─ APOLLO ─ simokitazawa

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日記。5月9日 日曜日

2010年05月09日 | Diary
ガタガタ
うるさい客にミックが一言。

「たかがロックンロールじゃないか」


ヘロイン
を打ちながらスタンは言った。

「俺達は会計士じゃないんだよ。ジャズを演奏するんだ」


ステージ
に登場したホロビッツ。ピアノに向かってゆっくりと歩き出す。

そして
ピアノの前に座るなり一言。

「これでは演奏出来ない。椅子が高いじゃないか。椅子が1センチも高いじゃないか」

エレキギター
を持ってステージに登場した
フォークシンガー。

大混乱の客席。罵声が飛び交った。

「引っ込め!この裏切り者!」
「俺達はポップミュージックなんか聴かないぞ!」

彼は答える。
「プロテストソング。何も変わっちゃいないんだ。プロテストソングだよ」



ジプシーは音楽を運び
商人は土人を運んで来た

ティンパンアレーがバラ蒔いた
音楽を、iPodで捕まえる

40万人の観客を集めた
ロックコンサート

3人しか集まらなかった
ジャズコンサート。
地下にある汚ないジャズクラブ。



音楽について考える
音楽について考える


人の為に演奏される音楽
自分の為に奏でる音楽

観客の為の音楽
カネの為の音楽


つらい労働に耐える為の
ワークソング

生活の為に演奏する音楽家

遠い昔から生活に伝わるダンス

遠い祖先から伝わるラーガ




昼間は
『ギャーギャー騒ぐ女の子たち』の為に演奏して――誰も聴いちゃいないし、自分の音も聴こえない――――

それで夜になると
『子供たちを寝かしつける』為に哀歌を唄った。


それから深夜になって
仲間たちと
いつものBarに集まった。


ろれつのまわらないギターで
ろれつのまわらないビートルズを唄う

バーカウンターを占領して
仲間たちと、大声で、
ビートルズを唄った。



ただ自分たちの為に

ただ自分たちの楽しみの為に




音楽は人の心を浮き彫りにする

耳を澄ませばわかる
ほんとうに
耳を澄ませばわかるはずだよ。



・・それで
朝になって
部屋に帰って
カザルスを聴いた。


バッハを通して
カザルスという人を想うんだ。

無骨で粗野な男の演奏だよ


誰も
あんなふうには
演奏できやしない

あんなふうには
できないんだよ


僕は知りたい。
人の心が知りたいんだ。


唄ってくれよ。

世界中の唄を聴いてみたいんだ









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