投資家の目線

投資家の目線797(次期戦闘機が行政事業レビュー対象に)

 防衛省の次期戦闘機調達が行政事業レビューの対象になる(『秋の行政事業レビューの対象判明 「次期戦闘機」「教育オンライン化」も』2020.11.4 SankeiBiz)。行政事業レビューとは、「各府省自らが、全ての事業を対象に執行実態を明らかにした上で、チェックの過程を公開しつつ、外部の視点を活用しながら点検を行い、結果を予算(概算要求や執行)に反映させる取組」(行政事業レビューとは - 内閣官房)である。対潜哨戒機P3C導入に絡むロッキード事件といい、軍用機導入に関しては政治資金問題化することが多い。

 次期戦闘機導入に関しては、第一次F-X導入についても疑惑があった。航空ファン2020年11月号には、『グラマン・ダグラス事件を追及していた当時の『朝日ジャーナル』は1979(昭和54)年1月26日号で、20年のときを遡るグラマン問題について「一説によると」と前置きしつつも、F11F-1Fに内定した翌月の1958年5月の解散総選挙の資金として、グラマンが1機につき1000万円、300機のライセンス生産で30億円がときの岸政権に渡される予定だった、としている。疑惑の追及は国会に持ち込まれた末、当時の河野一郎自民党総務会長と岸氏の間に内定の白紙還元とこの問題を内閣への攻撃に使わない密約が交わされたとも、朝日ジャーナルは残している。一方、岸信介回顧録(昭和58年)は「専門家により純粋に技術的見地から決定された」と残しており‥・』(「空自F-X歴代関係者の声から考察するF-2後継機問題」 第7回 導入、その惑わされやすきもの~歴史となったグラマン問題から何を得る~ 相良静造 航空ファン 2020/11)と書かれていた。

 岸信介氏と河野一郎氏といえば、「田中清玄自伝」(インタビュー大須賀瑞夫 文藝春秋 p221、222)にインドネシアに関して、「このスカルノと組んで利権を漁っていたのが、岸信介、河野一郎、児玉誉士夫といった連中だった。彼らはスカルノが容共であろうが、そうでなかろうが、当座の利益さえ漁ればよかったんです」と出てくる人物である。特に岸信介氏は、E-2C早期警戒機導入に絡むダグラス・グラマン事件にも名前が登場するし(『毎日フォーラム・牧太郎の令和をちょっぴり古風に!:中曽根時代を思い出させる「文春砲」政局?』 2020/2/10 毎日新聞)、「権力と陰謀―元KCIA部長金炯旭の手記」(金炯旭著 合同出版 1980年 p306)には不正のあったソウル地下鉄などの日韓経済協力で、金氏が日本側で朴正熙大統領を説得できる唯一の人物として挙げている。岸氏は『「政治資金は濾過器を通せばきれいになる」と語っていた』(2009/3/20 田中良紹の「国会探検」 政治とカネの本当の話(3))人物でもある。

 今日でも「政治とカネ」の問題は起こっている。今年6月には、新型コロナ対策における持続化給付金の再委託が中抜きではないかと問題視された。

 また同じころ、迎撃ミサイルのブースターの落下地点という技術的問題から地上配備型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」の導入計画が停止された(『地上イージス計画停止 防衛相「費用・期間合理的でない」』 2020/6/15 日本経済新聞WEB版)。イージス・アショアの導入を決めた安倍晋三首相(当時)は岸信介氏の孫で、配備断念という後始末をした河野太郎防衛相(当時)は河野一郎氏の孫である。

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