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アイウォナイット

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高木という 青年

2005-08-11 02:12:39 | 
高木 震えているのか

軍曹殿は怖くないのでありますか

泥だらけの顔
澄んだ目

高木という青年が
ちいさく言った


生き残ったのは
どうゆうわけか
オレとお前だけだ

もうじき
また攻めてくる........
俺達二人では
たぶん10分も持たないだろう

死ぬと分かっていて
怖いも何もない

自分も怖くないであります
軍曹殿をお守りします

そうか
たのもしいな

ですが
自分は自信がないであります

なにがだ

自分は人を殺すことに
まだ抵抗があります

自信がないであります


そんな事に自信を持つな
いざとなった
人間はそれくらいの事は抵抗無く
しでかすものだ



一瞬あたりがひんやり
静まり返った

かすかな気配
感じてはならない
何かが忍び寄る



高木もっと頭を低くしろ


軍曹が高木の頭を押しつけた


静寂はその時を待っていた

静けさは破られた


一発の銃弾の音


たった一発の銃弾



高木に寄りかかるように
軍曹は崩れ落ちた

静かに

そして
高木を見つめたまま
無言の息を引き取った


高木は軍曹を抱きかかえ
何が起きたのか理解できない


軍曹殿ーー!
軍曹殿ーーーー!

頭部が血に染まり
高木の手が血にまみれ出した

高木の見ている前で
銃弾が軍曹の こめかみを貫いていた


高木は声を絞り出し
叫んだ
敵が攻めてくる
直前の戦場で


軍曹殿!
軍曹殿!

軍 曹   どの.....

高木を
一人ぽっちに
しないでください

高木を.......

まだ
暖かい軍曹殿を
強く抱きしめた

死んだ人間の感触に
驚き
高木の目には
やっと涙があふれてきた



高木は
軍曹殿を..

お守りする事が
できませんでした

敵を倒すどころか
こうして
軍曹殿を......

守る事さえ
できなかった



涙が邪魔して言葉が出てこない

高木の手に
ポタポタと涙が落ちる

軍曹の流れ出る赤い血
高木の無念の涙が
いり混じる

何も洗い流すことができない
無念の涙
そして
涙が全身を刺す



高木に
軍曹の

言葉が

渋い笑顔が

蘇った


高木
いざとなれば
やるか やられるかだ
それが戦争の陰惨なとこだよ

ところで
お前の国はどこだ

北国であります
軍曹殿

北国でありますか
面白い答えだな
ご両親はどうしてる

母一人 子一人であります

じゃ
どうしても生きて帰らなければ
母親を一人にするな

自分は生きて帰れるんでありますか

オレにもわからない
自分で生き抜くしかない
生き抜くんだ
高木

高木
この戦争の意味を知ってるか

よくわからないであります

分かったとこで
何も変わらないが
少なくとも
オレ達は互いに理解しあえる
この残されたわずかな時間の中で

俺がなぜこんな命令を出したか
高木
分かるか


軍曹は高木の肩を強くつかんで
言った


軍曹殿
心配しないでください
高木は
軍曹殿に
どこまでも
ついていくであります


高木

戦争に
そもそも
大義なんか無い
その中で
ただ死んでいくんだ
オレは
おまえに
何一つ
説明できないんだ


軍曹殿は戦争が嫌いなんでありますか


好きも嫌いも無いさ
大勢の命が無駄に失われていくんだ

好きも嫌いもあるか


失礼いたしました

高木は
軍曹殿を信じて
どこまでもついていくであります

ど こ ま で も


また大粒の涙が
高木の目から
こぼれ落ちた

無念というより
寂しかった

軍曹殿
高木は
高木は
戦争が嫌いでありました

いまこうして
軍曹殿を見て
高木は

ただ死んでいくという意味が

むなしいというより

無念であります.....
さみしい......のであります

軍曹殿


高木は
すぐに立ち直ります
大丈夫です
心配しないでください

生き残って見せます



軍曹殿
安らかにお眠りください

高木は
ぜったい
生きて帰ります

高木は
すでに冷たくなり始めた
軍曹を抱きかかえ
何を思ったのか
敵の銃弾から守るように
くぼ地に引き込んだ


静寂が
再び
あたりを覆い

非情な
気配が忍び寄る


高木が
涙を袖口で拭いた

そのとき

からだに
電流が  はしった

なんであるか
今度は
一瞬で
高木は
理解した


一発の銃声の意味


折り重なった
二人の男

軍曹と
高木

戦争の意味を理解しないまま

いや
戦争をむなしいと感じたまま





暗い暗い
森の中を
二人の男が歩いている


軍曹殿
ココはやけに暗いであります

高木
まだ
わからないのか....

