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円盤倶楽部 中村さんからの手紙

2011年08月26日 03時10分52秒 | ディスカス事業部
芦田昌浩様

お手紙ありがとうございます

芦田さんから「東京へ来ませんか」 というメッセージをいただいた時は
「何故だろう?」 とその真意を図りかねるところがありました。
芦田さんがお手紙に書かれているように、芦田さんと私の間には今まで
接点がほとんどありませんでしたし、何かの機会にお会いしても会釈を交わすくらいでしたから。
私の芦田さんのイメージは
「レイアウト水槽の分野でビジネス的な成功を収め、青系ディスカスに力を入れているクールな方」
というもので、ディスカスを生業にしている同業者の方の中でも遠い方だと思っていました。

あの日、東京で朝方まで芦田さんに付き合っていただいて、ディスカスの話を飽くことなく続けましたね。それは他に共通の話題が無かったという事でもありますが、お互いに人生の大半をディスカスと過ごして来たという事実をあらためて感じさせてくれました。
その後、芦田さんから頂いたお手紙を読んで、今は何故、東海の一ディスカスショップオーナーに過ぎない私をわざわざ東京まで呼んで頂いたのか、私なりに理解しています

それは「日本の改良品種も決してドイツに劣ってはいない」
というお気持ちからだったのではないでしょうか。
もう一歩踏み込めば
「日本の改良品種はドイツに比べても優れているところすらある」
とお思いだったのではないでしょうか。
芦田さんはそのような事は一言も言葉にされませんでしたが
お気持ちのどこかでそのような思いをお持ちだったのではないかと。

芦田さんがお書きになっているように私もドイツコバルトについては
完全に固定されたドイツのストレインではないのでは、との見方がある事は知っていました。
ご存知のように、シュルツさんから 「青の復活はドイツでは簡単ではない」 とプロジェクトの初めにお返事があったのですが、芦田さんからお話を伺った今では妙に腑に落るところがあります。
その時は ドイツ以外の国にドイツコバルトの系統維持を密かにに続けているブリーダーがいるのかもしれない、例えばオーストリアとかスイスとかのドイツ語圏で国境を接しているどこかの国にと想像した事もありました。
しかしドイツディスカスの復活と構えた以上 ドイツで作られたものでなければいけないと思って、それ以上シュルツさんやティェツさんに強くはお願いしませんでした。

芦田さんのお店でモルフォとブルーベリーを見させて頂きながら、芦田さんから直接お話を伺いながら 日本にドイツコバルトの血統を維持したディスカスが存在しつづけたという 考えたら、いや考えてみるまでもなく当たり前の事実に改めて目を開かれた思いでした。
芦田さんのお話の中で特に印象深かったのは 
「系統維持というのはなかなか難しい」
とポツリとおっしゃった事です。

私は仕事柄 お客様から繁殖について聞かれる事が多く、それもあって自宅で細々ながら何らかのディスカスの繁殖を試みています。
しかし 系統の維持という ある種の責任と覚悟をもってブリーディングに
臨んだ事はありません。あくまで趣味の世界に毛が生えた程度です。
ですから芦田さんがポツリと言われた事が新鮮に聞こえました。
そしてシュルツさんもティェツさんも芦田さんと同じように系統の維持を続けてこられたのだなと。
彼らも一見華やかなディスカスの世界で、地味で根気のいる作業を毎日毎日続けて来たのだなと、柄にもなく思いを巡らしました。
シュルツさんがミレニアムレッドを密かに作ったのも、どこか
「系統維持から自由になりたい」、
というこれも芦田さんがブルーベリーを作られたのと同じような気持ちだったのではないかとも。

私は長い間血統を維持されてきた、芦田さんが規定演技とおっしゃる
モルフォと、自由な発想でお作りなったブルーベリーを私の店で紹介させてい頂きたいと思っています。
ドイツの血統を引いたディスカスとしてではなく
「日本の改良品種」 として 「芦田昌浩の改良品種」 として
紹介させてい頂きたいと思っています。

振り返って見ると日本の改良品種はその実力の割に、その高いレベルの割に
常に地味な存在だったように思います。
それがドイツディスカス復活というテーマを進めていく中で、芦田さんとこのようにお付き合いさせて頂くようになるとは、円盤倶楽部が日本の改良品種と関わるようになるとは、不思議なめぐりあわせを感じます。

近い内に是非豊橋にお越し下さい。
近くには豊川という川が流れていて 芦田さんのご自宅近くの江戸川とは
また違った趣の、美しい川です。
もしお時間があれば夕方その川べりを歩きながらディスカス談義でも
どうでしょうか。


中村勝弘


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