂えました♪

黒の紗帯が大人っぽく艶っぽい♪

浴衣ですが、半衿を付けて普段着風に着こなせます。

小千谷縮です

よく見ると縦の細縞があり大人っぽいです。小千谷はシボと張りのある独特の生地なのでいつもよりもふっくらと大きくうつります。それが船の帆のように”風をはらむ”ので、肌にベッタリと付かない生地の特徴なので、着ている人は涼しいのです♪

苧麻の名古屋帯は夏らしくて美しいですね~♪



とても爽やかな薄緑色の夏着物です。微塵格子の綿麻です。あっさりした着物にボーダーの半衿と帯揚げが個性的ですね★

アンティークの鮮やかな夏帯も大胆で素敵です♪なによりも彼女がもっている雰囲気とマッチしていますよね!


今度は白地に撫子柄の古典的な浴衣です♪

この撫子の飛び柄に明るいピンクの苧麻織の帯を合わせています。夏ならでは色使いですね ♪ 白紺の浴衣は飽きの来ない不思議な魅力でいっぱいです!


こちらは絽の夏着物です。長襦袢に紗の名古屋帯を合わせて上品で可愛い小紋になりました。

お仕立ての方も彼女は丁寧なので、スッキリした仕立てになっています。真っ直ぐに運針ができていることという基礎が、最終的に全体の仕上がりに影響します♪


千鳥柄の本藍染の綿縮の浴衣です。これぞ、江戸時代から伝わる染色技法の東京本染め浴衣です♪
彼女はお友達にも縫ってあげ、そして自分にも縫い・・と毎年誰かのと自分のを縫い上げるツワモノです♪ところで着物美人な彼女が持っているものは、虫コナーズです(笑)デング熱の出た場所での撮影はハラハラドキドキでした★


白地にあざみ柄の浴衣です。

この浴衣はなんとも言えない女らしさ漂うデザインで、反物の時から彼女に似合うと誰もが一押しの浴衣でした♪♪着てみたら更に想像以上に素敵でした♪


明るい青地に百合柄の浴衣です。

苧麻のピンク帯を組み合わせて白い玉かんざしを刺してみました♪ たまに白抜きしてある百合が目を引きますね♪


こちらは鮮やかな水色地に牡丹の浴衣です。紗のクリーム地の帯が上品です♪この様な牡丹柄は艶やかで浴衣ならではの大胆さが人気なのですが、彼女の様な背の高さがあると更に見栄えがしますね。背の高さは十分に魅力ですので生かして下さいね♪


こちらは白地に菖蒲柄です。菖蒲に赤の差し色がとっても色っぽくて墨絵のような濃淡が素敵な浴衣です。始めて縫った割にはとっても丁寧に仕立て上がっていました、一枚目の浴衣は記念になります★


こちらの浴衣はとっても大胆な瓢柄です!男性も女性もいける柄ですが、彼女の様にスッキリ着こなしてくれると更に粋ですね!竺仙さんの社長さんが直々に彼女に似合と言って選んでくれたという事もあり、記念の初縫いの浴衣になりました!!


絹紅梅という生地をご存知ですか?カゲロウの羽の様に薄くて透け感のある夏の高級着物です♪家族の浴衣を何枚も縫ってきたので腕も上がった頃に自分の着物を縫うのはオススメですね(笑)。紗の帯と合わせて、とてもお上品な上級者の着こなしです♪♪


竺仙さんの綿紅梅です。広衿仕立てで単衣着物のお仕立てをしております。彼女を知る多くの人たちはカメラを向けたときの彼女のモデル立ちに驚きです(笑)ぐんぐんと腕を上げて着こなしも素敵です♪


鮮やかな青のコーマ地に”柳に燕”柄の浴衣です♪ くるりと結ばれる柳の枝の間を飛ぶ燕の柄は江戸時代から好まれてきた夏のデザインです。絵画的ですよね♪ 反物の状態の時から完成した時のイメージを描きながら柄合わせをしましたが、実際に着てみて写真を撮ってみると客観的に確認することが出来ます。撮影会は一から作り上げた私達にとって楽しみでもあり、より浴衣の奥深さを知る機会になります♪


薄ピンクの小千谷縮と名古屋帯を仕立てました♪ 桜の花びらのような淡い薄桜色に、ミントグリーンとピンクの格子の紗の名古屋帯を合わせました♪小千谷縮は麻のシボが肌に当たる面積を少なくさせているので、風を通し着心地はとても涼しいです♪やはり夏着物となると浴衣と違った風情がありますね!


正統派な紺地の浴衣です。すすきや桔梗などの秋草柄はまさしく大人可愛いデザインですよね。帯によって雰囲気を替えていくらでも楽しめる一枚になりますが、こちらの縞の博多帯の組み合わせは夏らしさが引き立ちますね。彼女の持っているバックも紅型の手ぬぐいから作ったお手製のものです♪

皆さんのスナップショット集です💛
















そして2014年のお遊びは・・・タイムズ紙の表紙!!