俺達は.........  もう....



声が小さく響きながら
闇の空間へ
消えてゆく

高木という
誰も知らない
青年の青春


ただ今 減量中

2005-07-31 02:42:52 | 
心配
いらないよ

そんなに食べてない

ファットボーイ
と呼ばれたくないから

ライフスタイル
いたって
好調さ

アイスクリームもやめた
小さいサイズ一つだけ

ピザも一かけら

マッシュルームは
どうだろう

ライフスタイル
チエンジだ

いたって
順調
いまのとこ

心配要らないって

お腹がすいて
目が回って
ふらふらしたって

いつもスマイルだ

ペットボトルの
飲み物
缶コヒー

彼らとは
絶縁したんだ

いまや一人ぼっちさ



美味そうに飲むなあ

目を空に向け
気分チェンジ

心配要らないって
へたり込んでない

ただ
ちょっと


どうして
そんなに
美味しそうなんだ

思いやりってものが
ないの
まったく

君のこと
嫌いになる

ある 猿社会の テーマ

2005-07-29 02:46:48 | 
最近ある猿社会で

次なるテーマが
危機感を持って話し合われました

招待された私は
哲学的命題として
受け止め
ここに紹介します

テーマ1

善か悪かとして
すべてを二極化する思考は
改めなければならない

テーマ2

金銭的富と人間性との混同は
社会を混乱させ
特に若者の夢を砕く

テーマ3

哲学と詩のスクラップ化

つまり
日常
直接必要の無いものは
このように廃棄される

ほんとうに
必要ないのか

ほかにもありましたがそれは
後ほど


この話し合いの進め役は
猿社会の長老でした

話し合いの場は
罵声や
怒号が無い
穏やかで
実のあるものでした
   
それは
参加した猿達が

この長老に対し
人生の先輩としてのみならず

その知識と
思慮深さに
誰もが敬意を払ったからです

そしてこれが
すべてであったかもしれません

長老の
猿達へ対する

また
群れ社会に対する

惜しみ無い愛情が
ひしひしと感じられたからです


我々の社会はどうでしょう

先人達に対する敬意は

先人の下の者に対する寛容や愛情は

どこへ行ったのでしょうか


人は歳とともに
肉体的にも
精神的にも
汚れます

ただ
肉体は無理として

歳を取るほど
純粋になる
そういうことも出来る


思います

猿でもわかる
生き方...

