最期のボランティア、献体について考えます

登録者総数25万人。なぜ献体なのでしょうか?

希望がかなうとは限りません

2013-05-04 14:04:04 | 日記
新宿にある「篤志解剖全国連合会」の事務局を訪ねました。

都庁近くのマンションの1室。
この事務所には全国から献体登録についての問い合わせや相談が寄せられます。
登録の方法を尋ねる方、「子供には秘密で登録したい」と話される方、涙ながらにご自身の境遇を語る方など様々です。

電話、メール、手紙での問い合わせや、直接事務局に相談に来られる方などを合わせると、
年間で延べ2300余件(平成23年度)。
全国の医科大学(医学部)80校、歯科大学(歯学部)29校や、それぞれの篤志家団体(献体の会)に
直接問い合わせる方を含めると、数はもっと多くなるはずです。


事務局におじゃましている間に、横浜在住の方からの問い合わせがありました。
担当者が丁寧にゆっくりと説明します。

「神奈川県ですと、献体希望者が多く、現在受付を止めたり、お住まいの地域を限定したりしているところが多いんですね。
横浜にお住まいでしたら・・・」と、
県内の歯科大学や、神奈川在住の方の登録も受け付けている東京の歯科大学や大学歯学部の3校をご紹介。

「大学によって、一年間に登録を受け付ける定員や年齢制限がありますので、直接お問い合わせください。」と、
大学の住所と献体受付の電話番号をご案内していました。

神奈川県の場合、県内に医科大学、歯科大学など合わせて5校ありますが、そのうち2校が、充足しているとして、
受付を止めています。
残る3校も居住地域を絞っての受付です。

 
私の住む東京の場合を見てみました。

まず、都内14校のうち7校は現在受付を止めています。
残り7校のうち4校は「比較的希望者が多く、ほかの大学をご希望いただければ幸いです」の案内があります。

そこを除いて残りの3校は・・・?というと、
23区以外の東京在住者のみ対象という大学医学部。
60歳以上と制限している歯科大学。 
これは、私の場合いずれも不可。
残りの一つ、大学歯学部は制限なし。

そして、千葉県の歯科大学で東京在住者でも受付可能のところが2校ありましたが、1校は65歳以上が対象です。

つまり、私の年齢や住まいなどを加味すると、現時点で手続きを取ることができそうなのは2校でした。
これも、実際に問い合せてみなければわかりませんが・・・。


現在、何らかの形で献体登録の受付を制限している大学は全体の7割。
居住地域や年齢の制限の他に、4月1日から受付を始めて、定員に達したら打ち切りというところもあります。

「自分の体を役立てたい」という希望を成就するにも順番待ちやタイミングが必要なんですね。


医科大学(医学部)に比べて、歯学大学(歯学部)には、比較的、受付に余裕がある大学があるのも事実。
なぜか・・・

事務局には、
 「せっかく献体するので、全身を役立ててもらえる医学部に」という声、
あるいは、
 「歯学部で、なぜ全身解剖をするのか」という質問も寄せられます。

事務局では、歯学部生も全身解剖を行うことを丁寧に説明します。

「例えば、町の耳鼻科や眼科の先生たちも、医学部で全身解剖をして勉強されました。
同じように、未来の歯医者さんも全身解剖の実習が必要なのです・・・と説明すると、たいていの方は納得されますよ。」
と、担当者。
それでも「やっぱり医学部に献体したい。」という方もいて、多少の偏りが生じてしまいます。

 
国内にある献体篤志家団体は61。登録者の総数は25万3600人強。(平成24年3月31日現在)
毎年3000人を超える方々のご遺体が、医学・歯学教育の解剖実習に生かされています。
そのうちの96%が、献体登録者による最期のボランティアによって支えられています。

 
実際に献体登録をされている方々は、どのような思いでご自身の最期を決められたのでしょうか。

次回は、登録された方々のお話をご紹介したいと考えています。


 
今回参考にした資料 『篤志献体』第55号 (篤志解剖全国連合会)
 

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