ちゃっかり"2014年の話題の人"と言うキャッチコピーで、こんな遊びを喜んでくれるのは大抵、親だけです(笑)

そして浴衣会!
徐々に肉の会になりつつあると言う噂がありますが、バスに揺られ・・・


やっぱりお肉を食べに来ちゃいました♡

みんなが作った浴衣を着て、勢揃いして楽しむお食事会は充実した夏の締めくくりを感じます。今年はゴージャスなうかい八王子亭でリッチなランチと、念願の絹の道資料館などをバスツアーしました♪ お店の人も親切にして下さり、着物や帯の景品も盛り沢山!皆さんお疲れ様です♪





2014年浴衣が完成しました!

2017-05-12 15:06:41 | 浴衣講座2014年
浴衣の反物を選び。自分や人に似合う反物を探し布を当てているこの時間がなんとも楽しい時間です♪そして裁断して柄合わせをし、縫うまでが一つの山場です!

お隣さんの反物をチラチラ見つつ、来年の計画を立てている欲張り女子達です。

広衿のフォックを付けたら・・・もう完成です!


そして自分の浴衣に似合う帯を探す!!

テンション上がりまくります!

ヘアメイクを終え、着付けの準備ができました~!!


そしてついに浴衣が完成しました~!

ばぶぅう~~~!!

小さな可愛い兄弟がお揃いの反物で、浴衣と甚平を着ています!

もちろんお母さんが作りました。働きながら子育てしながら縫い上げたお母さんの気力と愛情に頭が下がります♪

それにしても白地に千鳥柄のお揃いはなんて愛らしいんでしょうか♪


実はこの反物は竺仙さんの女物の反物でした。流水に千鳥の反物を、子供が着るとまた違ったものになってとても可愛いくなりますね。

見る人が見れば、一丁前にイイモノ着せてもらっている感じですよね(笑)
結婚する前は自分の浴衣、そして旦那さんの浴衣も作りました♪

ですので一家揃って、彼女の手作りです。素敵な夏の思い出です。

宝相華という柄の大胆な柄です。

このような個性的な大柄も爽やかに着こなせるのってオシャレですね。


絽の白地に笹舟柄の浴衣です。

この笹舟の三角形が遠目でみるとモダンな幾何学模様にみえて素敵です。

笹舟に笹色の帯をしめて珊瑚色のタッセル根付でポイントを入れました♪

撮影会の後はアイスクリームと精養軒でビールで一杯です♪


こちらも白地に秋草の古典柄ですが

型彫の民芸的な雰囲気が彼女に可愛らしく映えますね!ちなみに箱長さんの鈴の下駄を履いております♪♪上から下まで江戸好みですね!

やはり皆さん自分が似合う柄、自分の良さを引き立たせる浴衣を選ぶものですね!

また帯もこの浴衣の雰囲気を柔らかくまとめる素敵な組み合わせです♪


こちらは始めて作った浴衣です!

紅型の浴衣がとてもよく似合っています♪全体の流水文様が印象的ですね。

また麻の帯に白の帯締めが大人っぽくまとめています♪


白地に小さな内輪柄の浴衣です♪ こう言う小紋柄は浅草ではよく見かけますね

大胆な縞の帯でキリっと着こなしています♪ 着姿がとっても綺麗です♪

雪花絞りを仕立てました。

こちらの上前と後ろ姿の柄合わせもバッチリです。

同じ雪花でも模様の形や大きさや配列で、だいぶ雰囲気が変わるところが絞りの面白さですね。そしていずれも雪花の大胆な青色は目をひきます


こちらは雪花絞りの一つ”麻の葉”になります。この柄は男性も女性もいけますが、元々このインパクトのある麻の葉文様は江戸時代の歌舞伎役者が着た事で人気を博した柄だそうです♪

彼女がせっせと縫い上げた、記念の一枚です!

カップルで浴衣を誂える時、同じ柄ではなく、同じ染色技法でそれぞれに似合う柄を選ぶと言うのは乙なものですね♪ 20代の頃にこんな風に記念になる楽しみ方が出来るってなかなか無いですよね!新婚カップルの夏の記念になりました。


白地に茄子柄の浴衣です!とっても可愛い小紋が彼女のキュートな雰囲気に合ってました!

またラズベリー色の博多帯と素足に下駄が瑞々しかったです。若い子ほどに古典&正統派浴衣を着て欲しいなと思う瞬間です♪


とても乙女なバラ柄の藍染です!カラフル縞のモダンな博多帯でオシャレですね♪ 太陽の下で見る藍染の青は、深くて鮮やかな色でどんな青よりも目を引きます!

そしてこの染め方が江戸時代から続く”東京染め”と呼ばれていた長板中形の本藍染の浴衣です♪ 今は東京で僅かな職人さんがこの伝統的な染め方で浴衣を染めています。


白地に絣(トンボ柄)の浴衣です。

とても大人っぽいですが、花織の帯との組み合わせが素敵ですよね。この反物は大柄のトンボの柄合わせが案外難しかったです♪


反目し合っている場面ではありません。
★おまけ★
撮影時に目に付いた向こうのカップルと一緒に撮影です(笑

いい大人がはしゃぐ(笑)

一通りできると満足です(笑)

そしてなんだかんだ、のど乾いたので休憩です(笑)


後半に続きます~!!