人とは

2005-07-24 13:23:23 | 
悪意がもたらす

ほほえみ


真意の

いどころ


気安い

抱擁


企ての

息づかい


苦しみに

こころは

耐えるか


目がくらむ


人とは

こうしたもの

苦い生へと

突き進む

かみやまさん それ何ですか

2005-05-21 21:00:05 | 
かみやまさん
それ何ですか

聞くのを はばかれるほど
かみやまさんは
雑誌を食い入るように見ています

1ページに
名刺三分の一ぐらいの写真が
たくさん掲載されてます
20枚以上はあるでしょうか

後ろからそっと
そのページを覗き見みしました

写真すべてが
アジの開きの写真なんです
よく見ると
少しずつ形が違うようではあります

かみやまさんは
覗き見に全く気がついてません

かみやまさんは
小太りです
小さな眼鏡をかけてます
というより顔が大きいのだと思います

髪はカールがかかって
頭頂部は薄くなってます

少し脂ぎっていて
冬でもなにかしら汗をかいています
いかにも食グルメタイプなんです

かみやまさんは
とても地味な上着が好きです

小太りな体をそれに押し込むのが
もっと好きなようです

前ボタンを留めているのを
見たことがありません
日本とアメリカが地続きになるほど
それは難しいと思います

かみやまさんのおなかは
太平洋みたいです
たぶん
おへそは
ハワイみたいではないでしょうか

かみやまさんは
まだ雑誌を見続けています
アジの開きの写真を

男が真実を求め
心の旅をしているみたいに

教徒が聖像画(イコン)を見るように

かみやまさんにとって
食べるという事は
信仰に近い行為なのです

他の生を食することがなぜ
これほどまでに美味なのか
それが今
アジの開きに魅入られている所以(ゆえん)なのです

かみやまさんは
アジの尻尾の形から
上手いかどうか分かるそうです
性別までも

このようなかみやまさんが好きで
よく昼食を共にします

たしかに
オリーブオイルをつかったオマールえびは
さいこうでした

かみやまさんの料理の腕もたいしたものです
食のこだわりが分かります

次回は
たまねぎの産地めぐりをした時の話
赤たまねぎのあれこれについて
語ってくれるそうですが

早く彼女を探したほうがいいと思うのです
かみやまさんを
ねぎらってくれる

たまねぎよりねぎらい
の産地めぐり


*イコンとは
http://www.sutv.zaq.ne.jp/osaka-orthodox/yougoshuu.htm#ikon

小さいな小さいな人助けmaroon5"she will be loved

2005-05-07 06:05:18 | 
よく人を助けることがある。
珍しく早く帰宅したある日。
とは言え11時の電車。
車内はそこそこ混み合っている。
雑誌を読みながら乗車。角の吊革が空きだ。やった。
記事の続きが読める。
世の中、そんなに甘くはない。
なぜここがエポックになっているかわかりました。
目の前に泥酔した若いサラリーマン。
雑誌の下から見えました。
衣服は乱れ、もはや、すべり落ちるのみの状態。

周りの乗客は彼の口元に注目してる。
今にも何しそう。

案の定、滑落開始。人の輪はさらに一歩後退する。

彼の背に滑車があるのか?
滑らかに彼の体が床に伸びてきた。
頭の一部をシートに残すだけ。
ここでくい止めているのは、当方の足。
彼の股間と密着することでかろうじて。
このままでは、しょうがない。

周りの目は、
“あんたにまかした”
“あんたのともだち”
“だからなんとかしろ”
といっている。

何時から、俺のせいになったんだ?

しょうがない、脇に手を入れ持ち上げることした。
ところが、彼は、体格もよく、その上、意識が無いので、重くて、四苦八苦。
見かねた右隣の年配の人が手伝ってくれた。
二人係で、シートに戻す。
どうせ、また、軟体動物の大陸移動が始まるのかと。
以外にも、彼は急に目覚めた。
背筋を伸ばし、目を開け、こう言いました。
しかも、大きい声で。

“やさし~いなあ~~”

はい、たしかにやさしいです。
何だ、この人酔ってないのか。

“おいくらですか?”

上着のうちポケットから、財布を取り出し、年配者にそういった。
やっぱり酔っている。完全に。
周りが、くすくす笑ってる。
急な、申し出に、年配者が

“ただです”って言った。

またまた、周りに笑が。
サイフを戻しつつ、彼は降りる駅がまだかと聞いてきた。
このまま同じ駅で降りることになりそう。
その後、また熟睡状態。
しっかり足で抑える。
当然股間あたりを中心に。友人だからこうゆうやり方はゆるされる。ことになる。
すでに世間が認めている。
核抑止力は、これにかぎる。
駅に着いたので、彼を起こす。これが大変。両脇を、年配者の方と。半ば引きずるように。
幸い彼のアパートは近い。
その間、いろいろなことを言っている。どうも、彼女に振られたらしい。
なぜふられたのかよく分かるような気もする。
あと少しで、彼のアパート。
交差点近くに、ラーメンの屋台が。
彼が、ぜひそこで、ご馳走したいと言い出した。よく立ち寄るとのこと。
こうゆう時は、急にしらふに見える。
あまり熱心なので、彼の申し出を受けることにした。
というより、年配者の方が、以外にも、行きましょうという。
彼を挟んですわる。転落しないように。彼のお勧めを注文する。
ピリ辛とんこつねぎラーメン。3丁。

うん。うまそうなのが、出てきた。こういうのも悪くない。
まったく知らないもの同士が、夜遅くこうして。
彼は、また振られたいきさつを話し出した。
ところが、気持ちが悪いらしく、なにしそうなのだ。
これからは、タイミングの問題。うまく席を立って、路上に出てくれれば良いが。
こちらは、きがきではない。彼がこちらに話しかけるたびに、左手で、器を持ち上げ、臨戦態勢。年配者も、警戒してる様子。
結局、味は分からずじまいに。

世間が認めた二人の友人の優しい介護で、彼は無事に帰宅した。たぶん、満足しきって、にたにたと。
童顔に戻り、ぐっすり寝たことだろう。

彼は、このことを覚えてないだろうな。

こう言った事は、さらに。

“やさし~いなあ~~”
“おいくらですか?”
“ただです”

“彼女が、どんなに素敵な人なのか君らには分からない”
“はい、はい”

“結局、他人事でしょ。ちきしょうー”
“はい、はい”

“????、、、、”
“はい、はい”
“jmkdougajxxxxxxx,,,,,,,”
“はい、はい”
“はい、はい”

友情は、こうして深まる。
夜が深まるように。

“はい、はい”