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人が減れば当然、住宅の需要も減っていく。
事実、1970年代には185万戸もあった新設住宅着工戸数は、2017年度には94.6万戸にまで縮小している。
もちろん、この「逆風」の中でも、大手は新たな事業の柱などをつくり出して成長を続けている。
例えば、大和ハウスは新設住宅着工戸数が鈍ってきたことを受け、商業施設や物流施設など事業建設に力を入れはじめ、2005年には売上高の28.6%だった事業建設は、現在は38.4%まで増加。
競合を大きく引き離した3兆7956億円の売り上げを叩き出している。(大和ハウスグループ「統合報告書2018」より)
ただ、人口減少という大逆風の中で、これだけ右肩上がりの成長を実現するというのは普通に考えれば、かなりの無茶ぶりである。
「チャレンジ」という名目で、現場に利益のかさ上げを要求した東芝を例に出すまでもなく、無茶な目標設定はモラルハザードを招く。
今回の「4000棟の不適合建築」問題も、その可能性は否めないのだ。
そのような意味では、この業界でさまざまな問題が噴出していることも、「人口減少」という不治の病を無理やり何とかしようと試みた結果の、強烈な副作用とみてもいいのではないだろうか。
そこに加えて、この副作用をさらに重篤化させているのが、この世界に蔓延している「体育会のノリ」だと思っている。
賃貸住宅建設業界にお勤めの方ならばよくわかると思うが、この世界はかなり体育会で、罵声が飛び交うのは当然で、とにかく靴底減らして仕事を取ってこいみたいな
カルチャーが現在まで続いている。
次回に続きます
例えば、有名なのは大東建託の「飛び込み営業」だ。「大東建託現役社員が指摘『ひたすら飛び込む』営業戦略の弱点」には、そのあまりのハードな体育会のノリから、営業マンが「辛いなあ。死んだ方がマシかなあ」と悲痛な声を上げていることが紹介されている。