多色使いの浴衣

2014-07-02 16:51:26 | 浴衣講座2011年
■■注染~関西の職人が生み出し、関東の職人達が洗練させる~

関東の浴衣といえば、白紺のシンプルな色使いが今も昔も人気ですが、多色染めの浴衣と言うのは昔からなかったわけではありません。そのような多色使いの浴衣は主に関西の方では多く染められていました。ところが最近は浴衣が洋服のアパレルメーカーでも販売されるようになり、カラフルな浴衣が着られる様になりました。そして俄に老舗の浴衣メーカーさんも多色染めを多く染めるようになってきたように思います。多様化する時代の好みや地域性に対応できる”注染”という染色技術をご紹介したいと思います♪

■明治後期までの浴衣の主流は東京本染め浴衣
今、多くの浴衣は”注染(ちゅうせん)”という染め方をしている浴衣が主流となっています。それまでは東京本染めと言って、一枚一枚に型を置いて糊を使った藍染めが主流でした。(こちらの長板染めの工場見学を参照

 
”東京本染め”は江戸時代から続いている染色方法 / 歌川広重:藍染の職人や染物商たちが集まった「神田紺屋町」

■大正時代から大阪発の染色技術が主流になる
この東京染めに対抗して、大阪で開発された注染は”色鮮やかな多色染めができる”、しかも”大柄も細かい柄も可能”で、”6反分の浴衣を同時に染める事ができる”という生産数も一気にあげる事のできる点でもとても画期的な染色技術でした!そうして今でも夏物衣料はこのとても堅牢な染色方法で染められているのです!!
こう言う発明をするところが大阪人の柔軟さと底力だなぁと感心します。そしてもっと感心するのは、この注染の技術を大阪の職人たちは東京をはじめ全国各地に技術指導者として赴き、大正初期までに全国に広めた事にあります。そしてほとんどの注染機械は関東に売り払ったと言います。私は注染組合の方に「どうしてそんなに素晴らしい技術を関東に譲ったのですか?」と聞くと、「散々売れたし、もう十分全国に広まったから満足したんやないかな」とアッサリ言っていました(笑)


2010年に都内の注染工場に見学させてもらったときの様子です。ここから繊細な色柄の反物が生まれるなんて想像できますか?多色使いを絶妙な色調で染め上げる熟練した職人さんは、古くから取引をしてきたメーカーさんとツーカーの仲という感じでした。

■注染の反物に裏表が無い理由 ~柄合わせのメリットとなる~
注染の具体的な技法は、布の上に染料を注いで着色する技法です。折りたたまれた布地の染色する部分に防染糊で「土手」をつくり、その土手の中に染料を注ぎ込みます。注ぎ込まれた染料は布の下に配置された真空ポンプで吸い出されます。注ぎ込む染料の量と真空ポンプの操作により、染料の浸透度が決まります。また、染料が布地を通過するので、布地の表裏両面に染まるのが特長となります。ですので注染には表裏が無いのです!これはお仕立てをする際には、柄合わせの幅を広げるのでメリットになることが多いです!

■注染の三種類の染め方
そのほか、注染技法には大きく分けると三種類あり、一色染め、差分染、細川染というものがあります。

白と何かの色の「一色染め」
 
色ごとに染め分ける「差分け染め」
 
数枚の型紙を用いて差分け染めをくり返して繊細な模様を染める「細川染め」
 
抜染した上に新しい色を乗せて染められるのはこの染め方です。

■平成の紺屋町の風景
乾燥(立干し)をします。人が登って反物をかけています。これの風景は、注染であっても神田紺屋町の浮世絵と変わりませんね。
 

■商品に近づく最終工程です
仕上げ(整理)をします。あの長い13mの反物を長さを整えながら検品しています。染めムラ、染め落としなどをチェックしながら布を綺麗に整えています。


■そして私たちの元に!!
こうした過程を経て、きちんと反物となって私たちの手元に届きます!


■改めて反物の金額について考える
浴衣の反物が高い!と思ったとき、木綿生地~染めに至るまで、全てが分業化された流れ作業の中で色んな技術者の手を渡って来る工程を知ると高いとは思わなくなりませんか?注染は大阪・浜松でも染められていますが、大正時代から関東で発展し続けたこの染色技術はレベルが高いと言われています。と言うのは、6反(三疋)の反物を染める事ができる効率的な染め台に、敢えて二反(一疋)しか染めないという制限をかけているからです。あのバブルの時代でさえ、量産に呑まれずに二反づつを染めてクオリティを守ってきたのが東京の職人達なのです!

以下はお教室で縫った”多色染め”の浴衣です♪
フィガロジャポンのFにヘラを刺してみました(笑)











以上、美しいケモノ達でした(笑)